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2010年09月25日18時02分掲載
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英紙の調査報道担当記者に聞く ② 「人がガーディアンを買うのは権力を批判する記事があるからだ」
英ガーディアン紙の調査報道担当記者デービッド・リー氏に、ロンドンのガーディアン本社の一室で話を聞いた。ガーディアンは調査報道に力を入れている新聞の1つだ。リー記者がその名を広く知られるようになったのは、閣僚による武器調達収賄疑惑の報道だった。(ロンドン=小林恭子)
ことの詳細は以下である。
1995年4月10日、ガーディアン紙は、ジョナサン・エイトケン財務副大臣(当時)が、サウジアラビアから兵器契約に絡んで賄賂を受け取っていたと1面で報じた。同紙とグラナダ・テレビの調査報道番組「ワールド・イン・アクション」(WIA)の記者による調査を基にしていた。WIAは、エイトケン氏の武器調達大臣時代の賄賂受領疑惑を「アラビアのジョナサン」と題する番組で、同日午後8時から放映予定だった。
ところが、エイトケン氏は放映3時間前に記者会見をし、「嘘と嘘を広める人」への「戦い」を始めると宣言した。番組は放映され、同氏は名誉棄損で提訴した。
しかし、同氏のパリのホテルでの宿泊代が賄賂であった証拠をガーディアンとWIAの共同取材が明るみに出し、1997年、同氏の敗訴が確定した。99年、同氏は偽証罪と司法妨害で有罪となり、18か月の実刑判決を受けた(実際の受刑は7か月)。裁判費用が膨らみ、同氏はロンドンの自宅を売却しても足りず、破産宣告を受ける羽目になった。一方、ガーディアンとグラナダも訴訟に240万ポンド(約2億2600万円)を費やした。
***
―1980年代初期のガーディアンの雰囲気はどんな感じでしたか?調査報道を記者に書くように奨励するような感じだったのでしょうか?
デービッド・リー記者:当時は、ライター(作家・書き手)のための新聞でした。ガーディアンの中にいて、ライターであれば、大きな自由がありました。何を書くかを選ぶことができ、いろいろな部署で書くことができました。非常に解放的な雰囲気がありました。
―扇情的な、売れ行きが伸びるような記事を書くような圧力はなかったのでしょうか。
ありませんでした。当時、ガーディアンはお金がない新聞で、いつもお金が無くなるんじゃないか、という心配はありました。でも、扇情的な話を書かなければならないという圧力はありませんでした。論外でした。それはタブロイド(大衆紙)がやることです。ガーディアンは非常にまじめな新聞なのです。
―日々の仕事、つまり調査報道以外の仕事をやる義務はなかったのでしょうか。
ガーディアン内で、私は調査報道ができるとジャーナリストだという評判を作ったので(ありませんでした)。後で日曜紙であるオブザーバーに行って、調査報道のチームを作るように、といわれました。そこで自分の好きなことをやることができました。少人数のチームでやっていましたが、1週間に一度出せばいいわけです。このチームでたくさんの調査報道を行いました。一例はサッチャー元首相の息子マークのビジネス上の友人が関わった事件でした。
―現在でも、オブザーバーには調査報道のチームがあるのでしょうか?
今はありません。20年ほど前の話です。ほかにはサンデー・タイムズのインサイドというチームもありました。週に一回ですので、調査報道が可能だったのでしょう。日刊紙だと、その日の出来事に関わらざるを得なくて、忙しすぎます。囚人になってしまいます。短期的見方しかできなくなります。
─既成の権威に挑戦すると、裁判沙汰になることも含め、様々なリスクがあります。例えば大企業が巨額の弁護士費用を使って新聞を黙らせようとします。新聞社にとっては裁判費用など金銭的負担が大きくなりますが、どうなのでしょうか。
ガーディアンのアラン・ラスブリジャー編集長から支援を得ています。たとえリスキーでも、調査報道を続けるべきだと編集長は考えています。人がガーディアンを買うのは、エスタブリッシュメントに挑戦する記事があるからです。エスタブリッシュメントを批判するのが私たちの仕事です。読者は、ガーディアンがトラブルを起こすことを期待しているのです。
―脅しにはどう対処するのでしょう?
いろいろなところから脅しは来ます。政治家だったり、大企業だったり。ガーディアンは大企業からの法的な攻撃をたくさん受けてきました。こうした環境に私たちは生きているのです。ガーディアンには大企業や大きな政府と戦うという姿勢があります。編集長は、ガーディアンの名声の一部は、こうした姿勢に由来していると考えています。(つづく)
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