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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年02月06日09時22分掲載
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アジア
【イサーンの村から】(15))続「食べられる生き物の話」 イサーン人はなんでも食べます、コブラもヤモリもサソリも 森本薫子
前回に続き、イサーンの生き物の話。昆虫よりも食べる機会は少ないものたち。イサーン人は蛇も食べる。なんとコブラも食べる。キングコブラは体全体に毒があるから食べられないけれど、コブラは頭だけ(?)に毒があるから、そこを切り落とせばいいらしい。みんな「美味しいよ〜」というけれど、これもめったに捕まらないだけに、希少価値からくる「美味しさ」なのだろう。
コブラが出てきた時にはさすがにびっくりしたが、すかさず捕まえるイサーン人を見てさらに驚いたのは既に10年ほど前のこと。今までに何種類かの蛇を食べる機会があったが、骨っぽくて生臭くて、そんなに美味しいとは思ったことはない。唐揚げならまあまあか。
前に農業研修センターで生活していた頃には、全長1メートル以上のオオトカゲも食べたことがあった。蛇よりもこっちの方がまだ肉の部分が多くて食べがいがあった。オオトカゲがアヒル小屋に潜入し、アヒルの子供たちを食べまくっていたのをイサーン人スタッフがみつけ、怒りのあまりに吊るし上げたのだ。それをイサーン人の研修生の男の子たちが嬉しそうにさばいて料理し食卓に上った。 一度では食べ切れなくて、研修所の冷凍庫に冷凍保存して食事当番が順番に使っていたくらいだ。他にも、鷹や、ジャコウネコだかハクビシンだか(天然記念物?)よくわからない動物も食べた。
このときから、イサーン人は何でも食べてしまうんだ・・・とは薄々気づいていた・・。研修所の私の部屋の裏に大きな亀が出現したときは、「イサーン人に見つかったら食べられちゃうから、早く逃げな・・!!」とかくまった(?)こともある。いつか竜宮城に行けるかも。
キンカーというのはトカゲやカメレオンと訳される爬虫類ことだが、小さくて一見ヤモリ(タイ語でチンチョク)に似ている。キンカーもチンチョクも、どこの家でもあまりにも普通に出てくるので、まったく視界に入らないほどだ。ときどきドアに挟まって死んだものが、白骨になって落ちてきたりするが、それも無視。
私の妊娠中に義妹家族が泊まりに来たことがあった。義妹は料理上手で、この時も何度か食事を作ってくれた。ある時作ってくれた料理を、見た目はよくある肉や魚をミンチにしたイサーン料理なのだけれど、魚?ちょっと骨っぽい食感だな・・と思って食べながら「これ何?」と聞くと、「キンカー」と義妹。「・・・・。」いつもなら少しくらい驚きの食材でも「ふぅ〜ん」と食べ続けるのだが、この時は手を止め、「妊娠中って、キンカー食べていいのかな・・」と一瞬不安になってつぶやくと、義妹は「もう散々食べて、今更何言ってるの」と気にも留めない。まあ、大丈夫だろうけど。 でも一応と思って、ネットで調べても、もちろん日本語サイトに「妊娠中にトカゲやカメレオンは食べてもいいか?」なんて載っていなかった。キンカーの方が少し大きいが、チンチョクと良く似ていて私の中では同じ分類だったが、夫に「どこが違うの?」と聞くと、「キンカーは食べるけど、チンチョクなんてまずそうだよ!」と言う。どっちもどっちだろー。
そしてサソリ・・。これは私も食べたことがないし、実際に捕まえて食べているイサーン人も見たことがない。でも市場などで売っているのは何度かみたことがある。出現頻度で言えば、コブラよりも断然高い。少なくともうちの農園では。
ある日、いつも遊びに来る小学生のミーちゃんムーちゃんが外で遊んでいると、ムーちゃんが「かおるおばちゃん!ミーちゃんがサソリに刺された!」と走ってきた。急いでミーちゃんのところに行ってみると、足首を掴んで座り込んでいる。「サソリ、どこ行った?!」「その辺・・・!」すぐに殺さないと危ないので、見回してみると、全長12〜13センチほどの黒いサソリがいた! 私はとっさに近くにあったゴム草履で叩き潰した。サソリはそれほど動きが機敏でないので、比較的すぐに捕えることができる。この大きさのサソリ、時々出現するのだ。私も何度も小指大の小さなサソリには刺されたことがあるが、この大きさのものはない。ミーちゃんの足首を見ても蚊に食われたような小さな痕しかないけれど、毒がどれだけ入っているのか心配だった。 しかし・・おじいちゃんも叔父さんも、うちの夫も、「大丈夫、ほうっておいて大丈夫」と言うのだ・・。この人たちも、当然刺されたことがあるのだろう。だからこの余裕・・。それを信じて、気休め?に消毒だけして、あとは何もしなかった。サソリやムカデに刺されると、刺された瞬間の痛みが何時間もずっと続く。ミーちゃんもだいぶ長い時間痛がっていたが、一日もたったらすっかり治ったようだった。この大きさでも毒はないのか?
小さなサソリでも、刺された後の数時間は痛みが続く。日本人の研修生がうちの農園に滞在していた時も、「す、すいません・・。サソリに刺されました・・」と朝の5時くらいに私を起こしに来たことがあった。どうやら首を刺されたらしい。夫が戸棚から薬を出して塗り、「もうこれで大丈夫だから」というと、安心したように自分の部屋に戻っていった。後になって「あの薬、何だったんですか?」と聞くので、「タイガーバーム」。 「えっ・・・・・。」もちろんタイガーバームがサソリ刺されに聞くわけではない。ただの気休めに塗っただけだったのだ。研修生は、イサーン秘伝の万能薬とでも思っていたようだ。「病は気から」というのだから、「これで大丈夫!」と思った気持ちが痛みを無くしたのかも。タイガーバーム、効果抜群! それなりの頻度で現れるサソリ。今度は捕まえて食べてみようか。そうしたら、私もまた少しイサーン人に近づけるかも? いや、別に近づかなくてもいいんですけどね。
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