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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年07月08日11時44分掲載
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アフリカ
世界で一番新しい国からの便り.ハピーバースデイ南スーダン共和国 文:平田伊都子、石川雄史 写真:石川雄史
2011年7月9日、30年近く続いた北スーダンとの紛争に終止符を打ち、アフリカ54番目の独立国<南スーダン共和国>が誕生する。「南スーダンに自由と平和がやってきた」と、遠く離れた日本人は思い勝ちだが、現実はそんな甘くはないらしい。 南スーダンで水問題などの支援活動をしている石川雄史氏の南スーダン便りを紹介する。
* 石川雄史 南スーダン便り
「我々は自由になる。」待ちに待った独立を7月9日に控えた南スーダンの人達の言葉です。先日ある村の市場を訪れた際、昔からそこに店を構えているというおじいさんが「この市場は何十年もこの規模だが、独立すればもっと大きくなるぞ。」と嬉しそうに言いました。どうして市場が大きくなるのか訊ねると、「自由になるからだ。」と彼は自信たっぷりに答えました。
現在、南スーダン政府は目前に迫った独立を祝う式典への準備を急ピッチで行っています。多くの人達が道路脇を掘り起し、花や街路樹を植え、新しい道路標識を立てる作業に携わっています。7月9日には、海外から多くのVIP・ジャーナリスト達を迎える為、国の威信(と見栄を)賭けた突貫工事が続いています。
皆さんは、独立式典の写真やその模様をニュースや新聞などでご覧になるかもしれません。確かにそれは南スーダンの数十年に渡る悲願ともいえる北部からの独立への思いが詰まった、華やかな式典になる事と思います。しかし、式典が行われるその間にも、独立国南スーダンには重要な諸問題が存在し続けています。あの市場のおじいさんが言う「自由」を本当に手に入れるのであれば、南スーダンはこれらの課題に真剣に取り組む必要があります。
まず、部族紛争の問題があります。南スーダンには、多くの部族が存在します。それぞれの部族には自分たちの部族語があり、文化も異なります。ある特定の部族間の遺恨は非常に根深いもので、毎年のように彼らの重要な財産である牛の奪い合いが起こり、それは時に殺し合いにも発展します。この文章を書いているたった今でも、私が今働いているジョングレイ州で部族間の抗争が起きており、数百人が亡くなっているというニュースが入ってきています。このような部族紛争は、北スーダンからの独立に絡む南北の対立とは別に、南スーダンがこれから克服していかなければならない大きな課題です。 そして、水や食糧の不足に苦しむ人々が居ます。首都となる予定のジュバには、最近地方から猛烈な勢いで人が流入してきています。人口もここ数年で倍増したそうで、町はかなりの勢いで発展し続けています。しかし一方、地方に行けばまだまだ人々は、基本的なモノ、つまり食糧や水さえも事欠くような状態です。私は活動を通じ、地方の村々で泥水を飲んで暮らさざるを得ない状況の人達とたくさん出会いました。雨季と乾季がはっきりと分かれるジョングレイ州では、乾季には水が無くなり川も干上がる程で、水不足は顕著です。水だけでなく食糧不足が深刻な村も多く、国連機関が配給する食糧に頼っている人々も大勢います。水や食糧という基本的なニーズさえ、外国からの援助に頼っている状態なのです。
独立とは、「独りで立つ」というその言葉通り、他の援助束縛を受けず己の責任において様々な課題を抱えた現実に対峙する事、そして独立式典とはその決意を表わす場ではないかと思います。南スーダンもその課題を乗り越えた時にこそ、本当の独立と自由を手に入れる事ができるでしょう。皆さんが独立時だけではなく、その後の南スーダンの行方を少しでも気にかけて頂けるのであれば、現地で働く者の一人としてとても嬉しく思います。 認定NPOピースウインズ・ジャパン 石川雄史
