・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・教育
・文化
・アジア
・国際
・入管
・中国
・市民活動
・米国
・欧州
・みる・よむ・きく
・核・原子力
・検証・メディア
・反戦・平和
・外国人労働者
・司法
・国際
・農と食
・イスラエル/パレスチナ
・市民活動告知板
・人権/反差別/司法
・沖縄/日米安保
・難民
・医療/健康
・環境
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース
・司法
・マニラ新聞
・TUP速報
・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus
・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2024年11月21日
・2024年11月20日
・2024年11月18日
・2024年11月17日
・2024年11月16日
・2024年11月15日
・2024年11月14日
・2024年11月13日
・2024年11月12日
・2024年11月11日
|
|
2010年12月28日15時00分掲載
無料記事
印刷用
農と食
秩父の山のむらに伝わるジャガイモ、中津川いもの物語 大野和興
林野率98%の秩父・大滝地区(旧大滝村、現在秩父市)の最も奥の集落中津川。上州と県境を接するこのむらに伝わる中津川いもという地種のジャガイモがある。小粒で楕円形をしていて、薄赤い皮が特徴。大滝いもともいわれる。このいもでつくる「いもぐし」がめっぽううまい。
中津川は標高800メートル、平場はまったくない。いもはこのあたりで「ななめ畑」といわれる急傾斜の畑で細々と作られ、守られてきた。やせ地で育ち、寒さに強いことから、貴重な食料として、奥秩父と山で連なる群馬の山間地でつくられてきた。
なぜこの地で作られるようになったのかには、諸説がある。日露戦争でロシアにいった農民兵士がふんどしに隠して持ち帰ったという説、同じく日本に兵隊がペルーから持ってきたという説、などなど。ペルー説は、日本の兵隊が南米まで行ったという話は聞かないからまゆつばという人もいるが、兵士ではなく開拓にいった日本人が持ち帰ったということなら理解できる。なにしろ中津川いもはアンデスの原種に近いという感じがするからだ。暇ができたら、中津川いものルーツを追う旅に出てみたいものだと思っている。
このいもの伝統的な食べ方に「いもぐし」がある。ふかしたいもを竹串に刺して、いろりのまわりに刺し、たれをつけながらあぶる。たれは各家庭でそれぞれ持ち味があり、みそが主で、その中にゴマ、エゴマ、サンショウの実、クルミなどを入れて練る。コメがとれない奥秩父や峠を越えた上州奥田野の村々では貴重な食べ物だった。たれは家々で独特の味があった。この「いもぐし」、いまでは伝統食として観光客に喜ばれている。
いま山間地の畑はイノシシやシカ、サルなどの獣の被害に悩まされており、次第に生産は減っている。だが、平場に持ってきて植えても中津川いもの持ち味はなくなってします。条件が良いから大ぶり・大味のいもになってしまうからだ。高齢化や開発で山を離れた村人は、必ず種いもを抱えて山を下りたが、「いもの味がしない」を昔を懐かしがる。中津川いもはななめ畑のやせ地に限るのである。
|
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|
山の畑。けものよけの囲いが周りを囲んでいる。
いもぐしをつくる(中津川で)。
|