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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2009年03月17日09時09分掲載
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ロシアン・カクテル
(4)ロシアの春は鳥が告げる 3月22日は「雲雀」の祭り タチヤーナ・スニトコ
「おお、我が祖国の大地はどこまでも果てしなく! おお、春も又いつまでの続き終わりのなきように!」 アレキサンドル・ブルック 北の国のロシアは母なる大地は果てしなく、時の流れの感覚も日本とは異なる。
四季の中の大事なシーズンは日本の春と秋とは違い、冬と夏である。寒くて長い冬のあるロシアの人々は春と暑い夏の訪れ待ち焦がれている。冬と夏はロシア人には、時の流れの重要なファクターなのである。又、西から東へ伸び広がっているロシアの空間の重要な方角はロシア人にとっては「北」と「南」である。日本と違って「東」(東日本)と「西」(西日本)は重要ではない。ロシア語では、「東北」と言わない、「北東」だけ可能なのである。 春の訪れを表すものは桜の開花ではなく渡り鳥の到来である。今まだ日本の湖で見ることのできる鴨などもすぐシベリアへの長い旅に出発することであろう。
ロシアでは渡り鳥は3月下旬から4月上旬に南の国からやって来る。そのころのロシアはまだ寒い、木々の芽が出始める頃である。 3月22日には「雲雀(ひばり)」と呼ばれるお祭がロシアにはある。昔は、その日に南の国々から40種類ほどの鳥が母国ロシアに戻って来ると信じられていた。他の鳥たちよりも早く来るのは雲雀であると言われている。今も多くの家庭ではその日に「雲雀」という菓子パン(普通は40個)や春の太陽を象徴する丸い蜂蜜入り菓子を焼く。
時には、菓子パンと丸い蜂蜜入り菓子に小さいものを入れて占いをする。指輪は“結婚”、1コペイカ(1円)か5コペイカ(5円)は“富”、結び目をつくった布は“赤ちゃん”を意味するなどである。
3月22日には秋につかまえ冬の間に鳥かごの中で飼っていた野鳥(鷽、シジュ雀、雲雀、むくどり)を籠から解き放す伝統がある。渡り鳥が来てもまだロシアの寒さは続く。きれいな春の花が咲く時期までなお待たなければならない。
昔、渡り鳥が「ヴィリイ」という国から戻って来ると考えられていた。その「ヴィリイ」という国は、空にある国か、海の外の国(日本?)、はたまた海の底の国(太陽が没するところ)にあると信じられていた。その「ヴィリイ」という国では、コウノトリと鶴は人に化けていて、ロシアに帰る時にはまた鳥に戻るのである。先祖の魂は鳥と一緒にやって来るという考え方があった。
ある地方では、天の川とは雁が天国に飛びそして母国に帰る「雁の道」とであると言う。春の鳥たちの渡り時期、天の川の位置と鳥の渡り方向はほぼ一緒になる。
加えて、鳥の空を飛ぶさまは人々に自由を感じさせる。広大な森林と沼がある広すぎる国では大昔から旅をすることは困難を意味していた。21世紀にもロシアは広大な土地を有することは誇れるが、道路がいいと自慢できるなどということはない。昔は川を道路代わりに使っていた。
面白いのは、ロシア語には運動動詞がとても多いことである。“ドビラチツァ”という動詞は「遠いところを目的地として沢山の困難を切り抜けること」を意味する。しかし、やむにやまれず鳥のように空へ飛び出したくなるのである。その感覚を私は大学頃に友達と一緒にウラル山脈にあるチュソワヤ川をボートで2週間旅をしたことをよく覚えている。2週間の間、村を見かけることもなく道路もなかったし人にも出会うこともなかった。
まもなく東京の桜は開花する。そして北方のロシアにも渡り鳥の鳴き声がもうすぐ聴こえてくる。 (つづく)
*原文日本語
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春の太陽を象徴する菓子パン「雲雀」
白ハシガラスが今年もやって来た!(1871 サヴラソヴァ)
ライラック





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