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2010年09月10日13時11分掲載
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労働問題
社保庁「分限免職処分」撤回を求めて 全厚生闘争団と国交労連藤村本部に聞く 坂本正義
社保庁(現・日本年金機構)の「分限免職処分」(いわゆる解雇)の撤回を求めて裁判に立ちあがった全厚生闘争団の飯塚勇団長と国公労連闘争本部の川村好伸事務局長に、闘争団員の現状や今後の闘争方針などを聞いた。処分された多くの職員は貯金の切り崩しやアルバイトで生計を立てている実態を含め、さまざまな問題が語られた。民主党政権は「地域主権改革」により国の出先機関の廃止を進めるものと思われるが、そうなると他省庁でも分限免職処分が下される可能性が出てくるだろう。改革の行く末を占う意味でも、元社保庁職員たちの闘争を注目していきたい。
<全厚生不当解雇撤回闘争団・飯塚勇団長インタビュー>
−今年1月18日に全厚生組合員31人が人事院に不服申し立てを行い、その2ヶ月後に全厚生不当解雇撤回闘争が立ち上がっています。分限免職処分を受けた方々は当初、個々人で闘争に臨もうとしていたのでしょうか? (飯塚) 1月18日の不服申し立てについては、全厚生本部も組織的に動きまして、職場に向けて「この不当な措置は許せない。大変だけれども、立ち上がる人については全厚生労働組合として全面的に支援する」などと訴え掛けた結果、分限免職処分を受けた組合員が31人集まったということです。 不服申し立てしてから全厚生闘争団の結成までに2ヶ月程かかったのは、一つには弁護団の体制を構築するのに時間がかかったことが挙げられます。弁護団の体制も、一朝一夕にはなかなかできませんからね。ある程度の目処が付いたのが3月だったということで、3月13日に全厚生闘争団を結成した次第です。 なお最終的には、不服申し立て者は39人に達しまして、それぞれの出身都道府県に合わせる形で、9都道府県(北海道・秋田・東京・愛知・岐阜・京都・大阪・香川・愛媛)に弁護団を結成することができました。
−人事院に不服申し立てした元職員の方々は75人いて、そのうち全厚生闘争団の方は39人に達したということですが、その他の不服申し立てした人たちはどういう枠組みで闘っているのでしょうか? (飯塚) 個人個人で闘っていらっしゃるのでしょう。人事院の口頭審理(不利益処分審査方式の一つ)は、請求者(元職員)と処分者(厚労省)の両当事者を対面させ、双方に主張や立証を自主的に行わせることによって審理を進めていく方式ですが、この方式は、公開にするか非公開にするかを本人が選択できます。 私たちは、「とにかくこの問題を世の中に訴えていく必要がある」と考えまして、公開で審理してもらうとの方針で臨んでいます。公開での審理は、当然ながら不服申し立て者本人の勇気が必要になりますが、処分を受けた組合員の方々には「公開で審理に臨むという方針を理解した上で闘争団に入って欲しい」と説得 して加入してもらっています。ですから、個人で闘うという人は、基本的には非公開で臨みたいということなのでしょう。
−分限免職処分を受けた全厚生組合員の中には不服申し立てしなかった人もいらっしゃるようですが、どういう理由があったのでしょうか? (飯塚) 私が見聞きした話を総合すると、不服申し立てしなかった理由には様々なパターンがありまして、「不服申し立てしても無駄だ」と諦める人もいました。また、年金の職場で働いている人は分かると思いますが、年金の職場に戻っても、それはまた地獄なんですね。「日本年金機構になったら、もっと大変な状 況になるだろうことは目に見える」ということで、「この機会に別の仕事に転職しよう」とか、「資格を取るために勉強しよう」などという人もいました。 一番大きいのは、年金業務に嫌気が指してきているということでしょう。年金記録問題が発覚してからのこの4年間、「お前ら、何やってんだ」とか「俺の金を泥棒したのか」、「土下座しろ」など、窓口でもの凄いバッシングを受けてきましたからね。そうしたバッシングにより精神的に参ってしまい、病気になって 休職したり、病気になる前に辞めたりする人が多く出ました。病気休職者数は国家公務員全体の平均よりも随分高い数字が人事院の統計で出ていましたね。また、若手職員による自己都合退職の件数も、かなりの数に上りました。そういう状況でしたから、日本年金機構で働くことについて、「もういいや」とか「仮に年金の職場に戻っても、もっと大変な状況になってしまい、体を悪くしてしまう」と思った人が相当数いたんじゃないかと思います。 なお、日本年金機構になってからは、バッシングが和らいできたと聞いています。NHKが「年金記録問題の背景には何があるのか」といった年金記録問題の原点を追究する番組を何回か放送してくれたこともあり、昔の記録管理のずさんさが要因の一つにあることが浮き彫りになったことで、「あなたたちだけの責任 じゃない」とか「あなたたちも大変だね」などと同情するお客様の姿勢が窺えるようになっているとの報告を現場から受けています。
