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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年02月19日10時50分掲載
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ロシアン・カクテル
(28)何故コサックは“しゃがみ踊り”をするのでしょうか?<下> タチヤーナ・スニトコ
ところで、ロシアの祭りには一つの特徴があります。田舎では祭りが多く、時には喧嘩や争いになることがありました。この祭りの伝統はとても古いものです。13世紀の記録には既に祭りでの争いの記録があります。寒い時期には氷の張った河や湖でその争いは行なわれました。まずは手始めとして、一対一の決闘がありました。その後は、“壁” 対“壁” (“壁”は一列もしくは数列の男性のグループ同士)での争いとなりました。もっと規模が大きくなる場合には“通り”対“通り”、“村”対“村”などの争いがありました。
さて、それらの喧嘩には喧嘩としての暗黙のルールがありました。相手に対して恨みがないようにする。倒れた相手を打ってはいけない。相手を後ろから打ってはいけない。手に重い物を握ってはいけない。足を相手にかけてはいけない。服を引っ張ってはいけない。相手を足で蹴ってはいけない。・・などでした。
ところで、“ルールのある喧嘩も時には怪我人がでたり、死者がでるような乱闘になることがありました。乱闘には十代から年寄りまでの全ての年代の男たちが参加するのでした。こんな野蛮な住民同士の争いの風習は、戦争のときに住民から国民兵を募るのに都合がよい風習でもありました。ロシアは戦争が多く、戦いに慣れた兵士が必要でした。
興味深いことには、ブザ(буза) 「又はロマーニイェ(ломание)“気どる“(もったいぶる)という“踊り”」の闘いです。それは“踊り”と“殴りあい”が一緒のものでした。通常の踊りが終わると、特別な“ブザ”の曲が鳴って、踊り手は一人一人別々か二人組かグループで“ロマーニイェを始めるのでした。“ロマーニイェ”の前には踊り手は頭を振って、髪の毛をかき乱すのでした。(今もこのユニークな動作はロシア舞踊団の舞踊に見ることができます。)
“ロマーニイェ”の特徴はリズムの変化です。“ロマーニイェ”の振り付けは殴り合いの動きです。この“踊り”は一人の相手が倒れるまでか最初に血をみるまで続くのでした。曲の演奏者が演奏をやめると、“ロマーニイェ”もまた終わりになるのでした。
もう一つのスラブ民族の男性の踊りは“ヴップリシャヅク”(しゃがみ踊り)です。ウクライナには“ヴップリシャヅク”というダンスは多いのですが、ロシアのダンスでは、“しゃがみ踊り”はダンスの中の一つの振り付けです。
“しゃがみ踊り”はコザックのトレーニングの一部でした。スラブ民族では戦士を二つのタイプに分けていました。一つのタイプは「活発な人」でもう一つのタイプは「善良な人、がまん出来る人」でした。善良な人には“ロマーニイェ(ブザ)”をトレーニングさせました。活発な人には“しゃがみ踊り”をトレーニングさせました。
かつて、軍隊では騎兵が重要な役割を果たしていました。コザックはいつも自分が育てた馬と共に戦争に参加しました。戦場では、コザックは走っている馬の胴体の周りを回って戦うトレーニングをしていました。コザックには、サーベルで突くこと、射撃、曲乗り、側面攻撃などは欠かせない能力・技量でした。落馬しても“しゃがみ踊り”というトレーニングしているコザックはサーベルの突きを避けることができました。駆けて行く馬の腹の下にとびつくことができました。歩兵戦では“しゃがみ踊り”のトレーニングは混み合った闘いの場面では役立つものでした。
面白いことに、昔の戦いではよく戦闘前の踊りから始まりました。武器を持つ兵士が前に出て“ゴパク”(“しゃがみ踊り”の一種)という踊りを踊りました。ロシアの内戦(1918-1922)のときには、兵士の軍列は小銃を肩に掛け手風琴の音をかきながしながら前進しました。陣の前で(前線の前で)踊り手役の兵士たちは踊るのでした。そしてそれを見た敵は退却しました。何故かという合理的な理由は説明できませんが、敵は楽しげに踊っている相手を見て怖くなってしまったようです。
もちろん、“しゃがみ踊り”というトレーニングだけではなく、曲乗りも大事でした。
ロシアとウクライナの舞踊から真似たユニークなコサック兵の冗談っぽい“ズダローワツァ・トレーニング”「“挨拶トレーニング”;“ズダローワツァ”здаровацца“は挨拶する”の意」はサーベルの突き方向で相手の手を打ちます。それは合計8タイプの打ち方で互いにリズムの変化で手を打つのです。それはサーベルの突き方向で打ちます。剣道の上段の構え、中段の構え、下段の構えなどを想像していただければおわかりになるかと思います。
ロシアの軍隊では、昔も現在も多くの部隊には歌舞団があります。ロシアの軍隊は徴兵制です。楽器を弾けるとか歌か踊りの上手な新兵はラッキーです。兵役期間中は踊りや歌といった仕事に従事することが出来るからです。
ロシア海軍の水兵には“リンゴ”(ヤブロチコ;яблочко) という“しゃがみ踊り”があります。
それにしても、なんて奇妙なダンスなんでしょうね!
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(27)何故コサックは“しゃがみ踊り”をするのでしょうか?<上> タチヤーナ・スニトコ
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ロシア水兵の“しゃがみ踊り”
“壁”対“壁”の争い
ウクライナの“ヴップリシャヅク”(しゃがみ踊り)
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