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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2010年06月03日02時14分掲載
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電車の中で 村上良太
関東の私鉄電車に乗っていてヒヤッとする場を見ました。ドアが閉まり際にお年寄りが1人乗り込んできました。何とか無事に入れましたが、杖がドアに挟まってしまったのです。近くの人が手伝ってその杖を引き込もうとしましたが、努力も甲斐なく、電車は杖をはさんだまま走り出してしまいました。杖は窓の外に少なくとも50cm〜60cmぐらいは突き出していました。次の駅のホームで電車の近くにもし人がいたら・・・?嫌なイメージが一瞬頭に浮かびます。
しかし、幸い事なきを得ました。お年寄りの杖の幅は2cm〜3cmぐらいですから、少なくともそれぐらいのものを挟んでも電車は走るのだ、ということがわかりました。
最近、電車の事故や故障などで時間待ちをすることが増えたように思います。無理して走らせるよりも安全優先を心がけているのだと推察しますが、仮にもしそうであるならそれ自体はいいことです。しかし、前の駅で人身事故が起きると、20〜30分停車したままということが少なくありません。
遅れをお詫びするアドバイスが何度も拡声器で繰り返されます。やがて電車は再開しますが、事故の結果がどうなったのか、それを知るチャンスはまずありません。停止した電車という、普段と異なる空間に閉じ込められたまま乗客たちは’事故に今全力で対処している’、という内容のアナウンスだけを何度も繰り返し聞かされます。でも、その結果どうなったのか。助かったのか、亡くなったのか。結末を知りえないまま電車を降りていくことになります。それはこの社会が無機質な社会である、ということを物語っているような気がします。
とはいえ、決して現場で働いている駅員を批判したいわけではありません。しばしば誠実に任務をこなしている駅員や乗務員を見かけます。
夜、帰りの電車でうっかり棚に鞄を置いたまま降りてしまったことがありました。慌てて電車に戻って鞄を取りまた出ようとしたとき、最後尾の車両でしたが、ふと見ると乗務員が「わかっていますよ。急がなくて大丈夫ですよ」と言わんばかりに見守ってくれていました。こんな時は電車の暖かさを感じます。
最近の電車にはしばしば電光掲示板がありますが、国際ニュースとか、政治経済のニュースよりもまず、その日、あるいはその前日、その電車で何が起きたのかを教えてもらえないものか、と思うものです。
村上良太
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