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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年07月28日10時35分掲載
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アフリカ
断食の月〜ラマダン〜にある国から 村上良太
イスラム教徒は1年のうち、1か月間、断食の月〜ラマダン〜を過ごす。断食と言っても飲食が禁じられているのは日の出から日没までの間で、日が暮れると飲食してもよいとされる。イスラム暦の関係でラマダンの月は西暦とずれが出るが、今年は7月20日から8月19日頃まで。アルジェリアの首都アルジェに住むイスラム教徒の女性から、今、過ごしているラマダンについてのレポートが届いた。
「ラマダンがやってきました。すべてのイスラム教徒は人生の中で最善かつもっとも美しい試練の時間に入ります。断食することにより、信仰を深め、精神性を回復し、他者に与えることや、他者と連帯すること、正義を行う事、生きることへの尊厳を持つこと、そして世界と一体化することを目指すのです。イスラム教徒は自分について省察し、人間性を深めることを考えます。」
イスラムの教えが日々の暮らしの中で、忘れられたり、損なわれたり、乱れたりしていくことを防ぐためにあえて断食月を設け、試練に打ち込むことで信仰を回復するのだという。寄稿したジャミーラさんにとって第三外国語である英文にはfastingとたくさん書かれてあり、これが断食を意味する英単語であると知った。
私はテレビドキュメンタリーを作っている者であり、職業柄目に見えるアクションを(中心に)撮影する。目に見えないものを描くのは難しい。だから、断食と言えば空腹を耐え忍ぶ苦しそうな顔とか、日没後の家族そろっての大宴会などをすぐに想像してしまうのであった。したがって、断食月のレポートには日没後に何を食べたかが書かれているのか、と思ってしまったのだが、彼女のレポートには内面についての言葉が並んでいた。
「断食月の間、私たちは欲望に根差した飲食を断ち、私達の存在そのもの、心、そして生きる意味を取り戻すのです。断食することによって誠実であることを実践し、私達の中にある欠点を見つめるのです。隠さず、嘘をつかず、自己を見つめ、人生の中で何が真に重要なのかを考えるのです。」
私はイスラム教徒ではないため、断食のこのような体験を経たことがない。そればかりか、日本やいわゆる西側社会にいれば日々、食品やレストランのコマーシャルがシャワーのように降り注ぐわけである。欲望を最大に満たすために仕事でより多く稼ぐことが重要だという価値観の中につかっている。だが、信仰深そうに見えるイスラム教徒においても放置すると怠惰や自己欺瞞や堕落といったことに陥りがちだからこそ逆にこのような月を設けているようである。
「断食はコーランに書かれているように、イスラム教が始まる以前から、すべての宗教で定められていたものなのです。断食修行を行うことで信仰や精神性を取り戻すだけでなく、家族や同朋とのつながりも取り戻すわけです。」
こうした修行によって精神性を深める過程で、人生の目的地がどこにあるのか、自分の運命は何なのかについて省察することにもなるようだ。こうして、人間が高貴な存在であり、尊厳を持った被造物であることが心に開示されるに至るという。だからこそ、ラマダン(断食の月)は自己回復の月である。この1カ月をイスラム教徒は「光の月」とも呼んでいるようである。目と心を大きく開き、内側に光を招き入れるからだそうだ。
「でも残念なことに、国によってはこうした信仰とはまったく逆の生活がまたあるのが現実です」
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断食月を伝えるアルジェのジャミーラさん(右)





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