週末のニューヨークタイムズにユネスコ事務局長のイリナ・ボコバ氏が寄稿していた。タイトルは’Culture under fire'(砲火にさらされる文化)である。その発端となったのはシリアとマリのそれぞれの内戦で、内戦によって文化遺産が砲火にさらされ危機に瀕しているというのだ。http://www.nytimes.com/2012/04/07/opinion/culture-under-fire.html?_r=1&ref=irinabokova 寄稿には不思議なピラミッド状の建物の写真が添えられていた。壁面には棒状のものがたくさん突き出ている。マリの首都、トンブクトゥのモスクである。
彼女の訴えの骨子は’protecting cultural heritage is not a luxry'(文化遺産を守ることは贅沢ではない)という言葉である。一見、国の危機の時に文化遺産などは後回しと思われかねないが、ボコバさんはまったく違った意見である。むしろ、内戦下の今こそ守るべきだと訴えるのだ。平和になってから守っても意味がないというのである。なぜなら、文化遺産への攻撃というものは敵対する相手側の民族の過去と文化に対する攻撃であり、その民族の尊厳を傷つける行為であるから。だから、ひとたび文化遺産が攻撃されてしまったら、和解は難しくなるという。
’Protecting culture is a security issue. There can be no lasting peace without respect.Attacks against cultural heritage are attacks against very identity of communities.'
’文化を守ることは防衛の問題である。相手に対する敬意を欠いたところに持続する平和はありえない。文化遺産に対する攻撃はそのコミュニティの人々のアイデンティティに対する攻撃なのである’
遺跡を守ることは平時ではなく、まさに内戦の今こそ戦火を拡大しないために必要なのだと説く。ボコバ氏は昨年、パレスチナがユネスコ入りした時にその多数決を見守り、結果としてパレスチナのユネスコ入りを発表した人でもある。
■イリナ・ボコバ氏
ブルガリア人のイリナ・ボコバ(Irina Georgieva Bokova)事務局長が声明を出している。「ボコバ氏は1952年生まれ。モスクワ国際関係大学でMBAを取得後、メリーランド大学とハーバード大学に学び、2005年から2009年までブルガリア共和国の駐仏および駐モナコ大使兼ユネスコ代表部大使を務めました。 外交官として優れたキャリアの持ち主で、ブルガリア国連代表部勤務のほか、欧州統合担当長官や外務大臣を歴任。また欧州政策フォーラムを創設。その議長として、欧州の分裂を克服し、対話、多様性、人間の尊厳と権利に関わる価値を推進した実績を持ちます。」(国連大学協力会)
■ユネスコでパレスチナを加盟国として認める
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201111010100402 ■マリ北部の独立を宣言 反政府勢力、ホームページで
http://www.asahi.com/international/update/0407/TKY201204060772.html ■マリ、軍部が実権返還 「独立宣言」北部の混乱続く
http://www.asahi.com/international/update/0407/TKY201204070388.html 「この間、世界遺産の都市トンブクトゥなど北部の全要衝都市に侵攻した反政府勢力アザワド解放国民運動(MNLA)が、一方的に独立を宣言。MNLAはアルカイダ系イスラム武装勢力との関係が指摘され、サノゴ大尉自身、軍部が重装備のMNLAと戦うのを「自殺行為」と言うように、混乱が収まる様子がない。 」(朝日新聞) 朝日新聞の記事では、トンブクトゥを制圧した反政府勢力MNLAはリビア帰りで重装備だとするサノゴ大尉のインタビューを紹介している。カダフィ政権側で戦闘に参加した兵士が多数おり、高性能の武器を持ち帰ったと書かれている。
■フランスからの手紙24 「現代の黙示録?」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201201041101423
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