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2012年09月12日00時24分掲載
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沖縄/日米安保
日米安保条約を「日米平和友好条約」へ〜沖縄“本土復帰”40年にあたって<その4>日米安保を日米平和友好条約へ変えるための4つの提案 池住義憲
軍事同盟関係から平和友好関係へと切り替えるプロセスをつくるには、どうしたらいいか。簡潔に以下4点、提案して終わりたい。
【提案1】「軍事抑止力」神話を崩す
世界195ヵ国のうち、現在、コスタリカやハイチなど27ヵ国が軍隊を持っていない非武装国家だ。そのいずれも、過去において外国から軍事攻撃されたことは、ない。国連憲章やジュネーヴ条約追加第一議定書にある「無防備地域宣言」条項(59条)など国際法を、平和の基にしている。
戦争を起した国・起された国は、いずれも軍隊(軍事力)を持っている国だ。そして、大規模な軍隊を持っていればいるほど、軍事衝突や戦争の回数が多い。
武装と非武装。実際、他国から軍事攻撃される可能性はどちらが高いか。攻撃された場合、その被害はどちらが甚大か。お金(軍事費)はどちらがどれくらい掛かるか。このように考えた時、「現実的」なのは、本当にどちらか・・・。
国際法治主義をとっている現実世界において、既存・既成の思考枠組みにこだわらず、冷静に、客観的に、事実に基づいて再考・再学習することが大切だ。「軍事抑止力」神話を崩す平和教育の実施が、運動の基盤となる。
【提案2】「憲法」と「安保」は相容れないことを粘り強く主張・論証する
1959年3月、砂川事件で東京地裁は「駐留米軍は日本国憲法上その存在を許すべからざるものである」と断じ、米軍駐留を憲法9条2項違反との判決(伊達判決)を下した。伊達判決は、その後、安保条約調印の遅延を恐れた政府が異例の跳躍上告を行い、そこで破棄される。
しかし伊達判決は、安保条約破棄、米軍基地閉鎖・撤収の運動が「憲法に根拠のある法的に正義な闘い」である、という確信を私たちに与えてくれた。
1973年9月には、長沼ミサイル基地事件で札幌地裁が自衛隊違憲判決(福島判決)を言渡した。合わせて、憲法の平和主義は単なる理想ではなく現実的基盤に立つものであること、憲法前文にある平和的生存権は「基本的人権そのものである」こと、などを判示した。
「平和的生存権」については、その後、自衛隊イラク派兵差止訴訟の名古屋高裁判決(青山邦夫裁判長、2008.4.17)や岡山地裁判決(近下秀明裁判長、2009.2.24)などで大きく進展した。平和的生存権の裁判規範性はより強固なものとなり、権利内容もより具体的・広範囲に認定された。
福島判決そのものは、高裁・最高裁で破棄させられる。しかし、判決のなかの次の部分は、今日にいたる憲法改悪阻止、安保破棄運動の支柱と成り得ている。
“前文のなかからは、万一、世界の国々のうち、平和を愛することのない、公正と信義を信頼できない国が存在し、わが国が侵略の危険にさらされる事態が生じたときも、わが国自らが軍備を保持して、再度、武力を持って相戦うことを容認するような思想は、まったく見出すことはできない”
このように、過去半世紀にわたった蓄積してきた判決・判示を活用して、安保条約の違憲性を主張・論証し続けていく。繰り返し、繰り返し…。
【提案3】「非軍事国際協力」に特化するよう主張・提案し続ける(9条の政策化!)
