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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年03月06日19時47分掲載
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検証・メディア
マードック勢力は巻き返せるか? −恒常的な贈賄疑惑が暴露された後で
米メディア複合大手ニューズ・コーポレーション(ニューズ社)を巡るドラマ(展開場所=英国)が、新たな山場をむかえている。英国で継続中の、メディアの倫理に関する委員会で暴露された内容について、考察した。(ロンドン=小林恭子)
ニューズ社の会長は世界のメディア王といわれるルパート・マードックで、ニューズ社の苦難はマードックの苦難でもある。
まず、ニューズ社の傘下にあった、英国の人気・日曜大衆紙「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」が、昨年7月、電話盗聴事件を巡って、急きょ廃刊となった。この事件自体は2006年ごろ発生し、07年には同紙の記者1人と私立探偵が有罪・実刑判決を受けている。その後、ついこの間まで、ニューズ社側は、「盗聴はたった一人の記者が関与」、「経営陣は知らなかった」と主張してきた。
この主張が、ガーディアン紙の調査報道によって、2009年ごろから崩れてきた。実はもっと大規模に行われていたのだ、と。
これが実によく実感できたのが、電話を盗聴されていた著名人らがニューズ社から和解金を受け取って決着をつけたケースが次々と報道されるようになってからだ。
たった一人の「ごろつき記者」による行為どころか、組織的に、大掛かりに行われていたことの、動かしがたい証拠であった。もちろん、これは少し前からほぼ周知だったが、続々と和解金額が報道されると、改めて、その規模の大きさに衝撃が走った。
和解した60人の中の1人が、歌手シャーロット・チャーチだ。和解金額は30万ポンド(約3800万円)だが、裁判費用の負担も入れると60万ポンドになるという。2月24日には、BBCなどの報道機関の情報公開申請によって、「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」に雇用された私立探偵グレン・マルケア(王室関係者の携帯電話の伝言メッセージを盗聴した罪で、2007年に有罪判決)は2001年から5年間の間に、2200回以上、盗聴を行っていたことが分かった。
何とか盗聴事件を片付けて、次に進みたいニューズ社側。2月26日、マードックは、平日発行の人気大衆紙「サン」を、廃刊された「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」の抜けた穴を埋める形で、「サン・オン・サンデー」として「創刊」した。部数は300万部を超え、英国の日曜紙市場で首位となった。廃刊直前の「ニューズ」紙よりも多いぐらいの部数である。
しかし、巻き返しは長く続かなかった。
翌27日、新聞界の倫理・慣行を見直すために開かれている「レベソン委員会」に出席したのが、ロンドン警視庁の幹部スー・エイカーズ。エイカーズは新聞界と警察の関係に不正なことはなかったかどうかを調査中だ。
そのエイカーズが、サン紙では警察幹部、役人、そのほか公的組織に勤める人々に賄賂を渡して、情報を買っている(疑いがある)と暴露したのである。サンには「違法の支払いを行う文化がある」、と。
警視庁は、最近、サン紙の編集幹部らを賄賂支払い容疑で次々と逮捕しており、「やりすぎではないか」とサン紙やほかのメディアからも批判が出た。しかし、エイカーズは、委員会の場で、情報の売買は公益のためではなく、ゴシップなどのネタを取るためであり、ある幹部は年間8万ポンド(約1000万円)もの賄賂を受け取っていた、と述べた。
警察官のみならず、官僚も、そしてほかの公的組織勤務者もサンに情報を売っていたと警視庁幹部が宣言したことは、かなり重い。この委員会では、証言の前に、宣誓を行うのだ。
果たしていつまでニューズ社は英国での新聞発行を維持できるだろうかー?同じくニューズ社の傘下にあるのは、高級紙タイムズやその日曜版のサンデー・タイムズ。この2つがなくなるとは思えないけれども、サンはどうか?サンについて、マードックは、「(賄賂は)過去の話だ。今はクリーンだ」と主張するのだがー。
一方、29日になって、マードックの次男ジェームズが、英国での新聞発行を担当するニューズ・インターナショナル社の会長職を辞任する、という発表があった。親会社ニューズ社の副最高執行責任者としての職務は維持する。今後は、米国での勤務となり、テレビ事業に専念するそうだ。ニューズ社が39%の株を持つ、英衛星放送BスカイB社の会長職は変わらない。
マードックは、長男ラクランをかつては世継ぎと考えていたが、ラクランが経営上の考え方の違いでニューズ社を一旦去ってから、次男ジェームズが自分の後を継ぐ、と見ていたようだ。
しかし、ジェームズは、「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」での盗聴行為の全貌について十分に把握していなかった(あるいは把握していたが、「把握していなかった」と発言した)ことがたたり、評判が落ちた。組織ぐるみの盗聴であったことを示す、あるメールがあったのだが、これをジェームズは「受け取っていない」と長らく主張した。しかし、実は受け取っていたことが後で分かった。「受け取っていたが、読まなかった」などと説明したが、後の祭りであった。
先のレベソン委員会は、警察と新聞界の関係を探るための聞き取り調査を、連日、行っている。3月1日には元警視庁幹部らが召喚され、証言を行った。その1人が元警視総監であった。
結局、一連の電話盗聴事件+新聞の廃刊事件は、記者が違法行為を働いたかどうかという問題というより、核となる部分は権力に関する問題(=権力の癒着)だったのだと、ガーディアンのニック・デービス記者が2月27日付の記事で書いていた。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より)
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