最近、凝っていることを紹介しましょう。 一昔前、ジャーナリストたちは、視点を多様化させるために日々、五紙の新聞を読め、と言ってきた。五紙とは朝日、日経、読売、産経、毎日のことだ。当時、その言葉を信じて出来るだけ多くの新聞に目を通すようにした。確かにひとつのことを立体的に見ることが出来たと思う。
イギリス人社長の下で会社で働いていたころである。社長はFINANCIAL TIMESを読んでいた。こっそりそれを読むと世界の政治経済が日本人の視点ではないことに新鮮味を感じ、それ以来社長の捨てた新聞を読むことも多くなった。上記の五紙どころか、日本のどの新聞にも書いていない、まったく違った視点がそこにはあった。
最近、そのときと同じように外国人の視点で世界を観るということにはまっている。中国・人民日報の日本語電子版、韓国・朝鮮日報の日本語電子版を読んでいる。ネットで読める。もちろん無料。これが実に面白い。今では気になる記事を毎朝チェックしている。
http://j.peopledaily.com.cn/home.html
http://www.chosunonline.com/ 私は若いころ40カ国を放浪し、外資系の会社に長いこと勤務していたのだが、それでも、この最近は自分の視点の狭さを実感している。あの事件が、世界ではこういうふうに解釈されている、と日々新しい発見をしている。世界情勢を、読んで知ることよりも、その先にある、世界情勢をどう解釈するかがとても重要な気がする。
人民日報は事実上、中国共産党の代弁者だというとことは分かっている。しかしこれが単なるプロパガンダ新聞ではないのだ。日本人には有用な情報があまたの数あるし、中国人が何を考えているかもよくわかる。また中国共産党が何を狙っているかが分かる。読んで有益であることは間違いない。 現在、人民日報では中国のGDPが日本のそれを抜いて、経済規模が世界第二位になったことが連日書かれてある。
日本がそれに気をよくしていないことを察し、彼らはこういう記事を書いた。豪紙:中国の発展は日本に悪いことではない。
http://j.peopledaily.com.cn/94476/7293727.html プロパガンダの常套手段だ。自分の言いたいことを他の権威ある者の発言を借りるのだ。
また、中国は過去日本を含め世界の国々から侵略されたからなのか、または歴史上何度も内戦をしたからなのか陣取り合戦のような領土問題に異常なほど興味を示す。
http://j.peopledaily.com.cn/94474/7294532.html
http://j.people.com.cn/94474/7294855.html 日本では領土問題とは政治につなげて語られることが多いが中国では軍事問題となる。人民日報では、領土問題の記事を集めたページには軍事問題に関する記事が含まれている。
韓国だってそうだ。朝鮮戦争を経た国は領土問題を軍事問題ととらえている。こうして見ると日本だけが理想主義のような気がしてならない。
その韓国・朝鮮日報は予想以上に日本の記事が多い。つまり日本の存在は大きい。アクセス数上位ランキングを見てもわかるが韓国は日本を強烈に意識している。毎日、あらゆることに関して、たとえばサッカー、経済、産業、文化などで、日本を悪く書いた記事と、賞賛した記事が並ぶ。アジアカップ優勝のときなどは、アジアカップについて日本人記者以上に面白い記事を書いていた。おそらく韓国人は、日本人以上に日本人論を語れる民族ではなかろうか。日々これを読んで思うのは、韓国の日本人に対する感情は複雑かもしれない。
日本人のことを大好きだが大嫌い。日本人はだめになってきてるが、まだまだ学ぶべきところが多い、そんな感じだ。ちなみに今日2月21日のトップ記事はこれ。日本ではまだ報道されていない内容。
http://www.chosunonline.com/news/20110221000004 アジア主要紙の読み比べは面白いですね。皆さまにもお勧めです。
さて、その韓国から驚く情報が入ってきた。不景気のさなか、飛び上がらんばかりの嬉しい情報。 日本でも売れた「死ぬときに後悔すること25」。これが韓国で30万部も売れて大ベストセラーになったとの連絡。日本で売れた本が韓国でも大ベストセラーになる。うれしい限りです。
そして話はふたたび中国。今中国で北海道旅行が大ブームなのを知っていますか?それは中国で「狙った恋の落とし方」という映画が大ヒットしたからです。
http://www.okhotsk.org/news/tyuugoku.html
http://nerakoi.com/ 北海道でロケした中国映画です。これを観ました。実に面白い。話の構成が実にいい。中国で大ヒットした理由が分かります。レッドクリフの百倍面白い。こちらもお勧めです。
鬼塚忠 作家の代理人 アップルシード・エージェンシー代表 著作「ザ・エージェント」(ランダムハウス講談社)他多数
http://www.appleseed.co.jp/
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