−公開口頭審理はいつから始まるのですか? (飯塚) 私たちは基本的に弁護士を代理人に立てて人事院と日程調整を行っていまして、その結果、8月上旬の時点で7地域(北海道・秋田・東京・愛知・香川・岐阜・愛媛)の闘争団員の審理日程が確定しました。 人事院は「一部については年内にも判定を出したい」と言っていましたが、個人で闘っている元職員36人から先に審理を始めているようなので、闘争団員の審理は早い人で来年2月から始まる予定です。 「法的な理由だけで考えたら、闘争団員が負ける要素は見当たらない」と言って下さる弁護士もいらっしゃいますが、今後、地域主権改革が進んでいって国の出先機関が廃止されていくと、今回と同様のケースが起こるでしょうから、私たちは「絶対に負けられない」という思いで闘争に取り組んでいます。 京都の闘争団員による裁判闘争も、更なる運動の大衆化など、人事院の審理にも相乗効果をもたらすよう頑張っていきたいと思っています。
−闘争団員の方々はどうやって生計を立てられているのでしょうか? (飯塚) 多くの人が貯金を切り崩しているのではないでしょうか。アルバイトをしている人もいますし、今なお求職活動をしている人もいます。労組の書記として働き始めた人もいますね。 日本年金機構の准職員とか厚労省の非常勤職員という人もいます。その人たちは、給料が以前の3分の1とか2分の1になっている訳で、しかも有期雇用の人は期間満了後にどうなるか、まだ正式には分かっていないんですよ。「取り敢えず、生きていくためには収入を得ないといけない」ということで、非正規の有期 雇用の道を選んだ人が相当数いらっしゃいます。ちなみに、既に民間企業に採用された人もいらしゃいますが、それでも処分が許せないからということで不服申し立てに加わった人もいます。 人事院への代理人や裁判などの弁護士費用、闘争団の旅費などは国公労連の闘争本部が面倒を見てくれる方向です。また生活支援は「全厚生闘争団を支える会」の財政活動で一定の対応は考えています。そのためにも、支える会の会員拡大に全力を挙げたいと思います。 しかし、闘争が長引くと大変ですね。「裁判員制度が導入されるなど、裁判の迅速化が求められているから、長引くことはない」という人もいるし、一方、今回の件は政治的な背景の下、政治判断で行われたことだから、長期化するんじゃないか」という見方の人もいらっしゃって、闘争が長引くかどうかは、今のところ何とも言えないですね。
<国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部・川村好伸事務局長インタビュー>
−闘争本部を結成した理由を教えて下さい (川村) 「分限免職処分を許せない」として不服申し立てした全厚生組合員は当初31人で、その後、39人まで増えましたが、その過程の中で、国公労連としてどう闘いに臨んでいくかを議論しました。 そして、国公労連に加盟する各単組がどれだけこの闘いで自ら主体的に闘うかという観点と、国公労連として全体的な闘い方を統一的に行っていく必要があるという観点から、闘争本部という体制を立ち上げました。 闘争本部を3月23日に立ち上げたのは、2010年春闘の中でも分限免職問題が重要課題だったので、トップ交渉等の春闘の節目のタイミングに合わせたということです。
−闘争本部の役割は何ですか? (川村) 闘争の主体は、当然ながら全厚生闘争団ですが、闘争本部は全体的な運動の企画を担っています。 例えば、5月24日に「社会保険庁不当解雇撤回全厚生闘争団を支える会」を立ち上げましたが、これも私たちが動いて実現させたものですし、支える会への加入を呼び掛けるリーフレットを作成することも行っています。 リーフレットを他団体に持ち込んで加入を直接呼び掛けていくのは、闘争の当事者である全厚生闘争団の方々が前面に出て取り組んでいきます。闘争本部としても、国公産別組織の全国的なネットワークを発揮して支援の輪を広げたいと思います。
−「社会保険庁不当解雇撤回全厚生闘争団を支える会」には、国公労連に加盟するすべての単組が加盟するのですか? (川村) そういう方向で考えています。今、国家公務員法自体が問われています。単組を含めて、もう少し労組内で学習を深めていかなければなりませんが、全厚生闘争団の闘いが進展することで、国公法の問題が職場の中に浸透していくことを望んでいます。
−裁判に突入すると、不服申し立ては取り下げるのでしょうか? (川村) 不服申し立ては取り下げないと思います。闘争本部としては、国公法を所管するなど公務員の身分保障問題を管轄する人事院を徹底して追及することも必要だと思っているからです。 裁判闘争に突入するか否かは、闘争団員や弁護団の性格の違いも関係してきますが、特に京都の闘争団員や弁護団は「裁判で闘わなければ」という姿勢です。京都の闘争団員は無許可専従問題で裁判を闘っていて、その最中に分限免職問題が加わってきた形ですから、闘争団員と弁護団の間には分限免職問題についても 裁判闘争を通じて自らの考えを主張するという意思統一が図られています。 なお闘争本部としては、裁判で物事の白黒の決着を付けるだけがこの闘争のすべてではないと考えています。政府の施策の間違いを質しつつ、年金機構の正規職員など闘争団員の安定した雇用を確保させることが第一義的な要求課題です。
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