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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2009年02月09日17時31分掲載
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ロシアン・カクテル
(1)「タチヤーナの日」大学生が酒と歌で陽気に祝祭 タチヤーナ・スニトコ
「タチヤーナが来て、大学生が遊ぶ」─。ロシアでは1月25日は“タチヤーニン・デーニ(タチヤーナの日)”と呼ばれ、「大学生の日」として祝われる。
1755年の「タチヤーナの日」に(キリスト教ではそれぞれの日に聖人を祭る)に、エリザベス女王Ⅱはモスクワ大学の創立令に署名した。ところで、「タチヤーナ」という名前はギリシャ語では「主催者」を意味する。
19世紀の1860-70年代に、タチヤーナの日はロシアの大学生の日になった。その日は冬季学期末試験が終了し、冬休みの最初の日であった。学生たちはその一大事を陽気に盛大に祝った。
初めの頃は、そのお祝いはモスクワにおいてだけ行われていた。その後、だんだんと全ロシアの大学生の祝い事になっていった。お祝いに参加した人々により、毎年のお祝いはモスクワの人々には特別の行事となっていった。短い儀式(大学の教会での礼拝式、学長のスピーチ、受賞式)の後で、モスクワの人々のほとんど皆が参加する大衆行事が始まるのであった。
モスクワの中央部では、大勢の陽気な大学生たちが歌を歌ったり陽気に騒いだり散歩したりした。「タチヤーナ、タチヤーナ、タチヤーナ、万歳! 我々は皆が酔っぱらい、酔っぱらい!なんと良き日だ!」と学生たちが歌うのであった。
ギリャローフスキーは『モスクワとモスクワっ子』という本に次のようにタチヤーナの日のお祝いを描いている。
一年のどんな日も「タチヤーナの日」ほど モスクワのあら ゆる通りが騒々しい日はない。学生たち群れつどい、通りを練 り歩いたり、歌を歌ったり、馬車に乗ったり、大声で放吟する のである スピヤーナ (酔っぱらい)とタチヤーナは韻が合うのである。この日は“遊ぶ日”であり気楽な日なのだ。 祝賀会のあとで、学生たちは家に一度帰って家族と時間を過 ごし、その後街に繰り出し、居酒屋やビヤホール、レストラン などに行くのである。店では、その日に備えてずっと前から準 備しておく。「エルミタージュ」という有名なレストランで は、豪華な家具を簡単なテーブルやベンチに置き換え、高価な 鏡は店の奥にしまうのであった。店の床の上にはおがくずを厚 く敷いておくのである。料理はつまみ程度で、飲み物はウオッ カ、安ワイン、ビールである。大学の先生、新聞記者、大学 生、弁護士などみんな一緒にテーブルを共にするのである。 翌朝、飲みすぎて呂律が回らなくなって馬車の御者に自分の 帰る家の住所を伝えることができない学生が多いので店のウェ ーターがコートやジャケットの背中に帰る住所を書いておくよ うになった。又、酔っぱらっていない学生は酔っぱらってしま った友人を家に連れて帰るのである。
モスクワ大学卒業のロシアの作家アントン・チェーホフは書いている。
今年は、モスクワ川以外は全部飲んでしまった。どうしてモ スクワ川だけ飲まなかったのか…それは、モスクワ川が氷って いたからである。人々は夜っぴて普通ピアノやグランドピアノ を奏で、それに合わせて大声で歌を歌ったりダンスをするので あった。そのためにピアノはほとんど爆発してしまうかと思わ れるほどであった。オーケストラはひっきりなしに"Gaudeamus"(学生歌Gaudeamus igitur)を演奏した。喉がつ ぶれてかすれ声になってしまうのであった。ある一人の学生は 小型のチョウ鮫が泳いでいる水族館に飛び込み入浴をした。
「モスクワレポート」というモスクワ大学の新聞の編集局の窓の下で、学生たちは、「猫のコンサート」を開いた─とてもとても大きな、酔っぱらい声で歌を歌った。
タチヤーナの日には何をしても許されるのであった。警官たちは、泥酔した学生に「何かお手伝いすることはありませんか」と丁寧な調子で聞くのであった。
今の学生たちも陽気にタチヤーナの日を祝う。いつものように、1月25日は警官たちが酔っ払った学生たちを見て見ぬふりをし、大目に見る唯一の日なのである。
タチヤーナの日は学生、先生と昔学生だったことを記憶する人たちの大きな楽しいお祭りの日なのである。 (つづく) *原文は日本語
<タチヤーヤ・スニトコさん> ロシア連邦クラスノダール市生まれ。ロストフ・ナ・ドヌー教育大学外国語学部、ピャチゴルスク言語大学大学院、モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学特別学部(日本文化研究専攻)などで学ぶ。ロストフ・ナ・ドヌー教育大学教授を経て、2006年に国際交流基金の助成金で来日。東大、昭和女子大、早大で研究と教育をつづける。理論言語学博士。
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1月25日はタチヤーナの日
タチヤーナが来て、大学生が遊ぶ
モスクワ大学
聖タチヤーナ





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