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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年08月21日17時48分掲載
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国際
ICJ国際司法裁判所 竹島領土紛争と西サハラ領土紛争 文:平田伊都子 写真:川名生十
2012年8月17日、日本は韓国に、竹島領土紛争をICJ国際司法裁判所に解決してもらおうと、提案した。 竹島は日本の隠岐諸島と韓国の鬱陵(ウルルン)島の間にあり、両国がそれぞれ領有権を主張している。 断崖絶壁に囲まれた竹島は東京ドームの5倍くらいで、飲料水に乏しく人が住める所ではなさそうだが、漁業資源や海底資源がある。 最近、韓国は要塞を建設中で大統領が島に乗り込み実効支配をアピールしている。 韓国の挑発を受けてやっと日本政府はICJ国際司法裁判所に訴えようと動きだしたのだが、韓国が裁判を受諾しないと法廷を開けないとか? なんなんだ?この裁判所??
*ICJ国際司法裁判所とは?
とかく日本の庶民は国連という名がつくと無条件で信用してしまう。 国連は第二次大戦を受けて戦勝国が作った戦勝国に都合の良い組織だということを、敗戦日本国民は忘れ勝ちだ。 国際司法裁判所も国連の司法機関であり、戦勝国側にいる韓国のほうを敗戦国日本より贔屓するんだということを頭に置いて、ICJ国際司法裁判所を考えてみたい。
ICJ(International Court of Justice) 国際司法裁判所は1946年に国連の主要な司法機関として設立された。 この裁判所は国連憲章に基づき、国連加盟国が裁判に参加できる。 国連安保理の推薦で国連総会が承認すれば、国連非加盟国でも参加できる。 が、個人や団体はお呼びでない。 国際司法裁判所は参加国家が提訴する国家間の紛争に関して裁判を行い、判決や命令を出す。 が、判決が出たからと言って、即、強制執行というわけではない。 この裁判所には強制権がなく、せいぜい国連安保理に訴え、安保理による勧告や決定や制裁を促すことぐらいしかできないようだ。 さらにまた、この国連安保理を牛耳る常任理事戦勝5か国の存在を敗戦国日本は忘れている。 アメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリスと、5か国は第二次大戦の戦勝国で、国連安保理に持ち込んでも敗戦国日本に勝ち目はない。 一体、法的な拘束力も強制力もない国際司法裁判所の判決は何の役にたつのだろうか? 「国際司法裁判所の判決は、国際的に権威がある。判決が履行されれば、慣習国際法となり法的拘束力を持つことにもなりうる」と、言われているのだが、、
*国際司法裁判所の判例
国際裁判所ではどんな人が裁判官を務めているのだろうか? 私たち庶民も裁判員のような形で参加できるのだろうか? 残念ながら庶民はお呼びでない。 国が人徳高く国際法に明るいと選んだ人間だけに、国際司法裁判所の裁判官になる候補者の資格が与えられる。 候補者はさらに、国連安保理と国連総会でふるいにかけられる。 かくして選ばれた裁判官15人は、オランダ政府が提供するハーグの平和宮殿で、風雅な判事生活を9年間送る特権を貰えるのだ。 <会議は踊る>という華やいだオペレッタ映画が1931年に封切られた。 ナポレオンを退治したヨーロッパ諸国が欧州秩序の回復と領土分割のため開いた1814年の<ウイーン会議>を舞台にしている。 しかし、怪物ナポレオンは一時的とはいえ復権するし、植民地主義の抗争は世界を戦乱に巻き込んでいく、、会議は舞踏会に過ぎなかった。 最近、この映画の主題歌「新しい酒の歌」や「ただ一度だけ」をドイツのマックス.ラーベが歌って流行っている。 21世紀初めなのに19世紀末の雰囲気だ。 「会議は踊る、されど進まず(シャルル.ジョセフ侯爵)」という言葉がますます真実味を帯びてきた。
*西サハラの領有権
一体どんな判例をこの平和宮殿.国際司法裁判所は出してきたのだろうか? 裁判所は1947年5月22日から2012年8月17日まで、152の事件を扱っている。 国際司法裁判所が審議する事件は領土問題や国境紛争などとされている。 通常は、関係両国が国際司法裁判所に共同提訴すると裁判が始まる。 あるいは一方の国が告訴しそれを被告の国が同意するという形も取られている。 その中で1995年の東チモール事件の判決は、東チモールの独立運動を助けた。 そして2002年、東チモールはインドネシアの占領から解放され、国際司法裁判所的にはポルトガルからの独立を果たしたのだった。
