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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2011年12月06日23時03分掲載
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TPP/脱グローバリゼーション
≪太平洋の島から≫(下)太平洋諸島には異なる経済が存在する アダム・ウォルフェンデン(翻訳:安藤丈将)
太平洋諸国の75%以上からメンバーを出していると自称する太平洋教会会議という組織は、最近「オセアニアを再考する」という報告書を出しました。この報告書は、太平洋諸国が現在進んでいる方向性と、そこで売り出されている「開発」に対して、明確な異議申し立てをしています。しかし、私たちは、どうすれば自分が生きたい場所にたどり着けるのでしょうか。教会会議の言葉を借りて言うならば、私たちは、どうすれば企業のグローバリゼーションから脱出できるのでしょうか。
◆新たな未来は、二つの要素から構成される
第一に、私たちは、すでに持っているものを守らなくてはなりません。このことは、既に取り上げました。太平洋諸島の人びとの生活にとって中心的なものである土地は、市場システムへの組み入れを密かにねらっている「援助」プロジェクトから守られなくてはなりません。さらに、開発の利益を生み出すと言いながら、それを推進する少数者に利益をもたらす「工業団地」からも守られなくてはなりません。海洋は乱獲、さらには最近の脅威である深海採鉱から守られなくてはなりません。文化と慣習は、誇りを持って、新たに教えられなくてはなりません。
自由貿易協定とたたかわなくてはなりません。バヌアツは、後に続きたいと思うすべての人にとって、WTO加盟に対する注目に値するたたかいを行っています。教会、NGO、商工会議所、すべての人びとが加盟に反対していますが、少数の政治家と官僚が加盟の推進を企てています。この企てが成功しないことを祈っています。この点に関して、私は太平洋地域だけでなく、世界各地の人びととの協力から生まれる力について触れておきます。連帯のグローバリゼーションが、もうひとつの勝利をつかむ時は、近づいているのです。
第二に、私たちはどこに進みたいのか、いかにしてたどり着きたいのかという問題があります。私は「オルタナティブ」という言葉を使うという誘惑に抗っています。太平洋諸島にとって、異なる経済の存在は、現実のものだからです。文化的慣習システムは、長く太平洋の人びとを支えてきたものだし、私たちの出発点となる権利を新自由主義に譲り渡してしまうのは、あまりに寛大に過ぎるというものです。新自由主義は、何の見返りも与えてくれないシステムなのですから。
代わりに、「経済的な自己決定」について話しましょう。太平洋諸国は、どうすれば自分たちの今後の経済を自らコントロールすることができるのでしょうか。私たちは、誤った二分法に捉われるべきではないというのも、出発点として重要です。その二分法とは、太平洋の人びとは、新自由主義が提供する「進歩」と「開発」のいずれかを選ぶか、さもなければ「古びた」伝統的システムの中で衰退していくかというものです。
◆自らの経済生活をコントロールする
経済的な自己決定は、太平洋の人びとが自由市場の気まぐれの恩恵を受けるのをただ待っているのではなく、自らの経済生活をコントロールする力を持つことを意味しています。それは野心的で、達成するのが難しい目標です。しかし、これ以下のいかなるものも、不十分であるように思われます。
太平洋地域には、自分の生活をコントロールする力を持とうとする人びとがいて、そうした人びとを支援する先駆的な事例がすでに存在しています。小農の市場、女性による道路沿いの屋台、地域の運送の仕事は、地元、国、広域のレベルで機能しています。それは、太平洋の人びとが自己決定の力を強めるようなやり方で、彼らの生計を支えています。伝統的な経済は、学費やその他のサービス支払いのための現金ではなく、ブタ、カワカワ、貝、その他のものを通して、太平洋の人びとを支えています。
太平洋の人びとは、幸運にも、土地の大部分がいまだに慣習的な管理のもとにあります(80%)。土地は人びとの生存を支える資源であり、近年、新自由主義の危機が深刻になっていく中で、ますます重要性を増しています。土地は、文化、精神、経済、生存の必要上、中心的なものです。将来的には、太平洋の人びとが土地を自らコントロールすることを、問題の中心に置かなくてはなりません。
新自由主義的ではない、文化的慣習に基づく交換のあり方が太平洋地域にはすでに存在する中で、この慣習をいかにして自分たちの足場にするかは、私たちの目の前にある挑戦です。私たちは、どうすればこれを新自由主義への一貫した対抗基盤に変えることができるのでしょうか。これ以外にも、次のような問題に取り組まなくてはなりません。いかにして意志決定を行い、説明責任を確保するか。伝統的な性別役割とは異なる分業をどう実践するか。気候と環境が地域に及ぼす影響をどうするか。簡単な答えはありません。話し合いを始め、ともに一つの方向へと進み、私たちが尊厳を大切にできるよう、お互い協力する必要があります。
オセアニアを航海した船乗りのように、私たちは、自然システムの支えを利用し、将来の経済に関する新たな見方の中に自分たちの夢を組み入れます。航海の中で星に導かれ、自分の尊厳を大切にしながら、私たちは、自分たちの生活をコントロールし、経済的な自己決定を行うための航路を定めていきます。
(Pacific Network on Globalisation)
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