中国と台湾の自由貿易枠組み協定に関して環境の視点からの話です。看守台湾協 会のメールニュースから翻訳しました。経済発展だけでなく環境問題を重視すべきと論じています。「看守」は、「かんしゅ」ではなく「みまもる」と読んでください。(翻訳:稲垣豊)
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メールニュース 2010年7月17日号より 原文 http://www.taiwanwatch.org.tw/epaper/20100717.htm#bm2paper
ECFA(両岸経済協力枠組協議)の研究と署名は中台両岸の貿易活動の新たな転換点となった。今後、二国間自由貿易、地域経済協力、中台両岸の貿易活動の法制化などがさらに進むことが予想される。両岸貿易の自由化がもたらす衝撃について議論する際、現在は経済発展、産業構造の転換、雇用問題などに関心が集中している。しかし両岸政府および民衆は地球村の一員として地球の生態環境の永続的保護に対する責任を負っていることを忘れてはならない。
この数年、世界的には地球温暖化と異常気象を如何に調整・適用させるかに関心が持たれてきた。これは人類社会が21世紀に共同して直面する深刻な危機であり、解決の道は実のところ非常に簡単ではっきりしている。つまり温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素の排出量を削減することである。1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた国連環境開発会議から、1997年に日本の京都で行われた気候変動に関する国際連合枠組条約会議、そして昨年末にデンマークのコペンハーゲンで開催された国連気候会議まで、各国の指導者らが語ってきたことは、端的に言うと、二酸化炭素削減の戦術と数値目標をどうするかであった。 各国政府はそれぞれの都合を優先させたいとの思いから、耳ざわりのいいことばかり言い、パフォーマンスに明け暮れ、他国を批判してばかりで、自国の削減については、さまざまな口実をつけてお茶を濁し、言い逃れをし、引き延ばしを図ってきた。
過去20年間、台湾と中国大陸の二酸化炭素排出は、総量においても、一人当たりの平均においても、大幅な増加傾向にある。国際エネルギー機関(IEA)の統計によると、台湾では1990年の二酸化炭素排出量は1.2億トンだったが、2007年には2.7億トンに増加し、世界の0.95%を占める。一人当たりの排出量は、1990年には5.73トンだったが、2005年には11.25トン、2007年には12.08トンにまで増加し、世界で第18位に位置している。
では中国はどうか。アメリカとイギリスの専門家が昨年末に発表した研究によると、中国の二酸化炭素排出量は2001年から2倍に増加した。2007年から2008年にかけて、世界の二酸化炭素排出量は6.71億トン増加したが、そのうちの四分の三は中国による排出量の増加であった。今月(2010年7月)初め、オランダ環境評価局が発表した世界環境報告によると、2009年において、先進国が排出した化石燃料ガスは7%減少した。その理由の一部は経済危機によるが、排出削減の努力の成果もあるという。しかし、同期間における中国の排出量は9%の増加、インドでも6%増加した。インドと中国の排出量の増加によって、2009年の二酸化炭素の排出量の状況は改善されていない。一人当たりの排出量をみても、中国では1990年には2.2トンであったが、2009年には6.1トンに増加している。2008年と比較しても9%増加した。
過去のデータは両岸政府に改善の必要を迫るものだ。ポストECFAの段階においては、両岸政府は、厳粛な態度で地球温暖化と二酸化炭素排出削減のテーマに取り組むべきである。「地球はゴミ箱」ではないし、ビジネスだけに関心を持つのではなく、経済活動が環境に与える影響を軽視してはならない。両岸政府の貿易構造は相当程度「世界の工場」におけるサプライチェーンの役割分業として成り立っており、完成品は他地域で販売されている。また国際的に「炭素税」が議論され始めている中で、地球に対する責任という点においても、あるいは国際社会の要請に応えるという点においても、「二酸化炭素排出削減」は両岸政府が避けることのできないテーマとなるだろう。
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