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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2010年09月20日11時31分掲載
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政治
現在に対する見識と構想を(6)国民の意見や意識には層的な差異がある−世論調査における民意と現実の乖離に関連して− 三上治
大手メディアの世論調査なるものが世論(市民や国民の現実の意思や意識)の調査結果ではなく、世論として作り出されたものであると前回述べた。作り出されたという言葉には誘導されたという意味は含まれているが、作為されたり偽造されりして出来た世論という意味ではない。民意と呼ばれる現実の世論とは乖離のあるものだという方が適切かもしれない。世論調査なるものを見るたびにどこか違うぜ、何かが違うよと舌打ちしたくなるのはこの乖離感からくるものだと思う。だが、この構造はなかなか析出しにくい。僕らが実感している世論とは乖離していると思えても、この世論がどのような基盤としてあり、生成されているのか、つまり再生産の構造にあるのかつかみづらいためである。
朝日新聞は9月17日の朝刊で「ネットと民意」という記事を載せていた。インターネットでは小沢一郎の支持が菅を上回る現象が起きたことの真偽を論及していたのだ。菅原琢という学者はネット上の世論を「ネット小言」として否定している。世論は無作為抽出で調査なされた大手メディアのもの以外になく、民主党の代表選にそのまま現れていると論じている。 コンサルタントの城繁幸はネット世論の実在を認め、民主党代表選とのズレを、「党員・サポーターのコアには労働組合員のような既得権サイドの人が多く、今の秩序が破壊されて困る人は小沢支持にはならないでしよう」と分析していた。 評論家の宇野常寛はブログ世代は団塊ジュニアが多いとしながら、この世代の意識が無意識も含めて正確に反映されているとしている。
僕はこの記事を読みながら、国民の意識や意思が層的な差異をなしていて、大手メディアで出てくる世論はある層の世論であると推察した。この世論とされるものはある層に偏ったものであり、ある傾向で生成されているものだと思える。これは「政治とカネ」の問題を「クリーンな政治」という幻想(共同)にした層である。「政治の中のカネ」は本当のことはタブーであり、政治家には実際のことは言えず、いつ政治的に狙われるかもしれない恐怖の対象となっている。
これを検察は政治家に対する支配力の武器にし、大手メディアは政治的良識にする。これは支持する良識派市民の共同幻想となる。かくて良識派市民の共同幻想は別の国民意識や意思を排除し、抑圧する検察や大手メディアの支持基盤になる。本当の民意もそれを体現する政治家も排除されてしまう。これが恐ろしいことである。「政治の中のカネ」はクリーンな政治という観念を生み出しているだけだが、これは砂上の楼閣である。これを政治的基盤にする政治家たちの前途は危ういものである。
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