フランスの右翼政党FN(フロントナショナル)党首、マリーヌ・ルペン氏がサルコジ大統領が決断したリビアへの軍事介入を非難している。
http://www.frontnational.com/2011/10/la-libye-vraiment-liberee%c2%a0/ 内戦終結の直後、アブドルジャリル国民評議会議長がイスラム教至上主義のシャリーア法を導入し、それに反する法律制度は認めないと宣言したことがその背景にある。
「こうなることはサルコジ以外はみんなわかっていました。内戦に大慌てで軍事介入した結果、イスラム原理主義の国に戻してしまったのです。」
先代FN党首、ジャン=マリー・ルペン氏の娘のマリーヌ・ルペン氏は「リビアは本当に解放されたの?」と題した文章の中でサルコジ大統領を批判している。 彼女は繰り返し、フランスの軍事介入を非難してきたという。独裁者を引きずり下ろして、別の独裁者を据えることに意味がないという考えからだ。その結果、ヨーロッパの窓口にイスラム原理主義の国を作ってしまったというのである。シャリーア法が基本になれば、労働や社会進出、教育、婚姻制度、不倫の罪、ドレスコードなど、女性の地位や暮らしも民主主義の基準とは遠いものになる可能性がある。
■一方、父親のジャン=マリー・ルペン氏は記者会見で「サルコジは戦争犯罪者」と非難した。
http://www.frontnational.com/2011/07/sarkozy-criminel-de-guerre/ 「国連で軍事介入が認められたのは市民の保護の場合だけだ。ところがふたを開けてみたら、わが軍のリビアへの軍事介入の唯一の目的はイスラム過激派が多数存在する反カダフィ派の側に立つことだった。そして軍事介入は2か月以上にわたった。その軍事介入(空爆)は市民の多数の死者を生み出したが、死者の中にはカダフィ大佐の4か月の赤ちゃんから2歳の幼児まで3人の子供が含まれている!」(7月14日)
サルコジ氏は前回の大統領選の決選で、国民運動連合の票だけでは足りず、FNの応援票を求めようとFNに迎合した方針も加えていた経緯がある。風刺漫画家のヴァンサン・サルドン氏がサルコジ大統領の腹の中に、ルペン氏が潜んでいる絵を描いていたのがご記憶にあるかもしれない。ところが今、そのFNを軍事介入の件で怒らせてしまったのである。
フランス人がサルコジ大統領の行動とは裏腹に「アラブの春」の行方を警戒しているのはかつて世俗派の軍とイスラム原理主義勢力が血で血を洗う戦いを繰り広げたアルジェリアの地獄を地中海を挟んで間近に垣間見たからである。流出する武器、イスラム原理主義の台頭など、アルジェリア国民も警戒していると報じられている。「アラブの春」は一つ間違えれば「パンドラの箱」になる可能性があるのだ。
■カダフィの死をめぐるニュース フランスの新聞・雑誌から 「ジョベール氏はこのブログの最後に、サルコジ大統領が次期大統領選でカダフィ大佐の死に関連してPRするであろう点についてこんな警告めいた一文を書き足している。
「だが、その大統領の議論が有効なのは(大統領選の行われる)2012年春までにイスラム過激派がトリポリを制圧することがなかった場合。また、あるいは、リビアから流出した対空ロケット砲でテロリストが民間人数百人の乗った旅客機を撃墜することがなかった場合だ」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201110210905105 ■カダフィ派53人と見られる死体がホテルから見つかる 処刑の可能性 イスラム主義の影響力が強まる
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201110260058583 ■NATOがリビア介入の撤退を延期 27日付ニューヨークタイムズによると、NATO軍による空のパトロールは当初10月31日で終了する予定だった。しかし、NATOは今後も国民評議会の統治期間は軍事介入を続けていくことになりそうだ。 NATO軍の柱であるアメリカの国防長官、レオン・パネッタ氏は「リビアの新しいリーダーたちに軍事介入を続けてほしいと乞われた」と説明している。
http://www.nytimes.com/2011/10/27/world/middleeast/libya-leader-wants-nato-presence-through-2011.html
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