世界の経済を混乱に陥れている金融危機は、国際会議を重ねるたびに混迷の度を深めているように見える。そんな中、グローバリゼーションへの対抗運動を進める国際ネットワークATTAC(アタック)のドイツの組織が、「銀行に行こう! 銀行の反社会的な再分配の仕組みを人々の面前で弾劾しよう!」を掲げて銀行にデモをかける銀行アクションを展開している。これは9月29日に開催されたEU財務相会議にあわせてEU労連が呼び掛けた行動に応えたものでATTACドイツは国内各地でアクションを繰り広げた。”そうだ!銀行に行こう”(稲垣豊)
このアクションに向けてATTACドイツは「なぜ銀行に9いくのか」を5点にわたって提起している。その第1に「銀行は世界規模の再分配を行う社会的経済基盤であり、資産家が、人間と然を犠牲にして、富を集中し増やすことを可能にしている」と述べている。 さらに銀行への民衆法廷開催を提起、「まったく新しい銀行システムの構築に向けて、大銀行を解体し公共の福祉という義務を課そうではないか」と提案している。
以下、同アクションの映像と呼びかけを紹介する。
・趣旨説明・準備の呼びかけ(宣伝映像あり) http://www.attac.de/aktuell/sparpaket/bankenaktionstag/ ・各種宣伝グッズやメディア向け資料 http://www.attac.de/aktuell/sparpaket/bankenaktionstag/material/ ・ドイツ各地での開催予定(地図あり) http://www.attac.de/aktuell/sparpaket/bankenaktionstag/aktionen-vor-ort/
◎ 貧困層に対する削減法案ではなく大銀行の解体を
銀行や銀行の富裕な顧客の資産は、国による数十億ユーロ規模の救済法によって救済された。ところが、金融危機に責任があったり、金融危機から利益を得た者たちに費用を請求することなどなされずに、いまやその費用はとりわけ国民の最貧困層に転嫁されている。豊かな者たちはますます豊かになり、貧困は劇的に増大している。だが、もうこんなことはだれもがまっぴらなのだ。金融危機を引き起こした者たちや利益を得た者たちに支払ってもらおうではないか。
◎ 銀行に対する民衆法廷 (リンク)http://www.attac.de/aktuell/krisen/bankentribunal/
銀行に対する民衆法廷が明らかにしたこと:金融危機は史上最大の銀行強盗だった。銀行の損失は全国民が補償しなくてはならかったが、とうの銀行は、それ以前とかわらず引き続き、生態系や社会に対して破壊的な業務を遂行している。金融システムや銀行システムの根本にある問題には手がつけられなかったのだ。ドイツ銀行のような銀行はあいかわらず、政治に脅しをかけ民主主義をだめにし てしまうくらい強大なのである。ゆえに:まったく新しい銀行システムの構築に向けて、大銀行を解体し公共の福祉という義務を課そうではないか。
◎ 銀行アクションDAY ― 大銀行を解体し、富を再分配しよう
欧州労働組合連合(欧州労連)は、EU財務相会談を契機として9月29日にブリュッセルでのデモ行進と、そのほかの首都での行動を呼びかけている。同日、ギリシアとスペインではゼネストが行われる予定である。ヨーロッパ社会フォーラムはこの日をヨーロッパ全域での行動日とするよう呼びかけた。アタックは、9月29日には銀行に向かい ― 分散して、すなわち全国で ― 次のことをはっきりと分からせようではないか。もうまっぴらごめんだ!と。
「銀行に行こう! 銀行の反社会的な再分配の仕組みを人々の面前で弾劾しよう!」
◎ なぜ銀行に行くのか?
1.銀行は世界規模の再分配を行う社会的経済基盤であり、資産家が、人間と然を犠牲にして、富を集中し増やすことを可能にしている。
2.銀行はタックスヘイブンとの取引により、毎年数十億の税金がごまかされるのを手助けしている。これにより銀行は公共の予算を奪うだけでなく、南から北への世界規模な再分配を促進している。
3.銀行も一緒になって金融危機を引き起こした。銀行は、グローバルな金融市場の自由化と規制緩和を促進した。きわめて投機的な金融債を募集、販売、取引し、不透明な闇経済をつくった。これにより銀行はまた、貧困が増大し、社会福祉国家が内実を失い、社会福祉の経済的基盤がこわれるという事態を引き起こ した。
4.銀行は一般の人びとから収奪している。銀行は金融危機で生じた損失を埋め合わせるために数十億もの公共の救済金を浪費し、かつ金融カジノで勝負を続けるのに用いた。
5.銀行は民主主義をだめにし、社会に無力感をつくりだす。いくつかの銀行はあまりにも強大なので、体制にとって重要なものとみなされている。こういう銀行がつぶれれば全金融・経済システムが危うくなるだろうから、今後も税金で救済されると、当て込んでいるのだ。
(翻訳 O・S)
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