アメリカの新聞Huffington Postによれば、昨年11月の時点でアメリカの失業率は9.8%に上昇した。米政府が世界の金融業界に投じる予算は総額3.3兆ドルに及ぶ。TARPの枠組みでアメリカの大手銀行に投入された7000億ドルはその一部に過ぎない。
しかし、国から公的資金を注入されたアメリカの大手銀行は軒並み貸し渋りに回っているようだ。実体経済に資金を回すよりも手元に蓄える傾向が強いという。
アメリカの銀行が利用者の預金から得た収入は2010年第二四半期には1450億ドルに上昇した。一昨年同時期の20億ドルと比べると飛躍的な伸びだ。一方、公的資金注入を受けた大手銀行の陰で、小さな銀行群は苦境にあえぎながらも全米の70%を占める小規模な経営者に資金を融資しているという。こうした大手銀行の貸し渋りがアメリカの実体経済に悪影響を及ぼしていると同紙(2010年12月6日)は批判している。
http://www.huffingtonpost.com/2010/12/06/bank-of-america-bailout_n_792438.html Huffington Postはインターネット新聞で、ブログやビデオも掲載している。基本的には政治やビジネスを中心に様々な分野について報じているようであるが面白いのは「コメディ」なる特集欄もあることだ。編集長は新聞の名前と同じく、Huffingtonさんが行っている。以下はその編集陣の紹介ページである。
http://www.huffingtonpost.com/p/huffington-post.html 映画監督・脚本家・ジャーナリストのノーラ・エフロン(Nora Ephron)も編集陣に参加している。「恋人たちの予感」「心みだれて」などの脚本や「ユーガット・メール」(監督・脚本)などの監督作品がある。
このアメリカの金融を追及する記事から見ても、市民の視点を持った新聞と思われる。編集長のハフィントン(Huffington)さんのフルネームはアリアナ・ハフィントン(Arianna Huffington)であり、名前から女性であろう。そこで彼女の名前で検索してみたらウィキペディアに掲載されていた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Arianna_Huffington ウィキペディアなどによると、アリアナ・ハフィントンさんは1950年生まれのギリシア系アメリカ人で、全米各紙にコラムを寄稿するコラムニストだそうである。ギリシアで生まれ、16歳の時に英国に移住。ケンブリッジ大学で経済学を学んだ。 コラムニストとして最初は保守派の論客だったが90年代の末にリベラル派に転じたとウィキペディアには記されている。元共和党議員マイケル・ハフィントンの元奥さん(1997年に離婚とある)だという。離婚がリベラル派への転向と関係しているのだろうか?
2003年にはカリフォルニア州知事選にアリアナさん自ら無所属で立候補している。この時のカリフォルニア州知事選はグレイ・デイビス知事(民主党)がリコールされた後の選挙で100人を越える立候補者が乱立したことでも有名な選挙である。このときシュワルツェネッガー候補(共和党)が当選を果たした。
ハフィントンポストの自己紹介欄によるとアリアナさんがインターネット新聞「ハフィントンポスト」を共同で設立したのは2005年5月のことだ。新聞はたちまち有名になり頻繁にリンクされるようになった。翌年のタイム誌は彼女を最も影響力のある人ベスト100にリストアップしている。
フォーブズ紙はアリアナ・ハフィントンさんをメディアで最も影響力のある女性の第12位にランクし、ガーディアン紙はメディア業界人トップ100の42位にランクした、とある。著書は13冊に上る。こんな有名な人だったとは。知らないのは僕だけだったのかもしれない。
■ハフィントンポストのブログ欄にノーラ・エフロンが「ディープスロートと私」と題したコラムを書いている。彼女はウォーターゲート事件を報じたワシントンポスト紙の記者カール・バーンスタインの元妻である。「短期間だけ夫だった彼は私にディープスロートが誰か教えてくれなかった。しかし、私はマーク・フェルドがその人だとわかった」
http://www.huffingtonpost.com/nora-ephron/deep-throat-and-me-now-it_b_1917.html
村上良太
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