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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2009年03月05日11時27分掲載
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ビルマ民主化
ロヒンギャ人の悲劇 タイ沖で虐待、日本では不況解雇の嵐に シュエバ
大喜びというほどではないが少しは前向きのニュースもあった。2008年12月16日、「第三国定住による難民の受入れに関するパイロットケースの実施について」の閣議了解があった。タイ国境のビルマ難民キャンプから年間30人を2010年から3年間、日本が定住者として受け入れるというのである。欧米諸国よりははるかにおくれているが「前進」ではある。
2009年1月30日、入国管理局は2008年度の難民認定についての数字を発表した。認定申請者の数は過去最大の1599人(うちビルマ国籍者979人)、認定者は57人(うちビルマ国籍者38人)、人道的な理由から庇護された者(在留特別許可)360人、あわせて417人のうち92%にあたる382人がビルマ国籍者であった。数字ではビルマ人はめぐまれているようにみえるが、まだ1000人近い申請者がいる。これからも増えるだろう。
さてその日本の情勢も穏やかではない。年末から年始にかけて日比谷公園に「年越し派遣村」が登場し大きく報道された。折からの経済不況で派遣労働者や非正規労働者はつぎつぎ職を失い生活は困窮の度を深めている。ビルマ人を含む外国人労働者は日本人労働者以上に影響を受けているはずである。
2月7日、在日ビルマ・ロヒンギャ人協会(BRAJ)の指導部の人たちと話し合う機会があった。ビルマ軍事政権に追われ、ボートピープルとしてタイへたどりついたロヒンギャたちをタイの官憲がまた追い払ってしまう。放り出されて漂流したり、船が沈没したりして命を落としたロヒンギャの数は1000人を越えるといわれている。この同胞の悲劇をなんとかしたい、日本でなにが出来るか、そんなことを話しあったのだが、彼ら自身の日本での生活のことも気になった。
1月7日付け朝日新聞夕刊に「難民切り」と題して、外国人労働者におよぶ解雇の嵐をレポートした記事が出た。そのなかでティンウィン(在日ビルマ市民労働組合=FWUBC。群馬県太田市在住)さんとともに登場したゾーウィンさん(群馬県館林市在住)がロヒンギャ指導部のメンバーのなかにいた。
「クビになったのはぼくだけじゃないよ。仲間たちがどんどんクビを切られている。次の仕事は見つからないし、みんな困っているよ」
1月24日、浜松市にある静岡文化芸術大学の公開講座でビルマについて講演する機会があった。ビルマ本国の情勢、在日ビルマ人の民主化をめざす活動、難民認定や在留特別許可にかかわることなどを話した。70人ほどの参加者にいちばんうけたのは浜松とビルマのかかわりについての話題だった。
浜松はBIA(ビルマ独立義勇軍)を率いたボ・モジョウとしてビルマの歴史に名を残す南機関長鈴木敬司大佐の故郷である。かつて若き日のタキン・アウンサンは市内にある大佐の実家や近くの旅館に逗留した。のちにアウンサンスーチーも父の足跡をたずねてこの地まで足を運んだこともある。浜松の景勝地大草山公園にはビルマ独立の父アウンサン将軍がこの地に滞在したことに因んで建立された「日本・ビルマ友好の碑」がある。
その大草山公園は、1988年9月、母国の民主化運動に呼応して、日本でも運動を展開すべく在日ビルマ人協会(BAIJ)が産声をあげた場所、つまりは日本におけるビルマ民主化運動ゆかりの地であることなどを説明した。「へえー。浜松とビルマにはそんな関係があったのだ」と地元の人たちは大いに関心を示してくださった。
(浜松とビルマについての講演の要旨はアウンミャッウィンさんらが編集・発行している日本語誌『平和の翼』に寄稿した。読んでいただければ幸いである。なおタキン・アウンサンが浜松に逗留したいきさつなどは元南機関員泉谷達郎さんの著書『ビルマ独立秘史 その名は南謀略機関』徳間書店1967に詳しい)
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