・読者登録
・団体購読のご案内
・「編集委員会会員」を募集
橋本勝21世紀風刺絵日記
記事スタイル
・コラム
・みる・よむ・きく
・インタビュー
・解説
・こぼれ話
特集
・アジア
・農と食
・人権/反差別/司法
・国際
・イスラエル/パレスチナ
・入管
・地域
・文化
・欧州
・市民活動
・検証・メディア
・核・原子力
・環境
・難民
・中東
提携・契約メディア
・AIニュース


・司法
・マニラ新聞

・TUP速報



・じゃかるた新聞
・Agence Global
・Japan Focus

・Foreign Policy In Focus
・星日報
Time Line
・2025年04月04日
・2025年04月01日
・2025年03月31日
・2025年03月30日
・2025年03月29日
・2025年03月28日
・2025年03月27日
・2025年03月26日
・2025年03月23日
・2025年03月22日
|
|
2012年05月08日18時16分掲載
無料記事
印刷用
アマゾンのキンドル・ディレクト・パブリッシングの話 その2
先月中旬に開催された、ロンドン・ブック・フェアーで聞いた、アマゾン・キンドルでの電子書籍・自己出版の話を続けたい。16日に開かれた、「キンドル・ディレクト・パブリッシング(KDP)」についてのセミナーに出てみた。以前から、アマゾンでの電子書籍の自己出版について、大いなる興味と期待を抱いてきた。(ロンドン=小林恭子)
新聞記事などではよい話ばかりなのだが、このセミナーに出てみて、がっかりはしなかったが、更なる疑問がどんどん出てきてしまった。
まず、説明に立ったのは、KDP部門のアティフ・ラフィク氏である。この部門の担当者で、普段は米国勤務だ。
ラフィク氏の説明によると、KDPでは複数の言語(英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語など)で出版できる。そして、キンドルでの出版とは、PC,タブレット、そしてキンドルなど、様々な端末で読める形になる。
作り方はとても簡単で、まず原稿を先に作っておく必要があるが、その後、原稿をKDPの画面からアップロードし、価格など細かい点を決めて、「出版する」を選択するだけだ。これで、「早ければ、24時間後には商品として出る」そうだ。
この「早ければ、24時間で」という言葉は衝撃的だったが、なんだかドキリともした。つまり、「早すぎはしないか?」と。通常、新聞や雑誌用に原稿を出してさえ、これをフォーマットに入れて、ゲラを作るまでには少々時間がかかる。ある意味、かかって当然でもあるだろう。「24時間」とは、つまるところ、(ほぼ)ノーチェックということでないか?
ラフィク氏によれば、出版後は、何部売れているのかを自分で確認できるという。ここが既存の出版社とは違うところだ。
作者の印税分だが、価格によっても変わるのだが、英国では最大で70%だという(普通の本だと、通常の印税は10%前後といわれている)。KDPでは、一定の金額以下の価格だと、印税は35%になる。
価格は後で変えられるそうで、例えば発売直後はキャンペーンとして非常に安くするというのも手だそうである。
KDPでベストセラーになった作家もすでにいる。前回、照会したケリー・ウィルキンソン氏もその一人だ。
会場には昨年11月、「オンリー・イノセント」という犯罪小説をKDPで出した、レイチェル・アボットさん(右上、写真・著者ページより)が姿を見せた。以下は一問一答の抜粋である。
―何故KDPで出したのか?
アボット:本をいつかは書きたいと思っていたのだが、仕事があって書く時間がなかった。しかし、4年前に引退し、時間ができたので、楽しみとして書いた。いろいろな人に読んでもらうと、面白いというフィードバックが返ってきた。
いくつかの出版社にも送ってみたのだが、「面白い」「よい作品だ」とは言ってくれたが、最終的には「うちには合わない」と言われた。作家の面倒を見る、エージェントにも登録したが、よい話にはならなかった。去年の秋から、英国でもKDPができると聞いて、やってみようと思った。
