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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2008年11月06日14時25分掲載
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時事英語一口メモ
【56】プレーンバニラ金融とエキゾチック金融
<A href="http://jijieigo.at.webry.info/200811/article_1.html" target="_blank">ブログ版</A>
金融危機の要因になったのはexotic finance(エキゾチック金融)だとされる。金融市場は伝統的で単純な商品、plain vanilla(プレーンバニラ)の世界だったが、21世紀に入りleverage(レバレッジ、テコ)をかけた複雑なexotic financial instruments((エキゾチック金融商品)が市場を支配するようになった。plain vanillaは「簡潔な」という意味で、plain vanilla ice creamが語源である。それに対比されるのがexotic。exoticはtoxic(有毒)にもなった。exotic and toxic financial instruments(エキゾチックで有毒な金融商品)という表現もみられる。(鳥居英晴)
『日本経済を襲うエキゾチック金融危機』の著者の草野豊己氏はブルームバーグの日本語ニュース(10月15日)とのインタビューで、世界的な金融危機について、「エキゾチック」時代の新たな金融危機であるとしている。
草野氏によると、エキゾチック金融の市場規模は6京円程度と、従来の「プレーンバニラ」金融(5000兆円から6000兆円規模)の約10倍に達する。
各国当局は公的資金の投入や金融緩和により過剰流動性を高めようとしているが、「エキゾチック金融時代の証券化商品は元来流動性があるものではないので、いくら市場に資金を供給しても効果が薄い」と述べている。
Investopediaはplan vanillaを次のように説明している。
The most basic or standard version of a financial instrument, usually options, bonds, futures and swaps. Its opposite is an exotic instrument, which alters the components of a traditional financial instrument, resulting in a more complex security.
(金融商品の最も基本、標準的なもの。通常、オプション、債券、先物、スワップ。その反対がエキゾチックで、伝統的商品の構成を変え、より複雑な証券となる)
For example, a plain vanilla option is the standard type of option, one with a simple expiration date and strike price and no additional features. With an exotic option, such as a knock-in option, an additional contingency is added so that the option only becomes active once the underlying stock hits a set price point.
(例えば、プレーンバニラ・オプションはオプションの標準型で、単純な満期日と行使価格を定め、他の特徴は持たないもの。ノックイン・オプションなど、エキゾチック・オプションは付帯事項が加えられ、原株が所定の価格に達したとき初めて、オプションの効力が発生する)
オプション取引とは、ある原資産について、一定期間内において、一定の価格で取引を行う権利を売買するものをいう。オプション取引などのderivatives(デリバティブ、金融派生商品)で、さまざまな条件が付いた複雑な商品をexoticと形容する。
Asia Times(10月21日)でHossein Askari と Noureddine KricheneはMonetary despotism(金融専制主義)と題し、金融救済策について次のように述べている。
Certainly, Western central banks have not injected this much in real gross domestic product, that is, in millions of tons of commodities (rice, corn, milk, oil, vegetables, clothing). If they had done so, their action would have been most beneficial. They have only created money out of nothing. Some call it legal robbery, others call legal counterfeiting.
(確かに、西側銀行はこれほど実質国内総生産GDPに注入したことはない。すなわち、数百万トンのコメ、トウモロコシ、牛乳、オイル、野菜、衣類といった商品に。もしそうしていたら、彼らの対策は最もためになっていたであろう。彼らは無からお金を創り出しただけである。それを合法的強盗と言う人もいるが、合法的偽造と言う人もいる)
Their action has amounted only to a redistribution of real GDP and real wealth among two groups: the winners (bankers, debtors) and the losers (workers, taxpayers, pensioners, creditors). How will this redistribution take place? The answer is forced inflation.
(彼らの対策は、実質GDPと実質的資産を二つのグループー勝者{銀行家と債務者}と敗者{労働者、納税者、年金生活者、債権者}―の間で再配分したことを意味するに過ぎない。この再配分がどのようにしておきるのか?答えは強制インフレである)
Bailouts schemes on such a scale have no precedent. They are the outcome of cheap money policy followed in the past decade and the sophisticated speculation, call it financial engineering or exotic finance, which developed complex derivatives, proliferating fictitious credit to gain abnormal returns.
(このような規模の救済計画は前例がない。それは、過去10年間続いた低金利政策と手の込んだ投機の結果である。それは金融工学ともエキゾチック金融ともいわれる。それは、異常なリターンを得るために架空の信用を増殖させて、複雑なデリバティブを開発した)
アメリカン・プロスペクト誌(10月16日)のThe Case for Plain Vanilla(プレーンバニラ弁護論)と題する Robert Kuttneの記事は次のように述べている。
Why, after all, do people and financial systems go bankrupt "gradually, and then suddenly?" Because as their real situation worsens, they stave off the day of ruin by borrowing. Bankruptcy comes with terrible suddenness when creditors stop lending. The more exotic and opaque the security, the higher the tower of possible debt and the more devastating the eventual crash.
(結局、なぜ人々と金融システムは「ゆっくりと、そして突然」破たんするのであろうか。なぜなら、真の状況が悪化するのにつれ、金を借りて破産の日を逃れるからである。破産は債権者が金を貸すのをやめると、突然にやってくる。証券がよりエキゾチックで不透明であればあるほど、債務の塔は高くなり、最終的な崩壊はより破滅的になる)
Here is the radical implication of these interconnected collapses: The next financial system, rebuilt by governments on the ruins of the old one, needs to be plain vanilla. The banking system should be restored to its basic role of supplying credit to the real economy, with as few complications as possible.
(こうした相互に関連した崩壊の根本的意味合いがここにある。古い金融システムの廃墟に政府によって再建された次の金融システムは、プレーンバニラでなければならない。銀行システムは、できるだけ複雑さがなく、実体経済に信用を供与する基本的役割に戻されるべきである)
If financial engineering did all that its enthusiasts claim for it by way of improving the efficiency of capital markets, we would have seen the results in improved GDP. But growth was far higher in the era of plain vanilla finance.
(もし、金融工学が資本市場の効率性を向上させることによって、その信奉者が主張するようなことをしたならば、GDPが向上するという結果になっているはずである。だが、成長はプレーンバニラ金融の時代のほうがずっと高かった)
In 2000, then Senator Phil Gramm, now an adviser to John McCain, got a law enacted for the benefit of Enron, effectively prohibiting the regulation of credit default swaps entirely. Had these two forms of regulation not been politically aborted, the current financial collapse would have been avoided. So the challenge of prohibiting the most dangerous of financial exotics is not technical, but political.
(2000年、当時上院議員で現在、ジョン・マケインの顧問のフィル・グラムは、エンロンのためにクレジット・デフォールト・スワップの規制を事実上、完全に禁じる法律を制定させた。こうした二つの種類の規制が政治的に打ち切られなかったならば、現在の金融崩壊は避けられたであろう。であるから、最も危険な金融エキゾチックを禁止するという課題は、技術的なことではなく、政治的なことである)
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