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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年08月20日23時27分掲載
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文化
フランスからの手紙23 〜責任ある億万長者とは?〜Un milliardaire responsable ? パスカル・バレジカ
およそ10年ほど前になるが、私はアフリカの政治経済文化を扱う「若いアフリカ(Jeune Afrique)」という週刊誌の記事を書いていた。ある時、編集長は私にリー・クアンユーとウォーレン・バフェットの回顧録を読ませて、彼らに関する記事を書かせようとした。
私は実質ゼロから世界有数のリッチな国、シンガポールを作り上げたリー・クアンユーにたちどころに魅了されてしまった。人種も宗教も言語も異なる人々からなる多民族国家を平和かつ効果的にまとめあげた手腕も素晴らしい。偉大な彼が創出した効率のよい発展モデルは1992年以来、北京の指導者たちをも絶えず刺激してきた。
それとは対照的に、ウォーレン・バフェットは金にとらわれており、何一つ私を魅了しなかった。この投資の天才は世界中の富をかき集めるのに成功したのだった。 (当時バフェットはアメリカの雑誌フォーブスで長者番付2位にランクされていた。その後、2008年には1位にランクされ、2009年以降は3位である。) バフェットこそ、まさにアメリカンドリームの体現者である。バフェットは常によく働き、成功した。 (リー・クアンユーとバフェットのただ1つの共通点は仕事に厳しく、長時間よく働くことである)
ただ、バフェットには金以外に情熱をささげる対象がない。カリフォルニアに別荘を買ったが退屈してしまい、海岸で投資の資料を研究していた。バフェットの趣味はシンプルだと言われている。中西部のオマハにずっと住み、ハンバーガーをこよなく愛し、チェリー・コークを愛飲する。 (いったいどうやったらチェリー・コークが飲めるんだろう?) なぜなら、バフェットはコカコーラ社に投資をし、その製品を愛しているからだ。美術作品を買うでもなし、旅行が好きなわけでもなし、美味い料理やいいワインを好むのでもないとしたら、いったい億万長者になる意味はどこにあるのだろうか?私の目にバフェットは守銭奴に映った。スクルージ・マクダックに見えた。スクルージ・マクダックはウォルト・ディズニーのアニメに出てくる有名なキャラクターで、巨大な金庫の中で暮らし、プールに飛びこむように金貨の中に飛び込むのである。私はバフェットについて「若いアフリカ」誌に書いたものの、面白い記事にはならなかった。
私が疑問に思ったことは「バフェットのような人はいったい何に役立っているのか?」ということだ。投資家たちに賢い投資アドバイスを与える以外に、である。バフェットの友達の世界的大富豪ビル・ゲイツの場合は少なくとも自分のアイデアを持ち、企業を作り、才能を集め、世界中で使われているソフト「ウインドウズ」を開発した。 2006年にバフェットは自分が死んだら遺産の83%を慈善団体のビル&メリンダ・ゲイツ財団に寄贈するとの決断を下した。だが、その金(約370億ドル)はいったいどんなことに使われるのだろうか?
2006年11月、バフェットはニューヨークタイムズ紙上でこんなことをはっきりと言っている。
「確かに階級闘争は今行われていますよ。でも、もっぱら戦争をしかけているのは私が属する金持ち階級の側です。そして私たちは今も勝ち続けています」
不幸なことに、「オマハの賢人」バフェットの語った言葉はあまり楽しいものではないが、おそらく歴史から見て正しい洞察だろう。余談ながら、リー・クアンユーは決してその権力を自分の蓄財に利用することがなかった。シンガポールに共通の社会意識を育成し、経済発展の果実を国民全員が味わえるように全力を尽くしたのだ。
バフェットは今年8月14日、アメリカの税制のあり方についてニューヨークタイムズで語っていた。その意外な言葉は私の中で新たなバフェット像を作ることになった。バフェットはこんなことを言っていたのだ。米国は’mega-riches’(超富裕層)を優遇しすぎた、と。たとえばバフェットが納めている税率の%は彼の従業員たちが納めている%よりも低い。現在の米国の財政難を考えれば富裕層からもっと税金を取るのが当然だ、と。さらにバフェットはこう結んだ。
「私や私の金持ち仲間たちは金持ちフレンドリーな米議会からあまりにも長い間甘やかされてきました。今こそ、米政府はみんなで痛みを分かち合う仕組みづくりに真剣に取り組む時です」
バフェットの提言は、大多数の市民にとってはまったく当たり前に思われていることだが、世間をあっと言わせた。バフェットは責任ある億万長者なのだろうか。米議会の過半数を占める共和党がバフェットの賢明な提言を受け入れる可能性は低い。
だが、今週、フランスの経済を動かしている金持ち経営者たちの多くが〜彼らは億万長者とはとても言えないが〜バフェットの提言に賛同の意を表明した。私達の社会は今、新たな道に進もうとしているのかもしれない。
寄稿: パスカル・バレジカ(Pascal Varejka) メールアドレス(言語は英仏伊) pascal.varejka@gmail.com 翻訳: 村上良太
■「若いアフリカ」Jeune Afrique (週刊誌) 1960年10月17日、パリにおいてチュニジア人のBechir Ben Yahmed氏によって創刊された。アフリカにまつわる政治経済文化の記事が掲載されており、記事がカバーする対象地域はマグレブ地方などフランコフォン(フランス語を話す人々)の地域が中心である。
http://www.jeuneafrique.com/ ■スクルージ・マクダック(Scrooge MacDuck) ウィキペディアによると、架空の町ダックバーグに住む世界一金持ちのアヒル。ドナルド・ダックの伯父でお金を何よりも愛している。 「自分の所有するお札の番号を全て暗記しており、いつ、何の仕事で稼いだお金かも見ただけで見分ける事が出来る。様々な財宝を捜し求めているが、お金ならなんでもいいという訳ではない。身につかない「あぶく銭」は欲しがらず、事業で正当に稼いだお金や苦労して探し出した財宝にだけ貪欲でハイリスクのギャンブルにも興味がない。タダなどの言葉に弱く、基本的にお金を払いたがらない。」 「趣味は、金貨が大量に保管してある金庫をプールに見立てて泳ぐことや硬貨を上に積み上げていくことなど。」 (ウィキペディアより)
以下は元のテクスト
■Un milliardaire responsable ?
