経済危機の欧州は依然失業率が高い。フランスではついに10%の大台に上った。そんな中、パリのメニルモンタン劇場でこれから、職業斡旋をつかさどるフランスの国家機関ポール・アンプロワ(Pole emploi)を舞台に、労働と失業を舞台に乗せた笑劇が始まるらしい。タイトルは「ポポルへようこそ」。舞台づくりの中心となったのは、ポール・アンプロワの職員たちだという。
作者で演出家のカデル・ネメール氏(Kader Nemer)もその一人だ。ポール・アンプロワはレイム・ダック(去りゆく現職)のサルコジ大統領が2008年に肝いりで作らせた機関で、元々l'ANPEとAssedicという雇用対策の組織を統合したものだそうだ。職を求める人々と労働者を求める企業を結びつける役割を受け持つ組織のようである。
http://www.pole-emploi.fr/accueil/ ネメールも2008年以来ポール・アンプロワで働いているそうで、舞台づくりのきっかけは喜劇作者のネメールが同僚たちから劇をやろう、と促されたことにあったそうである。
舞台は近未来の2020年のパリ。失業率10%の真っただ中で、唯一大儲けしているのがCAC40(ユーロネクスト・パリ=証券取引所優良銘柄ベルト40)にリストアップされた多国籍企業ポポルだ。ちなみに、CAC40にリストアップされた現実の企業にはミシュラン、ロレアル、ダノン、ルノー、カルフールなど錚々たる大企業が並ぶ。 巨大な利益を出している多国籍企業と求職者たち、そして職業斡旋局の職員たちを巡る日常を痛烈に描いた劇らしい。
http://www.billetreduc.com/69235/evt.htm 舞台は5月11日(金)夜9時〜から。
■「職員たちが見た職業斡旋局」
http://www.streetpress.com/sujet/26405-bienvenue-chez-popole-une-piece-de-theatre-ecrite-et-jouee-par-des-conseillers-pole-emploi 日刊ベリタで紹介したパリの画家ブリエンさんはこの劇の舞台美術を担当した。 「舞台美術監督としてこの仕事に3か月携わりました。先週日曜、パリのギムナジウム劇場で先行上演を行い、メニルモンタン劇場で今週金曜日に初演です。とても激しい仕事でしたから、心も体も疲れました。でも、これから何週間にも渡ってまだまだ修正をしていかないといけません。」
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201109191622571 ■フランスの失業率
http://www.france24.com/fr/20120327-chomage-augmentation-precarite-emploi-france-presidentielle-travail-activite-reduite 国際ニュース専門チャンネル「フランス24」のウェブサイトによると、今年2月の時点でフランスの失業率は過去10か月以上継続して悪化の一途をたどっており、仕事を求めている人は約287万人に上り、失業率は昨年末には9.8%にも達していた。雇用も短期化される傾向が強まっており、フランス国立科学研究センター(CNRS)のフィリップ・アルシンスキー氏は「不安定な雇用が急増しています。雇用契約が超短期化する傾向を見せており、1週間という短期契約もしばしば見られます」と記事で語っている。こうしたことから、アンケートで失業問題がフランスの優先課題の第一位に上っていたようだ。このことが今回のフランス大統領選に影響したと考えられる。一方で反移民を掲げる右派の国民戦線も得票数を増やした。http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE81K02W20120123 ■「海外ではたらく!就職・職場事情」というウェブサイトにフランスの失業率に関する現地ルポが記されていた。タイトルは「第3回 深刻化する若者の失業率」。
http://www.ecareer.ne.jp/contents/oversea/f04_3.jsp
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