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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2010年12月09日11時42分掲載
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「ネットで調べる経済指標」(久保田博幸著)〜経済記事の作られ方に迫る〜
久保田博幸著「ネットで調べる経済指標」(毎日コミュニケーションズ)は内閣府、総務省から財務省や経済産業省、厚生労働省、国土交通省などの省庁、日銀、さらにはアメリカの商務省や労働省、FRB(連邦準備制度理事会)までカバーしており、どんな統計が公開されているかわかりやすく紹介している。本書の良さは、ホームページからそのデータにたどり着くまで何をクリックすればいいかまで解説していることである。実際、省庁のホームページを訪ねても、中々肝心のデータにたどり着けないことが少なくない。
かつて活字は出版社と新聞社が独占していた。ミニコミ誌を作っている人々は手書きのガリ版で印刷物を配っていた。しかし、ワープロとパソコンの普及でその独占は消滅した。一方、これまで新聞や雑誌は経済の指標や統計データに接する事ができるありがたい媒体だった。住宅がどれくらい売れているのか、失業率はどれくらいなのか。物価は上がっているのか下がっているのか。マネーは全体でどれぐらい流通しているのか。
こうしたデータは時々の新聞や雑誌の記事に添えられて初めて目にすることが多かった。逆に言えば新聞・雑誌や大学教員のありがたみを増す源泉になっていた。
しばしばそこでは情報を伝える媒体によるある解釈とデータが1セットになっていた。読者は統計データと虚心に向き合う前に、まず誰かの解釈を先に読み、その解釈の裏づけとして統計データを見る、という思考の流れが多かった。
しかし、今では統計データの多くは省庁のホームページで公開されている。われわれは誰かれの解釈なしに虚心にデータと向き合い、自分自身でその背景を考えることができる時代に生きている。ただし、せっかくの情報公開も使い慣れていない人にとっては宝の持ち腐れになっている。
「ネットで調べる経済指標」で解説されているものにはたとえば以下のようなデータがある。
アメリカに関しては貿易収支、住宅着工件数、小売売上高、企業在庫、雇用統計、消費者物価指数、労働生産性、地区連銀経済報告(ベージュブック)、ニューヨーク連銀製造業景気指数、ミシガン大学消費者信頼感指数など。
日本に関してはマネーサプライ統計、企業倒産件数、新車販売台数、給油所石油製品価格、コンビニエンスストア販売額、スーパー販売額、全国百貨店売上高、企業物価指数、公社債投資家別売買高、消費者物価指数、家計調査、労働力調査、家計消費状況調査、貿易統計、外貨準備高、国債発行計画、鉱工業指数、小売業販売額、有効求人倍率、景気動向指数、GDP,機械受注など。
統計のタイトルだけ見るととっつきにくい印象もあるが、久保田氏はそれぞれの統計の見所もわかりやすく紹介してくれている。 たとえば、「資金循環統計」なる統計である。これだけでは普通の人には何の統計なのかさっぱりわからないだろう。そこで解説の「内容と公表日」にはこう書かれている。
「資金循環統計とは、日本の金融機関、法人、家計といった各部門の金融資産・負債の推移や残高などを、預金や貸出といった金融商品ごとに記録した統計で、四半期ごとに公表されます。この数字を基に、「個人の金融資産が1500兆を越えた」などと報道されます」
新聞に出てくるデータの作られ方が示されているのだ。 さらに解説の「ここを見る」を読むと、
「私はこの資金循環統計を基に、国債の保有者別内訳を算出しています。「国債を買っているのは誰なのか」を、国債の項目の残高から算出しているのです。」
実際に久保田氏はこの統計を基に自ら作成した「日本における国債所有別内訳」の円グラフを紹介している。国債を海外、家計、金融仲介機関、財政投融資、郵便貯金、民間金融機関、日銀などがそれぞれどのくらいの割合で保有しているかが一目でわかる。経済記事はどう組み立てられているか、プラモデルの設計図のような一冊である。
■久保田博幸氏 1958年、神奈川県生まれ。水戸証券の債券部で国債を中心とする債券ディーリング業務に従事するかたわら、1996年に債券市場のホームページの草分けとなった「債券ディーリングルーム」を開設。幸田真音著「日本債券」の登場人物のモデルにもなった。 (「ネットで調べる経済指標」のプロフィール欄を参考にした)
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