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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2009年03月10日09時32分掲載
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ロシアン・カクテル
(3)学生は年2回迷信家になる 試験前の縁起かつぎ タチヤーナ・スニトコ
年二回、全ての学生たちは皆が迷信家となる。一番ポピュラーな縁起担ぎを紹介しましょう。 試験に行く時は新しい洋服を着て行ってはいけない、“幸運”の洋服を着なければならない。“幸運”の洋服と言うのは、前回の良い点数を取った時に着た洋服である。マニキュアすることや髪の毛をカットすることもだめなのである。なぜなら、それは知力を切る恐れがあるからである。
人文学系の学生は頭の左の部分だけを洗い、科学系の学生は頭の右の部分だけを洗う。大脳半球の知識が洗われてなくなってしまうからである。
試験の前日には良いことをしなければならない。例えば、お婆さんが道路を渡るのを手伝うとか、部屋の掃除をするとか、両親に優しい言葉で話しかけるなどである。
流行している縁起担ぎは「ウヅ」という人形のものである。デパートで人形を買って試験官の先生の名前を付け、その人形に敬意を表すること、名前で呼ぶこと、頭を撫でることなどである。その人形の名前は何回でも変えることができる。注意しなければならないことは、正しい名前を人形につけなければならないことである。
試験の前夜には、学生たちの80%は幸運の魔法を使うと言われている。ザチョト帳が羽ばたいて「ハリャワ」(愛称:ハリャウカ)をつかんでいる。 それぞれの学生はその“耳に響きの良い”言葉を使う。通説によれば、「ハリャウカ」の語源はユダヤ民族が金曜日に貧乏な人々に牛乳を分配する「ハーレブ」という習慣に由来している。学生たちは頑張らなくても幸運にあたることを望んでいる。(頑張らなかった学生たちも幸運があれば試験で合格できるということを望んでいる。)
夜12時きっかりに、学生たちは窓から体を乗り出して、「ザチョト帳」を開けて、「ハリャワ」(ハリャウカ)来い、来い!」や「小さいハリャワも、大きいハリャワも来い、来い!」と大声で叫ぶ。(多くのロシアの大学ではその呪文の言葉にはそれぞれの地元の特徴ある変種がある。)その呪文を三回叫んでザチョト帳を閉じて、赤い糸で結ぶ。
ある学生はザチョト帳をラップに包んで冷蔵庫に入れる。ハリャワがしっかりと凍り付くだろうということである。試験に行く時キャンデーとボンボンを買ってそれを右へ左へばらまきながらハリャワを買収する。美味しいキャンデーを使わなければならない。安いキャンデーはハリャワは“食べない”のである。 試験の際に凍り付いたハリャワを外へ出す。ザチョト帳を少し開いて、「ハリャワ、飛び出せ!」と声をひそめて三回繰り返す。「ハリャワをつかむ」魔法をかけた怠け者の学生は試験にパスできるのである。
たくさんの学生がその習慣のおかげで、友達になった。夜12時に学生が窓から体を乗り出して「ハリャワ、来い、来い!」と大きい声で叫ぶ大学寮の正面を想像してみてください!
毎年「ハリャワをつかむ」という習慣の変種が増える。ある学生は「3リットル入りの瓶へハリャワを招待する」という方法がいいと考える。その瓶を大学に持って行き、教室で開ける。も一つの方法はザチョト帳にパン屑を入れて、ハリャワを手なづけることである。
ある大学の学生は試験の前の説明会のとき、先生が学生の質問に答えるとその知識を袋を使って“つかむ”のである。
一番古い時代のロシアの学生の縁起担ぎは“5コペイカ”コイン(ロシアの“5円”)である。数世紀に渡って、試験に出かける学生は右の靴に縁起の良い銅製の“5コペイカ”を踵の下に置く。また、5番のバスに乗るという縁起も良い。もし、買った切符の番号が5であると“縁起が良い”。その切符をすぐ食べる。試験の質問の番号を占う方法もある。妊娠している女の人に聞くことであるが、寒い時期、朝早くに妊娠している女の人に出会う可能性は高くない。
試験の前にザチョト帳に座ることは非常に有効である。教室に入る前に、クラスメートが学生の鼻にキスをする。何回もキスすると、その点数をとる。右足を前にして教室を入る。右足で立ちながら、左手で質問紙を取る。その時右手を背中の後ろに人差し指と中指を十文字に組み合わせる。などなど・・・。
