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2011年02月21日11時50分掲載
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TPP/脱グローバリゼーション
【TPPって何なんだ】長野県中川村でTPP反対デモ 「地域経済守れ」と村長先頭に村一丸
長野県中川村のTPP反対デモは2月20日、予定通り行われた。朝日新聞長野県版2月21日号はその模様を「JA中川支所をはじめ、農業と直接にはつながらない村商工会や村建設業協会など、立場を超えた9団体が結集。予想の倍以上の380人が、村役場からの2.4キロを約1時間かけて歩いた。「地域経済を守れ」「日本の食と緑を守れ」とシュプレヒコールするだびに鳴り物が響いた」と報告している。(日刊ベリタ編集部)
TPP反対のデモを村ぐるみで行った背景には、山間地域の村にとってTPPへの参加は、主要産業である農業を壊すだけでなく、地域経済と地域社会の疲弊と崩壊をもたらすという曽我逸郎村長の思いがある。
中川村は人口5200人、ふたつのアルプスに挟まれた風光明美な地域で、果樹園芸と稲作と中心とする農業と観光で生きている。
その村が村ぐるみでTPP反対に立ち上がった理由を、朝日新聞長野版は、以下のように伝えている。
「外部資本に頼らず、農業を核に元々持っている力を大切にする内発的発展をめざしてきた。企業を誘致しても成果は上がらない」。TPPの大波は、「農業だけでなく、中山間地なので限界集落に陥る恐れがある」と村長は受けとめる。
「何かせにゃいかん」「どうせなら目立つことを」の声が村内で高まり、今月中旬に実行委員会が発足。村長を代表に9団体が集い、「村を挙げての意思表示」になった。
………………………
◆この記事を書いた田中洋一記者の<伊那谷から125>
春の兆しを感じながら、久しぶりに汗を流す。環太平洋経済連携協定(TPP)に反対する村民のデモを同行取材した。好位置で隊列にカメラを構え、彼らが近づくと後ろに下がり、また位置決め。その繰り返しは結構いい運動だった。デモ隊の最前列中央には実行委員会を代表する村長が陣取った。彼の思いが、私を今回の取材に駆り立てた。 TPPは例外なき関税撤廃をめざす通商協定で、アメリカやオーストラリアなど環太平洋の9カ国が参加している。日本も加われば、関税の撤廃により自動車や家電の輸出に弾みがつく半面、格安な農林水産物がどっと流れ込んで農業は大打撃を受ける恐れがある。農産物の多くが市場開放に晒されるからだ。 自治体には利害の対立する様々な団体があり、人々がいる。農業県と言われる信州でも、輸出産業と結びついた企業の誘致に力を入れる自治体は多い。輸出産業vs農業という図式にこだわる限り、首長はどちらにも首を振りにくい。実際、TPP問題で信州の首長がデモの先頭を切ったという話は聞かない。 さて、この村は人口5000余人。4割近い世帯が何らかの形で農林業に携わる。一方で村内に工業団地はなく、「企業誘致しても成果は上がっていないに等しい」(村長)。その意味で、TPP反対の声を上げやすい素地はある。 だが、デモを主催した実行委員会には、農業と直接には関係のない商工会や建設業協会も加わっている。商工会の代表は「TPPは私たちの会社や社員を不幸にする協定」と表明した。建設業協会の代表は政府調達に触れ、「建設物資は価格のみで決まるようになりかねない」と危機感を訴えた。なるほど、輸出産業vs農業という図式だけで物事を見てはいけないと教えられた。 当面の矢面に立たされるのは農業に違いない。中山間地には小規模農家が多く、コスト争いは安い輸入農産物に太刀打ちできない。地産地消の掛け声とは裏腹に地場産は衰退を迫られ、地域社会の崩壊を招き、環境や景観を守る農山村の機能は弱まるに違いない。少子化・高齢化と相まって限界集落が増えそうだ。 今回の取材を通して、私自身がTPPについて理解が浅いと気がついた。それもそのはず、菅直人首相が「交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指します」と舵を切ったのは昨年10月の所信表明演説で日が浅い。貿易自由化は日本政府の一貫した対外政策とはいえ、何がどうなるのか具体像は伝わってこない。さらに今年1月の施政方針演説は「関係国と協議を続け、6月を目途に交渉参加について結論を出します」と性急さが目立つ。 最悪のシナリオは、これだけ大きな問題なのに国民的な論議を煮詰めないまま見切り発車することだ。
田中 洋一
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