1975年10月16日、国際司法裁判所はモロッコの西サハラ領有権を否決した。 裁判所は、モロッコと結託して提訴したモーリタニアの西サハラ領有権も否定した。 モロッコは、スペイン占領(1884〜1975)以前にモロッコ王に対して西サハラのある部族長がバイヤーン(忠誠の誓約)をしていたから、西サハラは数世紀前からモロッコ領土だと主張した。 モーリタニアの領土権主張も同じような根拠に基づいていた。 しかし、国際司法裁判所は当時の西サハラがスペイン植民地下にあるとし、土着民(西サハラ住民)が主権者で彼らに民族自決権があると判断した。 さらに国際司法裁判所は、モロッコには西サハラに関し、領土的主権を裏付ける法的根拠もなく、国際的認知もなく、西サハラ地域での実践的排他的な活動もないと、指摘した。 モロッコの西サハラ領有権は国際司法裁判所によって完璧に否決されている。 当時の西サハラはスペイン植民地で、国連は脱植民地化を目指す非自治地域として東チモールとともに西サハラもリストアップしていたのだ。
しかし韓国大統領に似て、モロッコ王も国際司法裁判所など無視して領有権を目指し、実力行使に及んでいくのだった。
*西サハラは誰のもの
「サハラー.アル.マムラカトゥル.マグレビーヤ(アラビア語でモロッコ王国のサハラ)」 と、モロッコ王は西サハラ国境から550キロ離れたアガデイールで<緑の行進>にゴーサインを出した。 1975年11月6日午前10時40分、35万人(実数10万)のモロッコ.デモ隊がポケット版コーランとイスラム教の数珠.ミスバハを手に、モロッコ国境のタフを出発する。 数百メートル先はスペイン領西サハラだ。 「アッラーフ.アクバル(アラビア語で神は偉大なり)」と、アハマド.オスマン.モロッコ首相が拡声器で叫ぶと、モロッコの閣僚6人に続いてサウジ、ヨルダン、ガボンなどの使節団が、そして大群衆がスペイン領西サハラの国境を越えた、、 しかし、なぜか、目的地だったスペイン領西サハラ首都に向けての行進は中止になった。 「行進の目的は達成できた。スペインも世界もサハラはモロッコの物だと認めるだろう」と、モロッコ王は行進の中止と帰還を命じたのだった。 同行した世界のメデイアも派手なモロッコ官製パフオーマンスを追ってモロッコ本土に帰還していった。 が、大群衆の巻き上げた砂塵が治まった西サハラ国境には、数万人に上るモロッコ兵が蜃気楼のように現れたのだった。 その頃、西サハラの宗主国スペインでは長期独裁者フランコ将軍が危篤に陥っていて、国内は一発触発の危機状態にあった。 西サハラには石油や天然ガスも見つかってなかったし、西サハラ独立を目指す西サハラ住民のゲリラ活動は激しくなってくるし、モロッコとモーリタニアは西サハラ領土をよこせとうるさいし、、 もてあましたスペインは西サハラ植民地を損のないように手放そうと決めた。 そして1975年11月14日、スペインはモロッコやモーリタニアとマドリッドで秘密協定を結び、西サハラの北部をモロッコに南部をモーリタニアに分譲した。 その代償としてスペインは、西サハラ本土で採掘されるリン鉱石の35%と西サハラ沖合漁業の権利を取得する。 三国秘密協定は国連にも国際司法裁判所にも、もちろん西サハラ住民にも、秘密だった。
*国際司法裁判所って何なんだ?
1975年、国際司法裁判所が西サハラの領有権は土着民(西サハラ住民)にあると判決を下して37年になろうとしているのに、西サハラは土着民(西サハラ住民)の手にもどらず、モロッコが実効支配を続けている。 「国際司法裁判所って何の役に立つんだ?」と、国際司法裁判所に問い合わせてみたい。 国際司法裁判所の元締めである国連安保理が西サハラ領土紛争解決策として<国連西サハラ住民投票>を1991年に提案してから、21年以上になる。 しかし、占領国モロッコは <国連西サハラ住民投票>を拒否し続けている。 「国連安保理の役どころは何なんだ?」と、国連安保理に問い正したい。
日本が竹島領土問題を国際司法裁判所に提訴するとかで、庶民に馴染み薄い国際司法裁判所がにわかに近い存在になった。 が、紛争相手.韓国との距離はなかなか縮まない。 日本は韓国に対して、竹島領土紛争を国際司法裁判所に共同提訴しようともちかけた。 が、1954年や1962年と同様にあっさり断られた。 次なる手は、日本が一方的に提訴するということになる。 が、他の国連加盟国と違って韓国は国際司法裁判所の強制管轄権条項にサインしていないから、裁判に応じることを強制されないし、応じない場合の説明をする必要もないそうだ。 「独島(竹島)は朝鮮領土」と、朝鮮日報は断言している。
こんな国際司法裁判所に日本は竹島領土問題を託そうとしている。 一方、西サハラ住民は祖国西サハラ領土問題決議の履行を、悲願の西サハラ独立を、こんな国際司法裁判所に託している、、国際司法裁判所や国連の不履行に関して、一体誰が責任を取ってくれるのだろうか??
文:平田伊都子 ジャーナリスト 写真:川名生十 カメラマン
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1931年ドイツ制作「会議は踊る」のポスター
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