Il y a une dizaine d’années, j’ai travaillé pour l’hebdomadaire Jeune Afrique1. Son directeur m’a fait découvrir Warren Buffett et Lee Kuan Yew en me faisant lire leurs souvenirs.
J’ai immédiatement été fasciné par le fondateur de la République de Singapour, qui a créé, pratiquement à partir de rien, un des États les plus riches du monde, et qui a réussi à faire cohabiter pacifiquement et efficacement des populations d’origines, de langues et de religions différentes. Lee Kuan Yew est vraiment un grand homme, qui a créé un modèle de développement efficace - si efficace qu’il ne cesse d’inspirer les dirigeants de Pékin depuis 1992.
Au contraire, Warren Buffett, obsédé par l’argent, ne m’a guère séduit. Certes, ce génial investisseur a réussi à amasser une des plus grosses fortunes du monde (il était alors classé au 2e rang par le magazine américain Forbes ; il est passé au 1er rang en 2008, puis au 3e rang depuis 2009).
Cet homme incarnait le rêve américain : il a toujours travaillé dur (les seuls points communs entre Warren Buffet et Lee Kuan Yew sont l’austérité et l’acharnement au travail) et il a réussi. Mais il n’a aucune passion en dehors de l’argent. Il a acheté une villa en Californie mais il s’y ennuie et continue d’étudier ses dossiers sur la plage. On nous dit qu’il a des goûts simples : il habite toujours à Omaha, dans le Middle West, il aime les hamburgers et boit du Cherry Coke (comment peut-on boire du Cherry Coke ?), car il a investi dans Coca Cola et aime ses produits.
À quoi sert d’être milliardaire si on n’achète pas d’œuvres d’art, si on n’aime pas voyager, si on n’apprécie pas la bonne cuisine ni le bon vin ? Warren Buffett m’est apparu avant tout comme un avare, une sorte d’incarnation d’Onc Picsou, le célèbre personnage de Walt Disney qui vit dans un coffre-fort géant et qui plonge dans ses pièces d’or comme dans une piscine. Je l’avais décrit ainsi dans un article qui n’avait pas plu.
La question que je me posais est ’ à quoi sert un Warren Buffett ? ’. À part donner de sages conseils aux investisseurs ? Au moins son ami Bill Gates, également une des plus grosses fortunes du monde, a eu une idée, il a créé une entreprise qui a su attirer des talents et a créé des outils utiles à des quantités de gens sur la planète, comme Windows. Certes, en 2006, Warren Buffett a décidé de léguer à sa mort 83 % de sa fortune à la fondation philanthropique Bill et Melinda Gates. Mais à quoi servira cette somme (environ 37 milliards de dollars) ?
En plus, en novembre 2006, il a déclaré au New York Times ’ Oui, il y a bien une lutte des classes mais c’est ma classe, celle des riches, qui mène la lutte et nous sommes en train de l’emporter ’. Pas très glamour - même si, malheureusement, l’oracle d’Omaha, comme on le surnomme, a peut-être raison historiquement. Au passage, Lee Kuan Yew, qui n’a jamais profité du pouvoir pour s’enrichir, a tenté d’instaurer un consensus social et a tout fait pour que toute la population du pays bénéficie de l’essor économique.
Et puis la récente déclaration de Warren Buffett au New York Times, le 14 août, à propos des impôts, m’a donné une nouvelle opinion de lui. Il trouve que l’État fédéral américain fait trop de cadeaux aux ’ méga-riches ’, que lui-même paie moins d’impôts, en pourcentage, que ses employés, et qu’il serait normal, compte tenu de l’ampleur de la dette publique américaine, de faire payer plus d’impôts aux plus riches.’Mes amis et moi avons été cajolés pendant trop longtemps par un Congrès ami des millionnaires. Il est temps que notre gouvernement devienne sérieux sur le partage des sacrifices ’, conclut-il.
Sa proposition, qui semble la normalité absolue à la plupart des gens, a suscité la stupeur. Warren Buffett serait donc un milliardaire responsable ? Il est peu probable que les Républicains qui ont la majorité au Congrès américain, suivent ses sages conseils. Mais cette semaine, en France, plusieurs riches dirigeants économiques français (qui ne sont pas milliardaires) se sont déclarés favorables à l’idée de Warren Buffett. Serions-nous à l’aube d’une sorte de révolution ?
Pascal Varejka
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パスカル・バレジカ氏 ジャーナリスト。またパリやプラハの都市史を多数執筆。「図像で見るパリの歴史」「中世のパリ」「欧州の奇妙な象」、ガイドブック「パリ」など。イタリア語の芸術本、歴史書、ガイドブックなどを仏訳する翻訳家でもある。
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