BBCなどによると、ヘッジファンドや外国企業がアフリカで農地を買収している。まともな売買契約の書類すら交わされていないケースも多いようだ。ヘッジファンドは買収した土地で、換金作物を作る。バイオ燃料や花などだ。一方、農地を追われる人は多数に上っている。
こうした警告をしているのはアメリカのシンクタンク「Oakland Institute」だ。エグゼクティブディレクターのアヌラダ・ミタルさんは言う。
「地元民からの土地取得は簡単で、ときにはジョニーウォーカー1瓶を部族長に与えて土地を取得しさえする」。
こうして土地を追われる人々が多数に上っているという。2009年だけで、フランス全土(約6000万ヘクタール)に匹敵する土地が海外の企業群によって取得(借地を含む)されたという。
同シンクタンクはアフリカで土地を買い占めているのは、欧米で金融・不動産バブルを起こしたのと同じ企業だという。今、それらの企業群は食糧市場で儲けようとしているというのである。しかし、シンクタンクに告発された企業は「言いがかりだ」と否定しているということである。
http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-13688683 ■オークランド・インスティテュート カリフォルニアに拠点を持つシンクタンク。2004年にインド系のアヌラダ・ミタルさんが設立した。最新レポートでアフリカで進行している土地の買い占めを告発している。
http://media.oaklandinstitute.org/ サイトで紹介されているガーディアン(英)の記事によればハーバード大学やバンダービルト大学といったアメリカの名門大学勢も英国のヘッジファンドや欧州の投資会社と組んでアフリカの土地買収や借地を行っているという。こうした事業は地元のアフリカ人には役立っていないばかりか、土地を追われる農民が後を絶たない。こうした投機で25%ものリターンを見込むというから驚きだ。それは不動産金融バブルと変わらない。 米名門大学群が投資の際によく使っているのがロンドンに拠点を置くヘッジファンド、Emergency asset managementだそうだ。このヘッジファンドにはかつてゴールドマンサックスやJPモルガンで通貨ディーラーをしていた人たちがいるという。 Emergencyの担当者は「土地収奪ではない。土地を有効活用しているのだ」と話している。かつては中国や東欧の投資家が自国の食糧需要のために途上国で土地買収を進めていると報じられてきたが、大きな売買の場合、しばしば欧米のファンドが裏に潜んでいるとオークランドインスティテュートは指摘している。
http://www.guardian.co.uk/world/2011/jun/08/us-universities-africa-land-grab ■アヌラダ・ミタルさんの講演(youtube) 「世界の飢餓について」 2005年から2008年にかけて、食糧価格が83%上昇し、発展途上国では収入の70%〜80%を食費に費やさざるを得ない家庭が多数に及ぶという。これが政治の不安定にもつながっている。食糧を支配することは世界の政治を支配することにもなる。
http://www.youtube.com/watch?v=b6t51qIjg9Q Derrick Jensen (1960-,カリフォルニア在住の環境保護活動家)によると、ミタルさんはインドで生まれ、デリー大学で学んだ。少女時代に教わった開発事業のバラ色の未来図に反し、ダムの建設で多くのインド人が土地を追われ、貧困に追いやられていることを知った。「人は意識的に他者を飢餓に追いやる決定を下す。その決定を下す大きな力を持っている。なぜなのか、それをつきとめたい」と考えるようになった。political scientistとなり、アメリカや第三世界の飢餓問題を専門にするようになった。オークランドインスティテュートを立ち上げる前は「Food First」と呼ばれる施設で活動していた。第三世界で飢餓を起こしている勢力は富める国アメリカ国内でも飢餓を作り出していると考えるようになった。
http://www.derrickjensen.org/mittal.html
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