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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年06月30日18時53分掲載
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文化
フランスからの手紙26 あのキプロスが欧州連合理事会の議長国となる・・・Chypre va présider l’Union Européenne… パスカル・バレジカ
2012年7月1日からキプロスは欧州連合理事会の議長国をつとめることになる。これは欧州連合の機能の一つである。半年ごとに、加盟国の1つが欧州連合理事会の議長国となるのだ。キプロスも27加盟国の公式の1国である。
しかし、キプロスは通常の国ではない。トルコの脇にある大きな島であり、1974年にこの島は南北に分裂した。(島にはギリシア人コミュニティとトルコ人コミュニティがある)ギリシアに支持されたクーデターが起きたため、トルコはトルコ人が住んでいる島の北部を占領した。以来、紛争は未だに解決していない。国際社会はギリシアの影響下にあるキプロス島南部の政権を承認し、一方、北部の政権はトルコが承認した。
2004年に国際連合が島の統一をめぐり両サイドで住民投票を実施したところ、南部のギリシア人コミュニティは76%が統一に反対だった。一方、北部のトルコ人コミュニティでは65%が統一に賛成を示した。しかし、キプロス南部はこの投票結果に反して、理不尽にも欧州連合に加盟が承認されたのだった。
その背後にはギリシアの強い圧力が働いていた。オランダはキプロス南部の欧州連合加盟に反対すると見られていたが、ギリシアはオランダに対して<もし貴国がキプロス南部の欧州連合加盟に承認しないのであればギリシアは欧州連合拡大全般に反対し、新規加盟を目指す他のすべての国の加盟に反対する>と脅したのだ。もしギリシアが反対すれば欧州拡大に投じたすべての努力を無に帰しかねなかった。
キプロス南部の欧州連合加盟はトルコにとっては侮辱であり、当然ながらトルコの抗議を呼び起こした。トルコなしの、キプロスの欧州連合加盟はナンセンスと言えよう。その当然の結果として、ギリシア側のキプロス(南部)が欧州連合理事会の議長国になると発表されるとアンカラのトルコ政府は抗議した。今後半年間、欧州連合はトルコとの関係が経済の再生にとってひどく必要なはずだが、トルコは欧州連合との関係を縮小すると脅した。
キプロスが投げかけたのは政治問題だけではない。経済問題や地政学的な問題をも投げかけているのだ。キプロス南部には80万人が住んでおり、2008年1月1日以来、共通通貨ユーロを使っている。しかし、その金融機関はギリシア危機によって著しく弱体化している。キプロス南部で2番目の大手銀行であるキプロス民衆銀行(Marfin)を救済するために、6月30日までに18億ユーロの資本を必要としている。さらに実際にはキプロス南部の金融機関の資本不足額をすべてひっくるめると40億ユーロ以上に上ると見られている(一説では資本の不足額は100億ユーロ以上に上る)。
ギリシア、アイルランド、ポルトガルに続き、キプロスもまた欧州安定化基金やロシアなどに対し、資本の注入を求めなくてはならないおそれがある。ロシアは1年前すでに25億ユーロをキプロス南部に投入している。なぜなら、ロシアの大富豪であるオルガリヒたちにとってキプロスは資金の格好のトンネル経路になっているからだ。
キプロスとロシアの関係はロシアがアサド政権を支援していることを考えると憂慮すべきことである。ロシアはシリアのTartousに軍事基地を持っている。これはキプロス島からわずか150キロだ。もし、アサド政権が崩壊した場合、ロシアは海軍基地をキプロス南部に確保しようと試みるかもしれない。欧州では欧州とロシアに二股をかけるキプロスを非難する声が上がっている。そのキプロスが欧州連合理事会の議長国を務めることは大きな問題を起こす可能性があるのだ。
寄稿: パスカル・バレジカ(Pascal Varejka) メールアドレス(言語は英仏伊) pascal.varejka@gmail.com 翻訳: 村上良太
■ウィキペディアには次の記載がある。 「金融業については、タックスヘイブンとして有名だった時期もあり、欧州でも金融活動が盛んな地域となっている。ロシアへの投資の際には、キプロスに作った会社を経由して行うケースなど、投資拠点として栄えている。また、会計士や弁護士などの人材も多いという」
■フランスからの手紙4 ギリシアはどこへ? 欧州を考える(下)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201005030013531 ■フランスからの手紙13 トルコは向きを変えるのか?
