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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年01月07日14時00分掲載
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アジア
【イサーンの村から】(13)お正月、集まり、だべり、飲み、食べて 今日は豚肉、明日は牛 森本薫子
タイでは4月中旬の「ソンクラーン」というバラモン教起源のお正月がメインなので、12月と1月の年末年始はソンクラーンほど盛り上がらないが、家族と親戚が集まり、美味しい料理やお酒をいただきながら過ごすのは日本と変わらない。日本では、年末年始は忘年会、新年会、年賀の訪問・集まりなどの予定を立てる人が多いだろう。まだ会いたい人たちとだけ会うなら楽しいけれど、義理実家に行くのが苦痛という話もよく聞く。ゆっくり楽しく過ごしたい年末年始。日本ではそうもいかない人も多いかもしれない。
去年の大晦日は夫の地元の村へ行った。義理妹の家で過ごしていると、どこからともなく地元仲間が集まってきて、いつの間にか宴会になっていた。もちろん約束していたわけではない。家の前で数人で飲んでいると、友達が通りかかり、声をかけ、だんだん増えていくだけである。元旦は、村内の空き地でのスポーツ大会。大人たちはビール片手にセッパタクロー(足を使ったバレーボールのような競技)のトーナメント戦、子供達は周りで好き勝手に遊んでいる。村内のほとんどが参加しているようだった。家族全員で参加でき、その上地元の友達もみんな一緒に過ごす元旦。事前に約束するわけでもなく、その時来たい人が来る。なんだかいいなぁとうらやましくなった。
今年は31日は、特に予定は入っていなかったのに、昼前になったらいきなり「おばあちゃんちで豚BBQをすることになった」という。おばあちゃんちというのは隣りの敷地なので、それなら・・と行ってみると、うちの農園で飼っている子豚2匹が既にさばかれ炭火で焼かれていた。親戚も集まり、大人子供含め15人ほどで宴会となった。「あれ?明日はお義母さんが来るから、豚BBQは元旦にするって言ってなかった?」と私が言うと、「明日は、牛食べるから」と。あ、そうなんだ、ふぅ〜ん。このくらいの予定変更はいつものことなので、特に驚かない。
午後になると、明日迎えにいくはずだった隣り街に住んでいる義母を、「やっぱり今から迎えに行って、今日はお母さんちに泊まって、明日一緒に戻ってこよう」と夫が言う。まあ、いいけど。さっそく子連れで泊まりの用意をした。行ったところで、義母は働いている食堂の忘年会が終るまで帰ってこないとのことだったので、それまで義理妹の家で過ごした。
次の朝、義母と義理妹の子供達2人と一緒にうちへ戻り、また義理祖父宅に集合。別の親戚が来ていて再び10人ほどの宴会。食事後、うちの息子と親戚の子供達(総勢6名...)の相手をしていると、大人たちが「ナコンパノム(車で2時間くらいの他県)へ行く」と言い出した。数ヶ月前に離婚した親戚の娘(25才)に新しい彼ができたので、その彼の家へ。なんでいきなり?さっきまでご馳走食べて、お酒飲んでまったりしていたと思ったら。まあ、好きにしてください。
よくよく聞いて見ると、結婚の申し込みというか、ご挨拶に行くと言う。普通は、男性側の両親が、女性側の両親に、「娘さんをください!」とお願いしに行って結納金などを決めてくるのだけれど、今回は相手の男性はまだ21才で貯えもなく、実家も裕福でないので、女性側から出向く(この場合、結納金も無しでいいことになるらしい)ことにしようと、本人たちが話し合ったらしい(よって、この娘の親、親戚とも、あまり相手をよく思っていない)。 そして、いきなり元旦に親戚が集まっている席で、その娘が、「私の相手に会いに(結婚のお願いに)行って」と言ったらしい・・・。そもそもこの娘の母親は小さいときに亡くなり、父親は再婚してバンコクに住んでいるので、父方の兄弟である叔父さん叔母さんが育ての親(うちの隣りの敷地に住んでいる)。だからこの叔父さん叔母さんに、婚約者への結婚の申し込みをお願いしたらしい。それが元旦で親戚が集まっていたので、みんなで行こう・・・という流れに。こんな重要なことなのに、その場で訪問決定するとは、さすが・・・。着の身着のまま、出発準備にも5分とかからない。近所のコンビニに行くのかというほどの身軽さだ。
いつも思うことだけれど、こちらの人は、誰を訪問するのもされるのも、集まってご飯を食べたりするのも、本当にいきなりで気軽だ。携帯は農村にも普及しているけれど、その時つながらなければ突撃訪問。留守だったらあきらめればいい。訪問された方も非常識だと怒るわけでもなく、大体は相手をしてくれる。忙しければ、遠慮なく自分の仕事を優先させればいい。といっても農家だったら仕事内容は自分でコントロールできるのだ。 相手が忙しいのではと気を使い遠慮しているうちに、連絡しなくなり疎遠になる。日本ではそんな人間関係が増えてきた気がするけれど。遠慮しない仲もいいものだ。
さて、娘の婚約予定者を訪問したところ、結局結婚の決定にはならず、相手の家でみんなで夕食を食べて帰ってきただけだった。気の知れた仲間同士で遠慮のない訪問はわかるけれど、まだ婚約もしていない相手の実家に対してもノリ。これはお互いに心が広くなければ成り立たない関係だな・・とも思う。小さなことでキリキリせず、誰か来たら、自分のことはさておきお客さんを歓迎する。時間に追われる生活をしていたら難しいことだけれど、気持ちの問題も大きい。イサーンの農民のように、心を広く持てますように…と今更ながら、新年の祈願にでもしてみよう。
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