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2009年07月24日12時03分掲載
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遺伝子組み換え/ゲノム編集
GMトウモロコシの動物実験に異常相次ぐ 日本では食品として流通 天笠啓祐
2008年11月、遺伝子組み換え(GM)トウモロコシの食品としての安全既に疑問を呈する動物実験結果が、イタリアとオー-ストリアで相次いで発表された。またもやと思う。いずれも日本では食品安全委員会が承認し、食品として流通が認められている作物である。
これまでにも多くの実験・研究例が報告されてきたが、その一部を見てみよう。
2003年、カナダ・オンタリオ州のグエルフ大学の研究者が実施した動物実験で、140羽の雄鶏にGMトウモロコシを、対照群に非GMトウモロコシを摂取させたところ、42日間の飼育で、GMトウモロコシを摂取した鶏の死亡率が2倍になり、成長もバラバラになるという結果が出た。この実験は、バイテク企業からの依頼によるもので、用いたGMトウモロコシはバイエル・クロップサイエンス社が開発した「T25」である(デイリー・メイル2003年6月25日ほか)。「T25」は、日本では2001年3月30日に食品として安全欧が確認されたとして、承認されている。
また、モンサント社が開発したGMトウモロコシ「MON863」について、ドイツの裁判所が情報公開を命じたことから、同社が行ったラットによる動物実験の詳細が明るみに出た。フランスのG.E.セラニーニなどの統計専門家が、それを再評価したところ、モンサント社は問題ないとしていたが、雄の体重が低下、雌は増加していた。また肝臓と腎臓、骨髄細胞にも悪影響が見られた(環境汚染と毒性学アーカイブス2007年3月13日)。
この「MON863」も、日本では2002年2月21日に食品として安全性が確認されたとして、承認された。
そして今回、2つの動物実験が発表されたその1つイタリア食品研究所のエレーナ・メングリ2らが行った研究では、マウスの免疫系に異常が起きていた。用いたGMトウモロコシは「MON810」で、30日間と90日間与え、腸、上皮、肺臓、リンパ球を調べた。その結果、30日間、90日間いずれも、対照群(非GM飼料を与えたマウス)に比べて幼いマウス、年とったマウスの免疫系に異常が起きていた。この結果について実験者は、同じ年齢に当たる人間への影響が懸念されるとしている(Joumal of Agricultural and Foodchemistry2008/11/14)。この「MON810」も、日本では2002年2月21日に食品として安全性が確認されたとして、承認されている。
さらにオーストリア政府が支援し、ウィーン大学獣医学教授ユルゲン・ツェンテクらが行った実験で、孫や曾孫の世代で異常が起きた。用いたGMトウモロコシはモンサント社の「NK603とMO N810」を掛け合わせたもの。実験は長期摂取による影響を調べたもので、繁殖を繰り返した3〜4世代後の子孫に、対照群に比べて数の減少が起き、体重も軽く、ひ弱だったという(オーストリア保健省2008/11/11)。
「NK603」は、日本では2001年3月30日に食品として安全欧が確認されたとして、承認されている。この「MON810」と掛け合わせた品種も、2003年6月30日に食品として承認された。
日本で食品として承認されたGMトウモロコシは、これまで45品種(2008年12月18日現在)に達する。「T25」「NK603」は、除草剤耐性であり、「MON810」「MON863」は殺虫性である。この4つの品種や、それらを掛け合わせた品種は、全部で16品種に途する。実に3分の1強である。食品安全委員会が見直しに動き出すという話は間いたことがない。
*こうした結果を受けNPO法人・日本消費者連盟、食の安全・監視市民委員会、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンなどの市民団体は政府の食品安全委員会に、遺伝子組み換えトウモロコシの安全審査のやり直しを求めている。
(筆者は科学ジャーナリスト、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表。同キャンペーン『News Letter』116号より)
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