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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年06月23日13時01分掲載
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核・原子力
調布市議会、20ミリシーベルトの撤回と子どもの被ばく低減についての意見書採択へ
東京都調布市議会は本日の建設(環境)委員会で、学校内などでの20ミリシーベルト基準の撤回と、子どもたちの被ばくの低減に関し、文部科学省・総理大臣への意見書を採択した。この意見書は29日の議会最終日に正式に決議され、議長名で「意見書」として政府に提出される。(日刊ベリタ編集部)
以下、6月29日に調布市議会議長名で政府に提出される「意見書」。
文部科学省が示した学校等の20ミリシーベルト基準と子どもの被ばくリスク低減についての意見書(案)
4月19日、文部科学省は福島第一原子力発電所の事故で飛散した放射性物質によって汚染された学校等について、放射線量20ミリシーベルトを許容基準とすると発表した。
これは国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた事故が起きた場合における基準値の1〜20ミリシーベルトの最高値を採用したものである。
この決定には、三点の大きな問題がある。第一は、この基準値が世界の常識と照らし合わせても非常に高いことである。この20ミリシーベルト(/年)という値は、労働基準法で18才未満が働くことを禁じている「放射線管理区域」の約4倍であり、原発労働などで白血病を発症した場合に労災認定される放射線量を上回っている。
第二は、この決定が外部放射線量のみを基準にしていることである。実際には校庭等でチリや砂塵を吸い込み、また基準値以下であっても水や食物から受ける内部被ばくも考慮しなければならない。そのためには空間で測定する外部放射線量は低く設定する必要がある。
第三は、この基準値が放射線に対する感受性が高い子どもや胎児に対する区別がないことである。ICRPにおいては、18才未満の生徒に対しての学校における放射線防護として一般公衆の1/10であるべきだと勧告している。日本でもこれに沿った指導が文部省から行われてきた経緯がある。たとえ重大な事故が起きた非常時であっても、子どもや乳幼児、胎児は一般公衆の許容限度と区別されなければならない。
福島県が公表した「福島県放射線モニタリング小・中学校等実施結果」によると、県内の小中学校・幼稚園・保育所の75%以上で法令で定められた「放射線管理区域」の基準を超える放射線が観測されている。これらの学校等での避難や放射線低減のための除染は、文部科学省が発表した20ミリシーベルトという緩い基準によって実現されず、あるいは大幅に遅れることになった。このようなことは放射線管理のあり方においても、人道上の問題としても許されない。
文部科学省は5月27日に、福島県の多くの市民の被ばく低減の訴えや自主的に除染活動を始めた自治体や学校、保育園等の声を受けて、被ばく許容限度20ミリシーベルトの基準を維持しながらも、1ミリシーベルトを目指すと発表した。これは意義のある目標であるが、被ばく放射線量の低減を校庭、園庭の表土除去だけに限っていることは問題である。空間放射線量が1マイクロシーベルト(/時)以上の学校の除染だけについて財政支援を行うとしたことも不十分である。この放射線量は年間に換算すると8.8ミリシーベルトであり「放射線管理区域」を大きく上回る環境である。学校等の除染はこれまでの基準値である1ミリシーベルトを超える学校等のすべてで行われなければならない。表土だけの問題ではなく、環境全体の放射線量が高い地域では集団での避難も行うべきである。
基準値をこれまでどおりの1ミリシーベルトとすると避難や除染の実施で新たな困難が発生するだろう。福島県民が心身ともに負う困難は計り知れないものとなる。しかし子どもたちの未来の健康を保障するためには、全国民でこの困難を共有しなければならない。
調布市議会は、地方自治法99条の規定に基づき、内閣総理大臣及び文部科学大臣に対して以下の事項を意見書として提出する。
1、文部科学省は20ミリシーベルト基準を撤回して、これまでの規定どおりに1ミリシーベルトを基準とすること。そして子どもや胎児に対する基準は特に考慮すること。
1 文部科学省および内閣総理大臣は、被災地域の学校等及び生活環境全般で放射線量低減のために有効なあらゆる施策を行うこと。また自治体や市民団体、市民が行う集団避難、疎開、あるいは自主避難、除染活動が円滑に行われるように最大限の支援を行うこと。またこれまでに行われた避難、除染活動についても区別なく支援すること。
以上決議する。
平成23年6月29日 調布市議会
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