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=201008040158093
以下は元のテクスト
■Chypre va présider l’Union Européenne…
Le 1er juillet 2012, Chypre doit prendre la présidence tournante de l’Union Européenne. Cela fait partie du fonctionnement de l’UE : tous les six mois, un des membres prend la présidence de l’Union. Et Chypre est officiellement un des 27 États membres.
Mais ce n’est pas un État ordinaire. L’île, située au large des côtes turques, est divisée en deux depuis 1974. À la suite d’un coup d’État soutenu par la Grèce, la Turquie a alors envahie la partie nord de l’île, peuplée par des Turcs. Depuis, on n’a jamais résolu le conflit. La communauté internationale reconnaît le gouvernement de la partie chypriote grecque (Chypre Sud), tandis que la Turquie reconnaît le gouvernement de la partie chypriote turque (Chypre Nord).
En 2004, lors du référendum organisé par l’ONU sur la réunification de l’île, la communauté grecque a voté ’non’ à 76 %, alors que la communauté turque a voté ’ oui’ à 65 %. De façon absurde, en dépit de ce référendum, Chypre Sud a été admis dans l’Union Européenne. Cela en grande partie sous la pression de la Grèce - les Pays-Bas avaient prévu de s’y opposer, mais la Grèce a menacé d’opposer son veto à l’entrée de tous les autres pays, réduisant à néant le processus d’élargissement de l’Union.
Naturellement, l’adhésion de Chypre a constitué un véritable camouflet pour la Turquie et entraîné ses protestations. Sans être Turc, on peut considérer que l’admission de Chypre dans l’Union est un non-sens. Naturellement, l’annonce d’une présidence chypriote (grecque) de l’Union a été vivement critiquée par le gouvernement d’Ankara, qui a menacé de limiter ses rapports avec l’Union Européenne au strict nécessaire pendant les six mois à venir.
Chypre ne pose pas seulement des problèmes politiques, mais aussi des problèmes économiques et géostratégiques. Chypre Sud, avec ses 800.000 habitants, fait partie de la zone euro depuis le 1er janvier 2008. Mais son secteur bancaire est très affaibli par la crise grecque – il faut trouver 1,8 milliard d'euros avant le 30 juin pour recapitaliser la Banque Populaire de Chypre (Marfin), la seconde banque du pays. Mais en fait, les besoins des banques chypriotes pourraient dépasser les 4 milliards d’euros (certains parlent de 10 milliards d’euros…).
Chypre risque donc, après la Grèce, l’Irlande et le Portugal, de devoir faire appel à l’aide soit du Fonds Européen de Stabilité Financière, soit de la Russie qui, l’an dernier, lui a déjà prêté 2,5 milliards d’euros. Car Chypre est une importante place de financement offshore, par où transite l’argent des oligarques russes.
Les liens entre Chypre et la Russie sont d’autant plus embarrassants que les Russes continuent de soutenir le régime de Bachar el-Assad en Syrie. Ils disposent d’une base militaire en Syrie, à Tartous, qui se trouve à 150 km des côtes chypriotes. Si le régime syrien tombe, les Russes pourraient essayer d’obtenir une base navale à Chypre. Des voies s’élèvent déjà en Europe, accusant Chypre de jouer un double jeu entre l’Europe et la Russie. La présidence de l’Union par Chypre risque donc de causer d’énormes problèmes.
Pascal Varejka
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パスカル・バレジカ氏 ジャーナリスト。またパリやプラハの都市史を多数執筆。「図像で見るパリの歴史」「中世のパリ」「欧州の奇妙な象」、ガイドブック「パリ」など。イタリア語の芸術本、歴史書、ガイドブックなどを仏訳する翻訳家でもある。
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