イエメンの首都サヌアで起こった反政府デモで2名が殺害されたことをうけ、アムネスティ・インターナショナルは23日、イエメン政府に弾圧をやめるよう呼びかけた。
2月初めに始まった騒乱以来、首都での死亡者は今回が初である。南部の県アデンでの13名を含めると、死亡者は全体で16名となる。
22日の夜、治安部隊がサヌア大学近辺にデモのキャンプを設営していたグループを襲撃した。これにより2名が銃撃され死亡した。目撃者によると、ギャング風の男たちが治安部隊の手助けをしていたという。
「この不穏な進展は、イエメン南部で反体制派のデモに対し治安部隊が死に至る武力を行使したように、強硬な戦術が他の地域でも徐々に用いられ始めたことを示唆しています」とアムネスティ中東・北アフリカ部副部長のフィリップ・ルーサーは述べた。
「数日中により多くの人びとがイエメン全土でデモに加わるとみられている中、もし当局がこのような弾圧を続けるならば、今後さらなる犠牲者がでることは避けられないでしょう。人びとは、平和的に集まり抗議することを許されなければなりません。」
厳重警備がしかれる中で、公式には発令されていない「非常事態宣言」が市民によって報告されるなど、アデンでの状況は緊迫している。
アリ・アブドゥ アル・ハラフィ(‘Ali ‘Abdu al-Khalafi )は23日の時点で、アデンにおける最新の犠牲者である。伝えられるところによると、治安部隊は22日、コルマクサル地区でデモ参加者に向けて発砲した。彼は頭を撃たれ死亡した。
タイッズ県では2月18日、治安部隊がデモを行なっていた人びとに向け発砲したようである。これにより負傷した参加者の一人は、2月20日に死亡した。
アムネスティはまた、イエメン南部で反体制派グループのリーダーが拘束されたとの情報を得ている。
健康を害していた70代のハサン・バオームは20日、骨折の治療をうけていたアデン病院で治安部隊に逮捕された。彼はサヌア中央刑務所に、外界との連絡を絶たれた状態で拘束されているようだ。
連立野党「南部運動」の指導者の一人は、イエメン政府に対する「怒りの日」と称された運動を、国内南部で行なうことを繰り返し呼びかけていた。
「もしハサン・バオームが平和的に表現・集結の自由の権利を行使しただけで拘束されているのであれば、彼は良心の囚人であり、即座に無条件で釈放されなくてはなりません」とフィリップ・ルーサーは述べた。
「また政府は、彼が必要とする治療を遅れなく施すこと、および彼が拷問や虐待から守られていることを保証しなければなりません。」
16日に行われたアデンにおけるデモをうけ、多数の人びとが逮捕されている。逮捕された人びとはアルマンスラ中央刑務所にて、起訴も裁判もなく拘束されているようである。
2007年以来、アデンおよびイエメン南部の各地で抗議が行われている。人びとは政府が南部の人びとを差別していると主張し、南部の独立をますます望んでいる。
ここ数週間の、大統領退陣と体制の変革を求める首都サヌアおよびその他の都市におけるデモを受け、アデンの抗議者たちも同じような要求を掲げはじめた。
南部運動は複数の政治団体による包括的な運動であり、彼らの一部は国家南部の分離を望んでいる。
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http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=2616
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