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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年12月04日14時22分掲載
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TPP/脱グローバリゼーション
≪太平洋の島から≫(上)新自由主義の脅威は「開発」という衣装をまとって現れる アダム・ウォルフェンデン(翻訳:安藤丈将)
APEC首脳会議が開かれたホノルルで、首脳会議と並行して対抗民衆会議がもたれた。民衆会議の名前は「MOANA NUI」(モアナ ヌイ)、先住ハワイアンの言葉で「Great Ocean」という意味 だという。太平洋の諸島から多くの先住の民が参加、新自由主義という名の再植民地化に反対する声を上げた。その民衆会議におけるアダム・ウォルフェンデン(Pacific Network on Globalisation)の報告を紹介する。彼はその報告のタイトルを「星に導かれて航海し、自分の尊厳を大切にする:オセアニアにおける経済的な自己決定 」とした。翻訳は安藤丈将。(日刊ベリタ編集部) ◆グローバリゼーションとアジア太平洋地域
これから太平洋地域における「グローバリゼーション」についてお話しする前に、どのような種類のグローバリゼーションなのかをはっきりさせる必要があります。太平洋諸島の人びとにとっては、貿易は決して新しいものではありません。好むと好まざるにかかわらず、世界の偉大な船乗りは代々、星に導かれ、貿易、交換、交流を行ってきました。ポリネシア地域がハワイからニュージーランドにまで広がっていることを考えてみれば、この地域のつながりの広さを理解することができます。
私たちが大いなる懸念をもって話している経済的グローバリゼーションは、「企業のグローバリゼーション」や「新自由主義」と呼ばれています。太平洋諸島フォーラムに参加している14の島嶼国家から構成されている太平洋諸島(私たちの組織の活動範囲になります)にとって、新自由主義の脅威は、「開発」という衣装をまとい、自由貿易という形で出現しています。 太平洋諸島では、自由貿易の理論はほとんど意味をなしません。市場と経済の小ささ、市場やインフラからの距離を考えると、「比較利益」という考えは、妥当性を持ちません。加えて、太平洋地域の社会構造は、家族やその他の集団から成り立っているので、新自由主義が基礎とする個人主義とは対立します。
WTOだけでなく、オーストラリア、ニュージーランド、EUも、自由貿易を通じての新自由主義的な経済統合に太平洋地域を組み入れたがっています。あらゆる自由貿易協定は、太平洋諸島にとって脅威となるものです。「開発」は、太平洋諸島が自国の産業を育成し、必要不可欠なサービスを提供し、十分な医薬品へのアクセスを保証し、政府の歳入を維持する力を掘り崩す結果につながっています。「開発」は、太平洋地域から自己決定の力も奪うでしょう。太平洋地域の発展とはいかなるものでありうるでしょうか。それは、採取産業とホテルから構成される必要はありません。
◆オーストラリアの支配力への対抗
興味深いことに、最近では太平洋地域の貿易に対するアプローチに変化が生じています。非互恵的な関係が、新自由主義化の攻撃的な要求に取って代わられています。そう遠くない昔に、太平洋諸国の被植民地化の歴史が認められるようになりました。過去の歴史を考慮した結果、太平洋諸国の商品は、旧宗主国の市場へと優先的にアクセスできるようになりました。今、それはすべて忘れ去られてしまっています。旧宗主国は、減少しつつある資源へのアクセスを確かなものにしたいという欲望をもち、この欲望が新自由主義を「開発」と同義語にしています。太平洋地域の略奪、真の地域の発展とは何かに関する選択肢の除去は、今、古い植民地権力と太平洋島民にとってのウィン・ウィンの関係として売り出されています。
しかしながら、古い植民地権力であるオーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ、アメリカは、自らの影響力の低下という問題に取り組まなくてはなりません。他の国家の台頭は、特定の国からの援助に頼る必要がなくなっていることを意味し、中国の援助と貿易は、オーストラリアのような国に警戒心を抱かせています。これは驚くにはあたりません。オーストラリアは長らく、太平洋を自分の思うままにできると考えてきました。太平洋は「私たちの池」であると、雄弁に述べてきたのです。それは太平洋の人びとの怒りを増幅させてきました。現在、太平洋諸島フォーラム内で、別個の独立した機関に貿易と援助に関するアドバイスを提供してもらおうという動きがあります。それは、オーストラリアとニュージーランドが以前持っていて、現在でも有している、地域内の支配力への直接的な対応なのです。(続く)
アダム・ウォルフェンデン(Pacific Network on Globalisation
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