ケイト・ミドルトンさんが、王位継承順位第2位のウイリアム王子と結婚し、ケンブリッジ公爵夫人=「キャサリン妃」となってから、4月29日でちょうど1年となった。今では1人で公務をこなすまでになっており、同妃の笑顔が英国の新聞や雑誌に出ない日はないと言ってよいほど、人気が高い。一体どこに特徴があるのか?(ロンドン=小林恭子)
キャサリン妃のこれまでと今後に注目した原稿を「英国ニュースダイジェスト」の「ニュース解説」に出している。これに若干足したものが以下である。
ーダイアナ元妃の違いとは?
キャサリン妃は、ウィリアム王子の母、故・ダイアナ元皇太子妃(1997年パリで事故死)とよく比較される。
容姿端麗であることに加え、国民の大きな注目を集めるファッション・アイコンである点など、共通する部分が多い。1981年、チャールズ皇太子と結婚したダイアナ元妃は婚約時代から執拗にメディアに追われたが、この点もキャサリン妃の場合と似ている。
一方で、2人の間には大きな違いもある。元妃が伯爵家の出身であるのに対し、キャサリン妃は平民出身だ。ダイアナ元妃は20歳で結婚したが、キャサリン妃の場合は29歳である。また英国史上で初の大学教育を受けた王妃となったキャサリン妃は王子ともにスコットランドの名門セント・アンドルーズ大学で学んだが、勉強嫌いのダイアナ元妃は大学に進学していない。
―ウィリアム王子の理解が助けに
キャサリン妃の結婚後の人生は、ダイアナ元妃のそれとは正反対の方向に進んでいるようだ。
ダイアナ元妃は、チャールズ皇太子に愛人がいたことが発覚して夫婦関係にひびが入った。また王室の流儀に溶け込めないまま、拒食症になり、自傷行為を繰り返したという。
一方のキャサリン妃は、結婚前の時代からウィリアム王子とパートナーとしての関係を結んでいた。8年近く交際を続け、ほかの友人たちとの共同生活も経験した。王室の一員ともなれば、常時監視状態に置かれることをキャサリン妃は身をもって学んでいた。
さらに母が王室入りした際に大きな苦難を経験したことを理解するウィリアム王子は、メディアとの付き合い方にも気を使っている。1年前に行われた結婚式は世界中のメディアが取材したが、その直後のハネムーンは行き先も含め、一切公表せず、2人はプライベートな旅行を楽しんだ。
―キャサリン妃の王室活動
結婚後は北米訪問など夫婦仲良く公務を続け、キャサリン妃は次第にファンを増やした。今では、着ているドレスやアクセサリーがあっという間に売切れてしまうほどだ。昨年夏のイングランド地方で発生した暴動では、英中部バーミンガムで攻撃にあった商店街を訪ね地元の人の話に耳を傾けた。
今年1月になって、キャサリン妃は自分がパトロンとなる4つの慈善団体の名前を明らかにした(後述)。どれも、「自分でじっくり考えて、本当に力を注げる団体を選ぶ」という方針の下で決定されたという。
同時に、幼少時にガールスカウトのメンバーであったことを生かし、英スカウト協会のボランティアになると発表した。子供たちにテントの設置の仕方や野外で火を起こすやり方を教えるなど、実際のボランティア活動に従事する予定だ。
英空軍に勤務する王子が2月、英領フォークランドの空軍基地に派遣されると、今度は1人で公務を次々とこなした。3月末には、児童の医療施設を訪問し、初めて公の場でのスピーチに挑戦。手元が震えながらも、3分間のスピーチを無事終了し、大きな拍手を得た。
このように一歩一歩、「嫁ぎ先」となった王室の慣習を学び、パートナーと力を合わせて、新しい環境を生きているように見えるキャサリン妃。国民の気持ちを汲み取り、共感し、支援する、そしてファッションとともにスポーツを楽しみ、健康的に生活するー。こうした前向きなメッセージを、キャサリン妃は私たち一般人に発信している。
―関連キーワード:SLOANE RANGER:「スローン・レンジャー」族。
1980年代以降、上流階級の若い、スタイリッシュな男女を指す言葉として流行した。富裕層が住むロンドンの高級住宅街チェルシーとベルグラヴィアの境界付近にある公園「スローン・スクエア」と、ラジオ及びテレビの西部劇「ローン・レンジャー」の名前を組み合わせた。「公式スローン・レンジャー・ハンドブック」という本が出版され、この表現が広く認知された。代表格はダイアナ皇太子妃(当時)。リッチで保守的なファッションを現代的に引き継いだのがキャサリン妃といわれている。
―キャサリン妃がかかわる慈善団体・ボランティア組織
パトロンとして
アクション・オン・アディクション(アルコールや麻薬など依存症に苦しむ人や家族への支援、教育、研究)http://www.actiononaddiction.org.uk/home.aspx
イースト・アングリア児童病院(EACH)(ケンブリッジシャー、エセックス、ノーフォーク、サフォーク州に住む、難病にわずらう児童やその家族への支援) http://www.each.org.uk/
ナショナル・ポートレート・ギャラリー(世界で最も広範なコレクションを誇る、肖像画専門の美術館)http://www.npg.org.uk/
ジ・アート・ルーム(芸術を通して、児童の自信を醸成、深める) http://www.theartroom.org.uk/
ボランティアとして
スカウト協会(野外教育を通した青少年人材育成活動。英国内では約40万人の青少年が参加)http://scouts.org.uk/
(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より)
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