いろいろな試験を受けるための魔法があるが、教科書を読む事が一番縁起が良いと言われている。 * * * ロシア各地の町々には、それぞれの土地の学生たちのローカルの迷信と魔法がある。 モスクワでは地下鉄の「革命広場」という駅に行って、「偵察兵と犬」という銅像のところに行き、試験の場合には犬の鼻を、ザチョトの場合には足を手で撫でる。犬の銅像の鼻と足は輝いている。それでその犬の像を見つけることは難しくない。その迷信は1938年以来知られている。
クジミーヌキ公園には馬の像がある。“尻尾の半分を失った一頭の馬”である。その馬の尻尾に数秒間乗るとその試験の時期を“尻尾なしに”やっていけるのである。
有名な人の像は特に人気がある。音楽専攻の学生が、試験の前にチャイコフスキーモスクワ国立音楽院の前に座っているチャイコフスキー像に助けを願い、試験の後にお礼を言うという習慣がある。その儀式は、像に上ってチャイコフスキーの左手に花束を渡すことである。
未来の作家や詩人や批評家である文学専攻の学生は、 ゲレツェン像に上がって、像の腰の下をキスする。 ロモノソヴ名称国立大学の学生はロモノソヴ像に上がって、手で三回頭の天辺を打つ。
サンクト・ペテルブルグでは学生たちがカテリーナ二世大王の像に来て女帝のデコルテ(デコルテ(décolleté(e))は、首筋から胸元にかけての部分を表すフランス語である)を手で触ってみる。恋に弱いカテリーナ二世大王は、学生のパトロンだというのが一般の通念である。
サンクト・ペテルブルグの航行大学の学生には「銅製の騎馬像乗り手」(ピョートル大帝の像;ラストレッリ彫刻家)が試験を助ける。
それを目的として、ペーストで♂の器官を磨きつやをつける。長年の儀式で小さくなって、♂の馬が♀の馬になる恐れが出てきた。
「イェリセーイェヴスキイ」という有名なスーパーの中の張り出しの上に鎮座している「イェリセイ」という有名な猫の像も人気がある。 その猫の像は“タチヤーナの日”(学生の日;1月25日)に据付けられた。猫の黒い尻尾が学生たちに試験の“尻尾”の注意を促す目的がある。張り出しには5枚の“5コペイカ”コインを投げなければならない。
もう一つの試験に準備する方法というのは「相談ベンチ」に座ること。ベンチにいる天使と悪魔が耳打ちする。 ペリミという町では大学の歴史学部の前にベンチに座って休憩しているレーニン(ロシアの革命家)とマクシム・ゴーリキー(ソビエト作家)が学生の試験を手伝う。
像の由来について学生は次のように冗談で説明する:レーニンとゴーリキーは散歩していた。疲れてベンチに座りました。ゴーリキーは“少し座りましょう。大学から美人が出てくると出かけよう。”と言いました。二人はまだ座っているのです。 試験の前その二人の膝に乗って、頬にキッスするか鼻を磨く。
などなど・・・。町々にはそれぞれ異なったローカルの試験についての話と縁起担ぎがあるのです。 * * * 学生の縁起担ぎの像がモスクワにある。花崗岩で作った円形の平面台に大きい“5コペイカ”コインがある。そばに開いた銅製の5点が書いてあるザチョト帳がある。 “5コペイカ”コインは、試験に行く学生が靴に置き、“幸運を招く“方法を表す。銅製の靴にも“5コペイカ”コインがある。それで、それぞれの希望者が銅製の靴に足を入れて幸運を招くことができる。ザチョト帳は「ハリャワをつかむ」魔法を表す。
ところで、今では学生は、その“像も魔法に使うようになりました。靴に足を入れて目を閉じて“5コペイカ”コインを真ん中か平面台に書いた自分の大学の名前に向けて投げる。失敗すると自分のザチョト帳を像にあるザチョト帳に引き寄せるのである。 * * * 試験に落ちない学生の魔除けは、尻尾を失ったとかげである。ツラ大学には青銅製の“5コペイカ”コインで作った彫像がある。試験の“尻尾”を免れる為には、しばらく尻尾の残っている部分にすがればいいのである。
試験の学期では学生の運命は決まっている!ロシアの学生は津波や台風のように予想できない先生に、自分の運命を委任はしないのである。 (原文・日本語) (つづく)
注:「ハリャワ」とは、努力したり頑張ったりせずに良い結果を得ること。日本語には適当な言葉がないようですが、しいてあげれば「苦しいときの神頼み」でしょうか。
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チャイコフスキー像
鼻がテカテカになった犬の像
カテリーナ二世大王の像





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