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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2010年11月03日00時38分掲載
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文化
フランスからの手紙19 フランスのウーマンリブ創設40周年〜70年以後のフランス女性の地位について〜La situation des femmes en France depuis 1970 パスカル・バレジカ
1970年8月26日、10人ほどの女性解放運動(MLF)の闘士達はパリのエトワール凱旋門の下で無名戦士の妻に花束を捧げた。これがMLFの最初の公式の活動だった。その横断幕には「無名戦士よりも無名なのはその妻だ」と書かれていた。また「人類の二人に1人は女性である」とのスローガンもあった。後者は世の常識とはいうわけではかった。というのも、フランスで女性に選挙権が与えられたのは1944年のことであり、欧州では最も遅い国の中に入るからだ。
以来40年間、フランスの女性の地位は見かけ上は向上した。1974年、ヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領は大統領に選ばれて間もなく、女性の地位向上を推進する大臣のポストを創設した。続いて女性の権利を守る法案が次々と通った。経済の領域においても、性の領域においてもだ。後者では1974年に避妊を合法化し、1975年には中絶を合法化した。家族法の領域では親権の男女平等が進み、職業と政治の領域でも男女間の平等が促進された。今では警察、軍、国会、地方自治体など、行政のあらゆる領域に女性は進出している。さらにアカデミー・フランセーズにおいても同様だ。
しかし、1974年以来、男女間の給料の格差をなくすために4本もの法案が通されたが、未だに男女間の収入の差は厳然と存在する。複数の統計によれば同一労働をした場合でも女性の収入は男性より平均で27%低い。
もっと深刻な事態がある。フランスでは3日に1人の割合で女性が男性配偶者の暴力によって殺されていることだ。特に教育水準が比較的に低い層においては男性が女性を見るときの態度は全くといっていいほど変わっていない。
さらに事態を複雑にしているのは宗教が復活している傾向である。フランスのような世俗国家においては過去30年来、宗教は私的領域に限定され、縮小の一途をたどっていると一般には思われてきた。ところがイスラム教のセクト的かつ保守的な形での台頭が影を投じている。第二次大戦後、北アフリカのマグレブ地方やサハラ以南のアフリカからイスラム教徒の住民たちがフランスに移住したことで、イスラム教は今日、フランスで第二の宗教になっている。そのことがフランス国内の女性に重大な影響をもたらしているのだ。
今日、フランスでもベールに身を包んだ女性を見ることは珍しくない。フランス共和国憲法では女性の地位は男性と同じであると歌われている。しかし、しばしばイスラム教徒の女性は、時には非常に若い女性までもが、髪を覆うベールを着用しているし、時には全身をすっぽり覆うベールを着用していることすらある。これはイスラム教の信仰の義務によるものではまったくない。単に女性の地位が男性より低いことを象徴しているに過ぎないのである。
こうした状況からフランス政府は国内の公共の場において、全身を覆い隠すニカブやブルカというタイプのベールの着用を禁じる法案を通そうと試みた。だがそれはフランスの世論を分断しただけでなく、明らかに無駄だことだ。フランスのすべての女性の地位が男性と平等になるにはまだまだ歳月がかかるだろう。
寄稿 パスカル・バレジカ(Pascal Varejka) メールアドレス(言語は英仏伊) pascal.varejka@gmail.com 翻訳 村上良太
■女性解放運動(MLF)創設40周年 〜フランスのTV5MONDEのサイトより〜MLF闘士フランソワーズ・ピック(社会学者)のインタビューと、文中にある1970年8月26日の凱旋門の下で行われた献花の様子が掲載されている
http://www.tv5.org/cms/chaine-francophone/info/Les-dossiers-de-la-redaction/MLF-40-ans-feminisme-fevrier-2010/p-6999-Entretien-avec-la-sociologue-francaise-Francoise-Picq.htm *関連映像(インタビュー)
http://www.youtube.com/watch?v=FwDDJTHPGrM ■女性の地位向上担当大臣 (Secretaire d’Etat de la Condition feminine)
http://www.senat.fr/evenement/archives/D35/secretariat.html 閣僚ポストが創設された1974年から1976年まで、初代大臣をジャーナリストのフランソワーズ・ジルー(Francoise Giroud 1916-2003)がつとめた。F・ジルーは第二次大戦中はレジスタンス活動に身を挺し、1945年に女性誌「エル」の編集長となった。さらに1953年には週刊誌「レクスプレス」共同創刊者となる。その後、政界にも進出し、女性の地位向上に努めた。
http://www.senat.fr/evenement/archives/D35/giroud.html
■ジスカール・デスタン大統領(Valery Rene Marie Giscard d'Estaing, 1926-) 1974年から81年までフランス大統領をつとめた。名前の頭文字をとってVGEとも呼ばれる。80代の現在も「欧州の民主主義のために」と題するブログをつづっている。 http://vge-europe.eu/
以下は元のテクスト
■La situation des femmes en France depuis 1970
Le 26 août 1970, une dizaine de militantes du MLF (mouvement de libération des femmes) avait tenté de déposer une gerbe à la femme du Soldat inconnu, sous l’arc de triomphe de l’Étoile, à Paris. C’était la première action officielle du MLF. Sur leurs banderoles, on pouvait lire : “Il y a plus inconnu que le soldat inconnu, sa femme”, et “Un homme sur deux est une femme”. Cette dernière constatation n’a pas toujours été une évidence : la France a été l’un des derniers pays d’Europe à accorder le droit de vote aux femmes, en 1944.