* 南スーダンと北スダンの紛争
スーダンの不幸は、1974年にシェブロンが石油という宝物を見つけた時から始まった。シェブロンとはアメリカの国際資本石油会社で世界スーパーメジャー6社の一つである。石油の約80%は南スーダンで見つかった。俄然色めき立ったのは北スーダンのムハンマド.ヌメイリ元政権で、南スーダン住民に約束していた自治権を反故にし、南スーダンを完全統合しようとした。南スーダン住民はジョン.ガランを指導者に<スーダン人民解放軍>を蜂起させ、北スーダン政権と2005年の南北和平合意まで戦闘を繰り広げた。 もともと南部と北部の住民には大きな違いがある。 指導者の名前に象徴されるように、南部住民は旧宗主国イギリスの洗脳でキリスト教徒が多く、共通語は英語だそうだ。一方、北部住民はアラビア語を喋るイスラム教徒で、大部分がアラブ人だ。さらに黒人系の南部人には、奴隷貿易時代にアラブ奴隷商人が黒人奴隷を残虐に売買したことに対する、怨念もくすぶり続けている。南部住民の独立を国際社会が支持するのは常識だ。が、石油の利権が絡むと、いつも破廉恥な戦争を仕掛けてくるのは、住民を無視した国際社会なのだ。
* バシール北スーダン現大統領を大歓迎した中国
2011年6月28日、胡錦濤中国国家主席がバシール北スーダン大統領を篤い握手で迎えた。日本首相を袖にしたあの主席が、こともあろうにICC(国際刑事裁判所)からダルフール戦争犯罪人として逮捕状が出ている<国際お訊ね者>を国賓として迎えたのだ。 国際社会が国際法無視だと中国を非難すると、「うちの国はICCに加盟していない。文句あるか!」と、中国はきっぱりとはねつけた。中国は偉い!ICCほど偽善的でいい加減な組織はない。イラク戦争犯罪人のブッシュやブレアを訴追せず、石油利権を握るスーダンのバシールやリビアのカダフィを告訴し逮捕状を出す。ただし、ICCの逮捕状には強制力がなく<ICC加盟国は逮捕に協力する義務>があるだけだから、バシールもカダフィも注意深く行動すればいいのだ。第一、中国を初めイスラエル、アメリカ、ロシア、といった世界の強国はICCに加盟していない。AUアフリカ連合は7月1日に、カダフィ逮捕への協力を首脳会議で否決した。 「中国はこれからも北スーダンと石油開発をはじめとした経済協力を続けていく」と、中国国家主席はバシール北スーダン大統領との商取引を成功させた。 アフリカ資源目当ての中国によるアフリカ支援は、欧米よりも痒いところに手が届く細やかさがある。元宗主国の欧米は相変わらずご主人気取りで、奴隷に餌を投げ与えるようなところがある。 やれ<非民主的>だとか<非人道的>だとか、口うるさく小言も言う。 が、中国はイデオロギーを押し付けたりしないで、黙って井戸を掘ったり橋を作ったりする。どっちがアフリカ人に受けるのか?中国だ。結局、中国がアフリカ人と石油取引を結ぶことになるのだ。
* 南スーダン共和国 おめでとう
石川雄史氏が語るように、新生南スーダン共和国はたくさんの課題を抱えている。なかでも石油のあがりをどう住民に還元していくのかが一番の問題だ。 南スーダンの地下には確かに石油がある。が、石油技術者の大部分は北スーダン人だ。 南北国境のアビエイ油田地帯は未だに非自治地域で、南北スーダン紛争の大きな火種だ。 「地域住民の利益が至上」と、国連憲章が謳っているように、南スーダンの石油資源は南スーダン住民のものだ。石油の恩恵が正当に平等に南スーダン住民にいきわたれば、石川雄史氏たちが作るおいしい水を、南スーダンの子供たち全員が浴びるほど飲めるのだが、、
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ハダカンボーが多い村の子供たち
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