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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2010年07月31日12時23分掲載
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アジア
【イサーンの村から】(4)なんでもバリバリ、野菜ってなんだろう 森本薫子
うちは一応自然農業を目指した有機農業をしているので、畑にはそこそこの雑草が生えている。自然農業では、自然界に不必要なものはないという考えなので、そもそも「雑草」という言葉も使わないが。とにかく「食べられない草」が、野菜を覆い尽くすほどなのだ。タイの雨季は草木の成長が本当に速い。ちょっと気を抜くと畑はたちまち草ぼうぼうになってしまう。
◆そこらじゅうが「野菜」
植えてある野菜といっても多くはイサーンの地元野菜なので、日本人がすぐ見てわかるような野菜はほとんどない。イサーンの固くて乾いた土では根菜は難しいし、キャベツや白菜、トマトなどは、気温の低い乾季(12〜2月)にしか育たない。葉物野菜は暑すぎるとくたくたになるし、虫にも食われやすい。その点、地元野菜は虫にもほとんど食われないしもちろん暑い気候にもあっている。 でも、タイ料理のスープのダシとしてはかかせないレモングラスなんてどこから見ても雑草だし、イサーン人がもち米のおかずとして大好きなソムタム(青パパイヤのサラダ)の材料であるパパイヤと唐辛子はいつでもそこら中に植わっているが、日本人には食材にはみえないだろう。
以前、家の前の一角に何種類かのハーブを植え、自然農業だから雑草もハーブも共生だよね(草抜くのめんどくさいし)、と雑草も抜かずにそのまま野生化花壇にしておいた。義理母が来たときに「こんなに草ぼうぼうにして・・」とあきれてすっかり草をすっかり刈ってしまった(包丁で!)。しかし、さすが村のお母さん。何が植えてあるか知らないのに、ハーブ類だけはちゃんと残しておいてくれた。
そもそもイサーンでの野菜の食べ方は、たくさんの種類を一緒に入れて炒めたりスープにしたりというのではなく、肉や魚料理と一緒に生でバリバリ食べるというのが多い。 野生の空芯菜、バジル、ミント、バナナのツボミ、蓮の花や茎、その他、日本語名があるのかもわからない各種の植物。やたら苦かったり酸っぱかったりする葉があったりする。この料理のときにこの葉を一緒に食べると消化にいいとか、それなりの理由はあるのだが、苦くて吐き出しそうな味の葉でもイサーン人は平然と食べている。主に薬としてや自然農薬として効果的面のニームの葉は最高に苦い!が、肉の和え物にそえられていたりする。
あるとき、私が大根(タイの大根はにんじんよりもひとまわり小さいくらいの品種)の葉を料理に使おうとすると、タイ人が「そんな葉っぱ、食べられないよ!」と言う。「日本では食べるよ?」と私。たしかに日本の大根の葉よりガサガサして固めだが、調理すれば食べられる。イサーン人、あんなにわけのわからない葉を食べるくせに、なぜ大根の葉はダメ?! イサーン人なりにポイントがあるようだが(?)、野生の植物を料理と一緒に、または薬草として上手に食すイサーン人にはいつも感心する。自然の中に住むということは、野生の草を見分ける目も必要なのだ。
◆虫が嫌いな自然派なんて
「自然が好き」という日本人はたくさんいるけれど、「でも虫は嫌い」という人がほとんどだ。以前は女性に多かったセリフだが、最近は男性も「俺、虫ダメ!」って人がよくいる。虫がいないと自然は成り立たないんだけど・・。蚊さえもシャットアウトする自然空間は、リゾートホテルくらいだ。虫を好きになる必要はないけれど、これだけ虫にお世話になっているのだからそこまで嫌わなくても・・と思う。せめて「無視」くらいにして欲しい。
田舎暮らし、自然生活、エコ、日本では流行っているけれど、自然暮らし=野生生物との共存なのだ。蚊、アリ、かなぶん、羽蟻、トンボ、蛾、バッタ、トカゲ、トゥッケー(グロテスクな爬虫類。上野動物園にいます)・・・家の中にどんな生物がいても今はもう驚かない。 夜の農園だって実は静かではない。虫や蛙の鳴き声がサラウンドで鳴り響く。午前3時には鶏の鳴き声・・。慣れてしまうと全く耳に入ってこないが、改めて聞いてみると野生生物の大合唱だ。日本から遊びに来た友人は夜の音を聞いて「ジュラシックパークにいるみたいだね・・」と言っていた。たしかに、今にも恐竜が出てきそうな効果音だ。
しかし、魚は池から捕ってきて、食用水は雨水というような自然生活ではあるが、今時のイサーンの村では電化製品だってそこそこ揃っている。テレビ、扇風機、冷蔵庫、バイク・・洗濯機や車がある家も。うちにも一通りは揃っている。息子が生まれた時、おくるみを着た写真を日本の友人に送ったら、「普通の赤ちゃんの格好でびっくりしました。バナナの葉っぱにでも包まれてるのかと思った!」と返事が来た。いやいや、そこまで野生的に暮らしていませんから!村の人も、普通に服を着て生活しています。
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畑
トゥッケー
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