・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・アジア
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・入管
・地域
・文化
・欧州
・農と食
・人権/反差別/司法
・市民活動
・検証・メディア
・核・原子力
・環境
・難民
・中東
・中国
・コラム
提携・契約メディア
・AIニュース


・司法
・マニラ新聞

・TUP速報



・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus

・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2025年03月30日
・2025年03月29日
・2025年03月28日
・2025年03月27日
・2025年03月26日
・2025年03月23日
・2025年03月22日
・2025年03月21日
・2025年03月19日
・2025年03月18日
|
|
2010年04月10日15時06分掲載
無料記事
印刷用
ロシアン・カクテル
(21)ロシアの土産とは?<下> 冬の気分を吹き飛ばす鳥笛 タチヤーナ・スニトコ
ロシアの昔ながらの土産は「太陽」・「女」・「馬」・「鳥」・「植物」をテーマにしたものです。これらは様々な工芸品に共通したテーマです。それらは刺繍の模様・砂糖菓子の飾り・玄関飾り、器の模様、紡ぎ台の模様、粘土製のおもちゃ等に様々な模様としてみることができます。
これは世界を「一本の世界樹」とみなすスラブ民族の思想に由来しています。木のてっぺんは天国につながり、その根っこは地中深く伸びています。上には太陽と月があり、枝には聖なる鳥たちが住処を作っています。リスは木の幹を走り回り、蜂たちがブンブンと飛び回っています。木の根元には蛇・蛙・ビーバーが住んでいます。木全体が一人の女性とみなすことができるのです。それ故、2匹の鹿又は鳥たちといる木又は女性が色々な刺繍や粘土細工のおもちゃの図柄に使われているのです。
トナカイ・へらじか(大鹿)・白鳥・鴨・おんどり・めんどりはスラブ民族の間で最も一般的に認められているシンボルの図柄です。
鳥たちはスラブ民族の文化の中では特別な位置を占めています。スラブ民族の天地創造神話によれば、雄の鴨が世界を創造したことになっています。その鴨は果てしない海原を永い年月をかけて泳いで行き、そして海中深く潜ってゆき、そして海底の砂を持ち帰り世界を創造したことになっています。
スラブ民族は特別に渡り鳥を崇拝しました。白鳥・雁・鶴・こうのとりなどの水鳥です。水鳥は空中・地面・水中の3領域を住まいとしているからです。これらの鳥たちは天国に通じる上半球である空中を自由に動き回り、下半球である水中も自由に行き来できる鳥です。これらの鳥たちは翼に「春」の乗せてやって来て、雪を思わせる白さを持っています。
その中でも、白鳥が最も尊ばれています。おとぎ噺によれば、白鳥は鳥の中の王様であり、そのけがれをしらない女性を象徴しその白鳥の美しさは数多くの伝説を生んでいます。白鳥は「不死の聖水」の湧く場所を知っています。伝説の物語の中では、白鳥は、「人を蘇生させる聖水」と「食べると若返るリンゴ」を持っていることになっています。
鳥には象徴的な意味があります。おんどりとめんどりは太陽の使者で、鶴とヒバリは春の象徴です。コウノトリは家族の幸せの象徴です。カッコーは未来を予言します。鳩は愛のシンボルです。燕は幸せのシンボルで遠方からの目新しいニュースを運んできます。ガチョーは繁殖力の象徴です。
美術では、鳥は風・雲・稲光・雷雨・嵐・太陽の光を象徴します。北方ロシアの伝統的な土産物は「幸せの鳥(太陽の鳥)」です。昔は、スラブの人々は伝統的な建物である「イズバ」(изба)の美のコーナーと言われている「クラシニイ・ウゴル」(красный угол)の食卓テーブルの上方の天井から鳥をつるしていました。「サモワール (ロシア風の湯沸かし器)(самовар)」を食卓テーブルの上に置くと鳥がゆっくりと舞い始めるのでした。時には、鳥は揺りかごの上につるされました。その幸せの鳥は家族の幸せを守ると言われていました。
鳥の形のおもちゃの笛があります。 これらのおもちゃの笛は北方ロシア地方で5月に催されるヤルマルカと呼ばれる定期市である「スヴスツニヤ」(Свистунья, Свистопляска)で売られていて人気があります。人々は群がり笛を鳴らします。笛を鳴らせば、長いロシアの冬の間家に閉じこもっていて心によどんでい溜まった思いやもやもやした気持ちもどこかへ吹き飛びます。日本の節分の「鬼は外、福は内」と大声で叫びながら豆を撒く伝統も同じような思いが込められているのではないのでしょうか。
一番有名なおもちゃの笛は「ヂムカ」(Дымка)という町で作られている「ヂムカのおもちゃの笛」(Дымка, дымковская игрушка)です。
おもちゃの笛には色々な動物や鳥のシンボルの図柄が使われています。しかし、それらの中のあるものはとても簡単で素朴なものです。何故ならば、その目的は装飾用ではなくて呪術用だったからです。
多くの場合、ウォッカではなくて蜂蜜のワインのメドヴハ(медовуха)という飲み物の器と塩入れに鳥たちの図柄が使われていました。
鴨は夜中に太陽を運んでくると信じられていました。毎日、太陽は「地底の世界」へ行き、そして鴨がはるばると地底まで太陽を探しに行き運んでくるので、翌朝には再び空に昇ってくるのでした。「夜の太陽の運搬人」である「鴨」の図案はいろいろな美術関係のデザインに見られます。最もよく知られているものは鴨の頭の絵柄のある飲み物の柄杓と器の内側の底に太陽の絵柄のある組み合わせのデザインのものです。最近の人気のある土産物です。昔人気があったものは、飲み物の器の中に入れるお守りでした。
ホフロマで作った器にはいろいろな鳥が使われています。
ところで、一番いいロシアの土産は何でしょうか。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
“カルゴポリ”(Каргопольская)のおもちゃの笛
粘土細工のおもちゃ:人間の顔を持つ鳥は生物の神様





|