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2011年09月24日09時39分掲載
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検証・メディア
鉢呂辞任とメディア (ほとんど)検証なし、反省なしでいいのだろうか 藤田博司
鉢呂経済産業相が「不適切発言」を理由に辞任してからほぼ2週間。政治の世界でも報道の世界でも、鉢呂氏の「放射能」発言や「死のまち」発言は政治家として不適切であり、辞任は当然、という受け止め方が定着しつつある。このままで行けば、「放射能」発言があったことも、それが不適切であったことも「事実」としてのちのち記憶されることになるだろう。
しかしこれは少しおかしくはないか。「放射能」発言がどのようなものであったのか、なかったのか、いまだに事実は明らかになっていない。それを伝えたメディアの報道の中身自体が不確かなのに、不確かな「事実」を前提にメディアが鉢呂氏の言動を「不適切」と批判し、与野党の政治家がこれまた事実関係を確かめることもせず、鉢呂氏の責任を追及したのである。不確かな「事実」をこのままなし崩しに確かな事実にすり替えてしまうことは、許されていいことではない。
この事態を招いたのがメディアの報道であることは言うまでもない。「放射能」発言を真っ先に報じたのはフジテレビ、新聞では『毎日』が他に先駆けた。各社の報道での鉢呂氏の発言内容がまちまちであったために、まず事実関係があいまいとの疑問がもたれた。鉢呂氏が問題とされた発言を投げかけた相手の『毎日』の記者が、具体的な言葉ではなく、発言の「趣旨」として伝えたことも、その疑問に輪をかけた。
しかしそれにもまして疑問に思われたのは、先行報道した両社も、それに一斉に追随したほかの各社も、発言内容について鉢呂氏に真意をただしたり、確認したりする作業をした気配がそれぞれの報道に読み取れないことだ。大臣の進退に関わる責任を追及するほどの問題なら、発言の真意や言い分を十分確かめてから報道する慎重さが当然必要だろう。が、それが行われた気配がない。
これらの疑問に対して、いくつかの新聞は事実関係を「検証する」記事を掲げた(9月13日付の『朝日』メディア欄、14日付の『東京』特報欄、『週刊朝日』9月30日号、『サンデー毎日』10月2日号など)。これらの「検証」は取材の経緯やニュース判断について一定の問題提起はしているものの、本格的な報道検証というには程遠い。たとえば、報道前に鉢呂氏に確認取材をしたのかどうか、囲み取材の現場に記者がいなかった社はどのように現場の状況を確認したのか、などについては何も検証されていない。
各社ともそれぞれに徹底的に自己検証すれば、取材の仕方がずさんであったことや、ニュース判断に誤りがあったかもしれない事実が浮かび上がる可能性がある。それに正面から向き合うことは、報道現場としてはしたくないに違いない。そのために本格的な、正直な検証をためらっているのではないか、と勘繰られるのである。
この勘繰りが理由のないものだというなら、ぜひ各社ともきっちりと自社の報道の過程を明らかにして、それぞれの報道に寸分の隙もないことを読者、視聴者に説明すべきだろう。『朝日』『サンデー毎日』の「検証」によると、いくつかの社は取材の経緯やニュース判断について明らかにすることを拒んでいるという。しかし取材現場で何があったかに疑問がもたれているときに、事実関係をはっきりさせるのはメディアの責任だし、それを拒む理由が見つからない。
報道に対する数々の疑問に答えようとせず、したがって報道がもたらした結果について何らの反省もなく、このまま鉢呂「不適切発言」の事実関係をうやむやにすることは、メディアに対する市民の不信をますます高めることにつながりそうな気がする。メディアはもう少し自分たちの振る舞いを謙虚に反省し、外からの批判や疑問にはもっとていねいに応える必要があるのではないか。
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