自由貿易協定の源・米国では2001年以来製造業界で300万人の雇用が失われたと労組AFL−CIOは批判している。
アメリカで脱グローバリゼーションに取り組む弁護士にロリ・ワラック氏がいる。彼女はパブリック・シチズンというアメリカの市民団体で活動しているハーバードロースクール出身の弁護士である。ワラック氏によると、オバマ大統領になってからもブッシュ共和党大統領時代に締結された型の自由貿易協定が次々と締結されている。
’This represents a complete flip-flop for President Obama, who won crucial swing states in 2008 by pledging to overhaul our flawed trade policies. So it is no surprise that a sizeable majority of Democrats in Congress voted against these agreements, against Obama and for American jobs.’
ワラック氏が10月12日に韓米FTA締結に関して書いた声明によれば、「チェンジ(変革)」を掲げたオバマ大統領は2008年の大統領選において、「問題のある貿易政策は見直します」と約束して、貴重な決定打となる州の票を獲得した。しかし、韓米FTAはブッシュ大統領時代のNAFTA(北米自由貿易協定)型の自由貿易協定であり、「問題のある貿易政策」を見直していない、とする。そのために、同じ民主党議員の多くが反対票を投じた現実がある。ワラックさんによると、民主党下院議員のオバマ大統領の自由貿易協定に対する反対票の率は次のようになる。ハウス・デモクラッツとは民主党下院議員を指す。
82.3% of House Democrats opposed the Colombia FTA (158 Democrats against, 31 for)
67.7% of House Democrats opposed the Korea FTA (130 Democrats against, 59 for)
64.1% of House Democrats opposed the Panama FTA (123 Democrats against, 66 for)
これを見ると、数字にばらつきが多少あるにせよ、民主党議員の過半数は反対票を投じている。韓米FTAに限ると68%近い民主党下院議員が反対票を投じている。
米国内で脱グローバリゼーションに取り組む団体から見れば、こうした自由貿易協定で利益を売るのは規制緩和によって他国で営業を目指す金融界や多国籍企業である。そして国内製造業はさらに縮小していくと見られている。その結果、富める1%とその他99%との格差が拡大していく。
ロリ・ワラック弁護士はTPPのリスクについてかつてオーストラリアのジェーン・ケルシーさんと話していたことがある。以下の映像はケルシーさんとワラックさんがTPPに関してインタビューを受けている映像である。
http://www.youtube.com/watch?v=96rj5LgR68M ■アメリカの労働組合AFL-CIOは2001年以後に締結された一連の自由貿易協定によって失われた米製造業界の雇用は300万人に及ぶと指摘している。米国内においても失業を増やし、貿易赤字を拡大すると批判されている。http://aflcio.com/issues/jobseconomy/globaleconomy/colombiafta.cfm ■一方、米政府(通商代表部)は自由貿易協定は米国産業の競争力を増し、米国内の雇用を増やし、貿易赤字を減らすことができるとしている。 「アメリカ合衆国通商代表部(Office of the United States Trade Representative, USTR)はアメリカ大統領府内に設けられた通商交渉のための機関。USTR長官にあたる通商代表は、閣僚級ポストで大統領に直属。大使の資格を持ち、外交交渉権限を与えられている。」(ウィキペディア)
http://www.ustr.gov/uscolombiatpa/facts
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