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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年05月28日19時51分掲載
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英国で進む公務員50万人の大リストラ
英政府の緊縮財政への批判が、最近、とみに高まっている。欧州債務問題、ギリシャ債務問題、ユーロの危機といった流れが近年続いており、欧州首脳陣が大胆な(かつ効果的な)政策を打ち出せないままに、ここまで来てしまった。フランスでは、現職サルコジ大統領からトップの座を奪ったのは、緊縮策よりも成長に比重を置くべきと主張した、社会党のオランド新大統領であった。英緊縮財政への抵抗が、最も目に見える形で表に出たのが、公務員の処遇にかかわる大規模デモであった。(ロンドン=小林恭子)
英国の公務員のリストラについて、「週刊東洋経済」5月26日号(21日発売分)に寄稿した。以下はそれに若干付け足したものである。
***
「68歳では、遅すぎる!」−こんなプラカードを掲げながら、英国の公務員労組約40万人が、5月10日、24時間ストを決行した。
病院や刑務所の職員、入国管理局員、救急隊員、非番の警官まで参加したデモは、政府が目指す年金改革や大幅人員削減に対する抗議運動だ。 政府案によれば、保険料の支払いが増加する上に、現行60歳の受給開始年齢が68歳にまで上昇しまうのだ。
公的部門に勤める職員(特殊法人、国民医療サービス、軍隊、地方政府、警察、学校などに勤務する約600万人。ちなみに英国の人口は日本の約半分の6000万人)の将来に大きな暗雲が出始めたのは、2010年秋だ。
金融危機で膨れ上がった財政赤字の解消を最重要課題とするキャメロン政権は、今後4年間の歳出大幅削減計画を発表。日本の消費税に相当する付加価値税の引き上げ、補助金削減、省庁別予算の平均19%の圧縮に加え、公的部門全体で約50万人の雇用削減を行うと宣言した。「50万人」とは過去に例のない、空前の規模のリストラ方針だ。
―サッチャー時代を凌駕する削減数
さきの削減計画発表から1年半が過ぎた現在、公的部門の人減らしは粛々と進んでいる。 国家統計局(ONS)の今年3月発表分によれば、昨年1年間だけでも、教育関係者では7万1000人、医療関係者は3万1000人など約27万人が離職した。現政権が発足した10年第1四半期から数えると、昨年末時点で38万人以上が職場を去った計算になる。「4年間で50万人」は決して誇張ではなかったのである。
オズボーン財務相は「公的部門の歳出の30%が給与の支払いであるため、歳出削減には人員整理が最も有効」と説明するが、削減の速度が「きつすぎる」とシンクタンク「インスティテュート・フォー・ガバメント」は指摘する。
「小さな政府」を実行したサッチャー元首相は、高額給与を得ていた幹部公務員数を4年間で10%のペースで削減したが、現政権は「すでに複数の省庁で幹部を30−40%削減している」(同シンクタンク)。
また、英国の人口の5分の4を占めるイングランド・ウエールズ地方の警察は、15年までに課せられた3万4000人の削減のうち、削減策発表から半年も経たない間に約1万人分の職を減少させた。
人材紹介会社ペンナを活用したある男性は、これまで32年間に渡り警察官として働いてきた。「この仕事は安定していると思っていたのに。まさか自分が首切りに直面するとは」と衝撃を隠さない。
警察官や軍隊など特殊な職に就いていた人材が、高齢で失業者となった場合、再就職は極めて厳しい。英国の直近の失業率は8・3%で、大卒者でも就職が難しいおりだけになおさらだ。民間企業での雇用が公的部門の削減分を吸収できていないのが現状だ。
年金制度の見直しも将来不安に拍車をかけている。高齢化によって、年金の支払い期間や総額は年々、上昇するばかり。そこで政府は、公的部門勤務者による年金支払い負担額を若干増加させる一方、受給開始の年齢を国民年金(段階的に68歳)に合わせて遅らせることを決定した。
さらに下押し圧力となっているのが、政府が予定する、地域間の経済格差を反映した給与体系への変更方針だ。
現在は勤務地がどこであれ、同様の仕事をしている場合、公務員の給与水準は同一となっている。これを全面的に変更し、物価が安く生活費の支出が低く済む地域では、これにあわせて給与を低く調整するという仕組みだ。
もともと、公的部門勤務者の給与は民間企業に雇用されている人の給与よりも一般的に高い傾向にある。地域別では、ロンドンがある南東部では民間企業と公的部門の間の給与差はほとんどないが、ウェールズ地方では公的部門勤務者は民間企業勤務者よりも18%高い給与を得ている。
政府は今年中に、職業安定所などに勤める16万人を対象に地域差を反映した給与体系を実行し、来年以降、全公的部門に適用する予定だ。
公的部門の職員の給与は14年まで凍結状態にある。目下の情勢を見る限り、当分は厳冬期が続くことになりそうだ。(「英国メディア・ウオッチ」より)
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