米報道番組「デモクラシー・ナウ!」でアメリカの原子力業界の問題点が報じられた。番組は次のような報道を行っている。
http://democracynow.jp/video/20110624-1 「AP通信の連載企画記事“Aging Nukes”(老朽化する原子力発電所)(2011年6月20日から28日にかけて配信)は、業界となれ合い状態にある米国の原子力規制、放射性物質の漏出、漏出の実態調査の不備など、お寒い状況を明らかにしました。記事を執筆したジェフ・ドン記者が連載の渦中にデモクラシー・ナウ!に登場です。」
「APの第2報が明らかにしたのは、米国の原発65カ所のうち48カ所で放射性のトリチウムが漏出していた事実でした。腐食した埋設パイプから地下水に流れ込んでいるケースも多々あり、少なくとも37施設から漏出した濃度は連邦飲料水基準を超え、時には基準限度の数百倍という数値を示したと言います。」
http://www.msnbc.msn.com/id/43475479/ns/us_news-environment/t/radioactive-tritium-leaks-found-us-nuke-sites/ ’Radioactive tritium has leaked from three-quarters of U.S. commercial nuclear power sites, often into groundwater from corroded, buried piping, an Associated Press investigation shows.
The number and severity of the leaks has been escalating, even as federal regulators extend the licenses of more and more reactors across the nation.・・・’
■ヘレン・カルディコット著「狂気の核武装大国アメリカ」(集英社新書)
「国立科学アカデミーの最近の報告書は、核兵器生産関連の政府施設のうち3分の2は、汚染除去不可能とした。144施設のうち100は長期的な厳重管理が必要で、多くは数万年から数十万年の間、放射能の危険が消えない。このような地域は、将来、「国家の犠牲となった地帯」と表示されるが、「犠牲」はすでに現実となっている」
「プルトニウムが、かつて予想されていたよりも速く地中を移動することを示す新しい証拠が見つかった。たとえばスネイク・リバー帯水層は、アイダホの核施設の地下180メートルを走る。もともと地下3.5メートルの地点に埋められていたプルトニウムは、いまでは73メートルで見つかるようになった。この比率でいけば、25年後に帯水層に達し、地上のスネイク川まで汚染されてしまう。プルトニウムが崩壊してできた物質だが、むしろより危険性が高いアメリシウムは、すでにスネイク川に入り込んでいる。
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201111100029334 ■米科学者が指摘 3000万本の使用済み核燃料の危険性
「アメリカの市民団体Institute for policy studies(IPS)のロバート・アルバレス(Robert Alvarez)氏は、アメリカの51か所の核施設に貯蔵されている3000万本もの使用済み核燃料は危険な状態で保管されていると指摘した。一つ間違えれば福島第一原発並みの惨禍を起こす可能性があるとしている。NGOのコモン・ドリームズ(Common Dreams)が報じた。」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201111102337504 ■メディアの力学 「核廃棄物最終処分場の行方」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201103261246056 核廃棄物の管理は核技術の最も難しい局面である。そのため、原子力発電を始めるにあたって、いつかは使用済み核燃料の処理・再生技術が開発されるだろうという見込みでスタートし、どんどん廃棄物を増やしてきた。しかし、処理技術の開発は未だに難航している。 今日の毎日新聞夕刊では英国が使用済み核燃料の再処理を2021年までに終了し、プルトニウムは地下に埋葬する方針に転換したことが明らかにされた。報道によればプルトニウムを埋葬する候補地は英国西海岸に位置するカンブリア州だという。未だ地元とは調整中だというが、交渉がまとまれば2040年から地層に埋める計画だ。2021の時点で英国にはプルトニウムが海外から持ち込まれたものも含めると130トンを超える。8キログラムで原爆が1つ製造できることから原爆を1万発以上作れる余剰プルトニウムを抱えることになるという。 日本は自国の最終処分場も決められないまま、外国に原子炉を売ろうとしている。
■深刻度「レベル6」〜旧ソ連のキシュチュム核事故とは?〜
「キシュチュム核事故とは福島のような原子炉の事故ではなく、使用済み核燃料の再処理にまつわる事故だった。1957年、ウラル山系に位置するキシュチュムで稼動していたソ連の軍用原子力施設で発生した大惨事である。
「使用済み核燃料の再処理は、プルトニウム製造の作業の一部で、技術的には特殊な分野であった。キシュチュム事故(「ウラル山系での核惨事」とも知られる)は、チェリャビンスク地方のキシュチュムとカスリというウラル山系の古い二つの町の中間地域で、1948年から稼動していた軍用原子炉と再処理工場からの再処理済み核燃料廃棄物の貯蔵が、安全でなかったことに起因するものだった。」
原子炉の発電プロセスではなく、使用済み核燃料の再処理プロセスで起きた事故だったというのである。メドヴェージェフ氏は使用済み核燃料の再処理こそ、最も難しいプロセスだとしている。・・・
使用済み核燃料の再処理ではキシュチュムだけでなく、アメリカでも何度も事故が起きていた。特に目立ったのはワシントン州のハンフォード軍用保留地で起きた事故だったという。
「アメリカでは、事故が何回か発生したが、とくに目立ったのがワシントン州のハンフォード軍用保留地で、ここでは46年以来軍用原子炉やプルトニウム再処理工場が稼動していた。この地域が約1943平方メートルの砂漠であることが唯一の理由であるとしても、幸いなことにそうした事故のどれも文字通り大惨事にはいたらなかった。」
このハンフォード軍用保留地には9基の原子炉と1ヶ所のプルトニウム抽出・再処理工場があった。アメリカのエネルギー省は再処理工程で事故が起きた後、ハンフォードのすべての施設を閉鎖することを決めた。」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201104041818081
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