常備軍の不保持を憲法に謳い軍隊を持たないコスタリカは、「兵士の数だけ教師を」の掛け声で軍事費分を教育費に廻している。福祉、医療などに充てる。国連平和大学など国際機関を誘致するなどして、自国が軍事攻撃されにくいようにする。攻撃した国がより大きなディメリットを生じ、国際的に非難を受ける環境づくりを積極的に行っている。
日本の2011年度防衛関連予算は、4兆7138億円。総勢26万人といわれる自衛隊員の人件費は、2兆円強。あとは、防衛力整備・編成費、基地対策等推進費、ミサイル防衛整備研究費などの費やされる。
莫大なお金を軍備に費やすのでなく、雇用創出、教育、福祉、保健・医療、平和外交、国際文化交流、国際理解、国際協力、貧富の格差是正のための諸策などに用いることを提唱しよう。この方が平和と安定に寄与する。
国内外緊急災害救援・、同復旧・復興支援、同国内外難民支援、海難救助、衛生・医療など社会基盤整備、地雷撤去など、国境を越えた人道活動、「人間の安全保障」実践に特化する。戦車でなく復興ブルドーザーを、戦闘爆撃機でなくドクターヘリを!である。
9条を持つ国日本は、非軍事国際協力、非軍事国際貢献に特化する。憲法の平和主義と9条を「政策化」する。こうした主張・提案をし続けていく。
【提案4】平和的環境をつくる「平和外交」推進を主張・提案し続ける
いまアジアには、すくなくとも三つの「非軍事」による平和的環境づくりの動きが進行している。
第一は、東南アジア友好平和条約(TAC)。1976年に締結され、日本は2004年に加入。現在、25ヵ国となっている。TACは、1)武力による威嚇または武力の行使の放棄、2)紛争の平和的手段による解決、を目的としている。
加入国間で争いが起きても、「武力による威嚇」や「武力の行使」を慎み、常に加入国間で友好的な交渉を通じて紛争の解決に当たる。当事国だけで解決することが難しい場合は、加入国の閣僚級代表でつくる理事会が仲介する。もし域外から「脅威」があっても、TAC加入国は集団的に軍事力で対応することはしない、としている。
第二の動きは、ASEAN地域フォーラム(ARF)。1994年より開始され、アジア太平洋地域における政治・安全保障分野を対象とした全域的な対話のフォーラムだ。対話と協力を通して、地域の安全保障環境を向上させること、を目的としている。コンセンサスを原則とし、自由な意見交換を重視する。「信頼醸成の促進」「予防外交の進展」「紛争へのアプローチの充実」という三段階のアプローチを設定し、漸進的な進展を目指している。
第三は、「東南アジア非核地帯条約」。1997年に発効し、加盟国は東南アジア10ヵ国。安全保障の基礎は、核兵器貯蔵ではなく、「平和外交政策」と「経済と政治の持続的発展」であるとの考え方に基づいている。
締約国による核兵器もしくは核爆発装置の研究・開発・製造・貯蔵・取得・所有・管理の禁止、自国領域内における他国の放射性廃棄物の廃棄許可等をすべて禁止する、というもの。同時に、核保有国に核軍縮努力を求めた「核不拡散条約」(NPT)の全面支持を謳い、「包括的核実験禁止条約」(CTBT)の完全順守を求めている。
同種の条約は、カリブ海・中南米(1968年〜)、南太平洋・オーストラリア(1986年〜)、中央アジア(2009年3月〜)、アフリカ(2009年7月〜)にある。が、東アジア(中国、朝鮮半島、日本など)は、まだ非核化されていない。
これらはいずれも、軍事力によらない「平和外交」。文化や宗教の多様性を互いに尊重し、その上で非軍事による平和づくりを実現しようとするものだ。日本は、アジアで進行するこうした動きとより積極的に連動・協働する「平和外交」を推進するよう、主張・提案し続けていく。 * 軍事同盟関係を、変えることができる。 安保は、終了(破棄)できる。
以上(完)
------------------------------------ <補稿> 多くの方から賛同・励ましを含めて貴重なコメントを頂きました。ありがとうございます。質問も何件か頂きました。その中のひとつのメールやり取り一部を、以下に貼付します(池住義憲)
------------------------------------ (略) ご指摘のとおり、まず、安保条約前文の最初の方に「両国の間の一層緊密な経済的協力を促進し、…」をうけて第2条(経済的協力の促進」があります。第2条では、「その自由な諸制度を強化することにより…」からはじまって、「締約国は、その国際経済政策における食い違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する」としています。
条約締結当初は、米国は沖縄と日本本土に基地を確保することに大きな意識があり、第2条の「経済的協力の促進」はそれほどではなかったとおもいますが、1960年代から日本経済の成長をにらみ、木材、牛肉・オレンジ自由化を強行に迫るなど、経済のグローバル化を加速させましたね。この時の「根拠」が、安保条約第2条でした。”後付け”的ですが、いまや第2条の方も、いや、第2条の方を米国として重要視していると言っていい状況になっているかもしれません。
この部分、今回送信している「メール通信」では、内容を日米「軍事」同盟関係に絞っているので、紅葉坂教会での講演では話しましたが書き入れていません。
昨年9月、愛知県瀬戸市でおこなった日米安保に関する講演は、経済的側面に焦点を当てて話ししました。ご参考まで、その時のレジメを添付ファイルでお送りします。
(質問) 質問なのですが、日米安保条約が日米間の経済協力に関する条約でもあること(同条約第二条)は、両国の軍事的安全保障に関する協力とどのような関係にあるのでしょうか?
日米安保体制は、日米軍事同盟体制としてだけではとらえきれないのではないかと思いますし、グローバル化した市場経済を守るために日米軍事同盟体制を維持してほしいと望む人たちが日本経団連などにいることからすれば、両国軍と財界(軍需産業のみならず企業経営者全般)の構造的な関係を検証する必要があるのではないかと思います。それを「日米平和友好条約」に変えるには、その構造的な関係をも変えることが必要になり、軍部や政界・財界からかなりの抵抗が予想されるのではないでしょうか?
それはつまり、脱成長経済の実現なのではないかと私は思います。
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