Depuis 40 ans, en apparence, la situation des femmes s’est améliorée en France. En 1974, le président de la République Valéry Giscard d’Estaing, récemment élu, a créé le poste de Secrétaire d’État à la Condition féminine. Par la suite, on a effectivement voté toute une série de lois reconnaissant les droits des femmes, dans le domaine économique, dans le domaine sexuel (en particulier la loi libéralisant la contraception en 1974 et loi autorisant l’avortement en 1975), dans le domaine familial avec la reconnaissance de l’égalité parentale, dans le domaine professionnel et politique.
Certes, on trouve maintenant des femmes dans toutes les administrations, dans la police, dans l’armée, à l’Assemblée nationale, au gouvernement – et même à l’Académie française. Mais depuis 1974, quatre lois ont tenté d’imposer l’égalité des salaires ; en vain, car d’après les statistiques, le salaire des femmes reste de 27 % inférieur à celui des hommes exerçant la même activité. Il y a plus grave encore : en France, une femme meurt tous les trois jours victime de violences conjugales. Les mentalités, surtout dans les milieux les moins éduqués, n’ont donc pas complètement changé.
Et la réémergence des religions complique encore les choses. Il y a une trentaine d’année, dans un pays laïc comme la France, on pouvait croire que les religions étaient définitivement sur le déclin et reléguées à la sphère du privé. Mais l’essor inquiétant d’une forme sectaire et rétrograde de l’islam - l’islam est aujourd’hui la seconde religion recensée en France, suite à l’importante immigration en provenance du Maghreb et de l’Afrique subsaharienne depuis la fin de la seconde guerre mondiale, -a entraîné des conséquences graves pour les femmes.
On peut maintenant voir en France des femmes voilées. Alors que, selon la Constitution, les femmes sont les égales des hommes, certaines femmes, parfois très jeunes, choisissent de porter un voile couvrant leurs cheveux, ou un voile les couvrant entièrement, qui ne correspond nullement à une obligation religieuse, mais qui symbolise l’infériorité de la femme. Au point que le gouvernement français a envisagé de voter une loi -qui divise l’opinion et est sans doute inutile - interdisant le port du voile intégral (niqab ou burqa) dans les lieux publics.
Il reste bien des progrès à accomplir pour que toutes les femmes soient vraiment les égales des hommes en France…
Pascal Varejka
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パスカル・バレジカ氏 ジャーナリスト。またパリやプラハの都市史を多数執筆。「図像で見るパリの歴史」「中世のパリ」「欧州の奇妙な象」、ガイドブック「パリ」など。イタリア語の芸術本、歴史書、ガイドブックなどを仏訳する翻訳家でもある。
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