―ベストセラーをどうやって達成したのか?
最初は1日に数冊売れただけだったが、まず、ビジネスプランを作った。どうやって売ろうか、と。前にコミュニケーション関係の会社に勤めていた。3週間をかけて、マーケティング計画を立てた。実際には、ソーシャルメディアを多用した。例えば、ツイッター。作家のツイッターをフォローする人を自分もフォローした。週に7日、1日に12時間、マーケティングに専念した。今年2月、ナンバーワンのセラーになった。
ー価格付けは?
最初は1・99ポンドで、それから1月半ばごろ、特別キャンペーンとして99ペンスで売った。
―ツイッターを使ったやり方で効果的な方法は何か?
ほかの作家のツイッターを研究し、フォローされたら、必ずこちらもフォローした。また、一人ひとりに話しかけたり、興味深いツイートを心がけた。本の一部の内容を引用することも、意識的に行った。また、いつツイートが出るかにも気を使った。例えば、300のツイートが、3時間ごとに出るように、と。作家が読者と関係性を持つことが重要だと思う。
***
会場からアマゾン側に出た質問を2つ、紹介する。一つは私の質問だ。
―先ほど、「早ければ24時間で出る」など、早さを強調していることが気になった。これだけ早いとすると、アマゾンのほうでは、中身についてのチェックがまったくなし、そのまま出るということを意味はしないだろうか?だとすると、キンドルで販売する、書籍の質の維持はどうやっているのだろうか?
ラフィク氏:うーん・・・これはよい質問ですね・・・。アマゾンでは、問題があるようなものがないかどうか(私の推測だが、ポルノグラフィックなものや人の中傷などだろうか?)に目を通している。(=あまりストレートな答えにはならなかった感じがした。)
もう1つは、「ベストセラーの話が紹介されたが、すべてがたくさん売れるわけではないのでは?KDPでは、平均どれぐらい売れるのか?」
ラフィク氏は、「アマゾンではそういう情報を共有しないことにしている」と述べるにとどまった。
セッションが終わって、どことなく気になったことが1つ、2つ。前回もそう思ったのだが、
*KDPを使って、初めて本を出す人の本の価格が、いやに低すぎないか?(コーヒー一杯も飲めない価格にする必要があるのだろうか?)モノにもよるだろうが、時間をかけて作った本の場合、どんなに安くても、日本で言えば500−1000円ぐらいにはなってもいいと思う。ただ、「本とは何か?」の考え方が、ここに来て変わっている可能性もある。つまり、画像が入って、せいぜい20分ぐらいで読み切れてしまうものが主流になる「かも」しれないのだ。
*様々な質の本が出ることになるが、もちろん、つまらない本は売れないからいいのだ・・・という説明はできるものの、「本が出しやすい」ということは、つまりは「小売店はノーチェックで本を出す」ということにもつながる。「間に入る出版社=編集者がいなくなった、よかったな、めんどくさくなくて」・・・などと言って、喜んでばかりでいいのかなあと。小売側の責任はないのだろうか?質、水準、もろもろの責任は、一切合財(基本的には)、作家に帰することになる状況は、いいのか、悪いのか?
*このブログもそうだが、今は誰でも情報の発信者になった。文章が外に出るとき、書き手以外のほかの人の手が介在しないのが普通になってきた。フェイスブックもツイッターも、まさにそうだ。私たちはもう、こういう状況になれているのだーしかし、本もそれでいいのかな、と。
*出した後で、実はほとんど売れていなかったりする人のケースも、レポートされてしかるべきじゃないだろうか?そのほうが、KDPで出す本の質があがると思うのだが。
***
などなど考えると、どことなく、心に秋風が少し吹いた、ロンドンの夕刻であった。(ブログ「英国メディア・ウオッチ」より)
|
関連記事
ロンドン・ブック・フェアでの話 ―英アマゾンで自費出版・ベストセラーを出した作家に聞いてみた
転載について
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。
|
|





|