農水省は12月24日、「遺伝子組換えダイズの第一種使用等に関する承認に先立っての意見・情報の募集」を始めた。締め切りは1月22日。対象となった大豆はバイエルクロップサイエンス株式会社が作った「除草剤グリホサート及びイソキサフルトール耐性ダイズ」とイミダゾリノン系除草剤耐性ダイズ。2010年22年2月5日付けで前者は隔離ほ場での栽培試験に関する承認申請、後者は食用又は飼料用に供するための使用、栽培、加工、保管、 運搬及び廃棄などについて申請があった。申請を受けた農水省は生物多様性影響評価検討会農作物分科会で審査、「我が国における生物多様性に影響が生ずるおそれはないものと判断した」として、パブリックコメント募集に踏み切ったもの。しかし、遺伝子組み換え大豆生産が広がっていう南米ではモンサントのグリホサートが深刻な問題を引き起こしていることが実証されされており、南米における遺伝子組み換え作物導入による影響を調査してきたNGO活動家の印鑰智哉さんは、日本への導入は大きな問題を引き起こすと警告している。(日刊べりタ編集部)
農水省の審査過程は以下で読めまます。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550001288
ここ数年、南米でアグリビジネス・遺伝子組み換え企業が主権国家の主権をまったく無視する形で非合法に遺伝子組み換え大豆を持ち込み、強力なロビーイングで合法化させました。その結果は数十万人単位の小農民、先住民族の難民化という事態です。ブラジル南部、パラグアイ、アルゼンチンの事態がかなりひどくなっています。
日本ではほとんど報道されていないと思いますが、その動きをこの1年ほど追ってきました。Twitterでごく簡単にその都度の動きをメモしてあります。
http://twilog.org/tweets.cgi?id=tomo_nada&word=%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%B5%84%E3%81%BF%E6%8F%9B%E3%81%88
農薬による被害は詳細に調査され、モンサントのグリホサートが深刻な問題を引き起こしていることが実証されていますが、大豆モノカルチャーの拡大は止まるところを知らず、あっという間に南米は世界の大豆の半分を生産するに至りつつあります。
http://www.gmwatch.org/component/content/article/12479-reports-reports-
アグリビジネス、大土地所有者による先住民族、小農民の迫害の上、除草剤の被害が拡大する一方なのですが、その動きを止めるにはその大豆を買い付ける消費国を止めなければなりません。現在は多くはヨーロッパの家畜の餌になったり、中国などに輸出されていると思います(まだ詳しく調べられていませんが)。
実際に遺伝子組み換えの動きは絶対に止められないものではなく、遺伝子組み換えのメッカである米国でも非遺伝子組み換えに切り替えている農民が増えているといいますし、最近でもドイツが遺伝子組み換えに対して断固たる姿勢を示しました。WikiLeaksでも米国政府があらゆる手を使ってヨーロッパの政府を落とそうとしていることが暴露されています。
フィリピン・ダバオでも遺伝子組み換え作物を根こそぎにする命令が最近出ていますし、むしろ世界的には遺伝子組み換え企業にとって旗色悪い状態ではないかと思います。実際、モンサントの収益も最近大幅ダウンと聞きます。
それを日本政府が諸手をあげて歓迎すれば市場が大きいので、遺伝子組み換え産業を助けてしまうことになりかねない。遺伝子組み換え企業は米国が一番強いので、米国とのTPP協議では当然、遺伝子組み換えの受け入れが要求されてくるでしょう。
日本政府が遺伝子組み換えを承認してしまえば、遺伝子組み換え企業の農業支配はさらに進んでしまいます。
ということでこのパブリックコメントに対してしっかりガツンと反対意見をぶつけてやりたいと思っております。農水省に対してどうしたらいいか、みなさまのアドバイスをいただけると大変幸いです。
印鑰 智哉
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