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2012年08月24日12時44分掲載
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沖縄/日米安保
日米安保条約を「日米平和友好条約」へ 〜沖縄“本土復帰”40年にあたって <その2> 日本の安全保障政策の拡大と日米同盟関係 池住義憲
日米の軍事同盟関係は、この50年で大きく変化した。それに伴い、日本の安全保障政策も拡大に拡大を重ねた。大きく分けて三つの期に分けられる。 第一期は、1951年9月旧安保締結から米ソ冷戦体制崩壊までの「冷戦時代」。第二期は、1991年12月ソ連崩壊から2001年の911事件までの「ポスト冷戦時代」。第三期は、911事件以降の「ポスト911時代」。三つの期の詳細を論ずることは控えるが、それぞれの期で日米がどのような範囲・地域を対象とした軍事同盟関係であったかを見ると、その変化がよく読み取れる。
◆日本の安全保障政策の拡大と日米同盟関係の変化
第一期(冷戦時代)では、実態はともかくとして、「フィリピン以北並びに日本及びとその周辺であって韓国及び台湾の支配下にある地域」、いわゆる「極東」に限る、としていた。資本主義対共産主義という東西冷戦構造下で、日本は共産諸国に対するアジアの基地・拠点に位置づけられていた。
第二期(ポスト冷戦時代)になると、状況は一変する。新たな状況のもとで日米両政府は、1994年に安保“再定義”の話し合いを開始。朝鮮民主主義人民共和国の核疑惑や台湾海峡ミサイル危機などを挙げ、“アジア・太平洋の平和”のためとして、日米首脳は二年後の1996年に「日米安保共同宣言」を発表する。
前後して日本政府(自民党政権)は、PKO協力法(1992年)、第二次防衛大綱(1995年)、日米防衛協力のための指針(1997年)、周辺事態法(1995年)など、次々と国内を“整備”し、米国とのポスト冷戦体制を進めていく。その結果、日米軍事同盟の対象範囲は、そのまま放置すれば日本に対する「直接の武力攻撃に至るおそれのある事態」、日本周辺地域における日本の「平和及び安全に重要な影響を与える事態」へと拡大する。
地理的範囲設定でなく、概念的範囲設定に切り換え、「周辺事態」という曖昧な表現を採用する。解釈の仕様によっては、世界中何処でも日米軍事同盟の対象地域になる仕組みへと豹変する。日本周辺外であっても、日本の“安全保障”に脅威を与えるものに対処する道を拓いた。
第三期の「ポスト911時代」は、第二期で創り上げた体制を更なる高みへ押し上げる。21世紀の脅威として、「テロリズム」「大量破壊兵器の拡散」「国際犯罪組織」「民族紛争」を挙げ、それらに対処・対応する日米軍事同盟関係へと発展させていった。
日米両政府は「世界の中の日米同盟」を強調し、2002年から米軍再編協議を開始。2005年に日米共通戦略目標と「日米同盟:未来のための変革と再編」、それにもとづく日米ロードマップを発表した。日米同盟「深化」のプロセスが着々と進行した。
自公政権(小泉内閣)は、テロ特措法(2001年10月)、有事法制(2003年6月)、イラク特措法(2003年7月)などを成立させ、国内の“法整備”を行う。そして、米国が行なう二つの対テロ戦争で、自衛隊艦隊のインド洋派遣、自衛隊のイラク派兵へと突き進んでいった。
■政権交代後、とくに最近の動き
政権交代後の民主党中心政権(2009年9月〜)になっても、この流れは変わらない。むしろ、加速した。「米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす」とした2009年8月の民主党マニュフェストどおり、日米同盟関係を着々と「深化」させている。
2010年12月には、「新防衛計画大綱」を閣議決定。このなかで政府は、特定の脅威を想定せず全国の部隊を平準化したこれまでの「基盤的防衛力」から、中国・北朝鮮などを想定し海外活動を日常化した即応性・機動性のある「動的防衛力」へ転換すること、を表明する。そして、イージス艦改修、潜水艦部隊の増強、中央即応連帯の充実、ヘリ空母や次期輸送機(CX)の整備、PKO五原則見直し、などを具体的目標に挙げた。
2012年4月、日米両政府は米軍再編見直しの「中間報告」を発表。アジア太平洋地域における両国の軍事協力拡大新構想を提唱し、グアムや北マリアナ諸島での共同訓練場整備と日米共同演習を行って、日米による共同防衛を目指す、とした。テニアン島の米軍基地には、自衛隊を駐留するとした。
民主党政権のこうした動きに呼応して、野党自民党は、「日本国憲法改正草案」を発表(2012年4月)。現行憲法の第2章(9条)の「戦争の放棄」を「安全保障」に変更し、「自衛権の発動」規定を盛り込む、とした。自衛権に関しては、個別的・集団的自衛権を区別していない。
2012年5月開催の日米首脳会談では、『未来に向けた共通のビジョン』と題する共同声明を発表。日米は「アジア太平洋地域と世界の平和、繁栄、安全保障を推進するためあらゆる能力を駆使し、役割と責任を果たすことを誓う」と宣言。日米軍事同盟の地球規模化だ。「地域の多様な緊急事態に日米同盟が対応する能力をさらに高める」ため、「防衛協力の更なる強化を目指す」、とした。自衛隊と米軍二国間による「動的防衛協力」、というわけだ。
6月の野田再改造内閣で野田首相は、集団的自衛権行使容認論者である森本敏氏を防衛大臣に任命。翌7月、野田首相が議長を務める国家戦略会議分科会では、「平和のフロンティア部会報告書」をとりまとめる。「(米国との)安全保障協力を深化させるためにも、協力相手としての日本の価値を高めることが不可欠」と強調し、「集団的自衛権の行使を含めた国際的な安全保障協力手段の拡充を実現すべきである」と明記した。
自民党も歩調を合わせて、「国会安全保障基本法」概要を党議決定。このなかで自民党は、集団的自衛権行使をはじめ、幅広く海外での武力行使容認の方向打ち出す。こうした動きのなかで、去る7月23日、米軍新型輸送機MV22オスプレイが岩国基地に陸揚げされるに至った。オスプレイは、その後、沖縄・普天間飛行場へ移し、2014年までに24機配備する計画であるという。
7月31日、政府は2012年版「防衛白書」を閣議で報告・了承。海洋進出を積極化させる中国軍に警戒感を示し、中国に近い沖縄の重要性を強調している。そして、米軍と自衛隊による共同訓練の拡大、施設の共同使用の更なる検討、情報共有や警戒監視・偵察活動の拡大など連携強化策などを謳っている。
沖縄は「戦略的要衝に存在」、米軍駐留は「日本の安全とアジア太平洋地域の平和と安定に大きく寄与している」と明記し、海兵隊の抑止力を高める必要性を訴えている。
日米軍事同盟関係は、ここまできてしまっている…。
(つづく)
*本稿は、去る2012年8月12日、日本基督教団紅葉坂教会(横浜市西区)で開催された日本基督教団神奈川教区社会委員会主催の平和集会で行なった講演内容を基に、要点のみを簡略に書きまとめたものです。
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