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橋本勝21世紀風刺絵日記
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2012年11月04日23時27分掲載
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検証・メディア
もう亡くなったBBCの超有名タレントの性的暴行疑惑を追跡して、何になるのか?
1960年代半ばから、ほぼ40年間にわたり、主としてBBCの司会者・タレントとして、かつ慈善事業者としても有名だったジミー・サビル氏(昨年10月死亡、享年84)が、何人もの10代の少年少女や障害を持つ子供たちに性的暴行を行っていたー。この疑惑が英国で大きな注目を浴びるようになったのは、今月3日、民放ITVが犠牲者たちのインタビューが入った番組「エキスポージャー」を放映してからだ。(ロンドン=小林恭子)
サビル氏の最盛期は、残念ながら私が英国に住む前の話で、実際に生で番組を見たことはないのだが、昨年末、BBCは同氏の大々的な追悼番組を放映していたため、存在は知っていた。
「大きな目玉と三角形の髪型」が、どうにも忘れがたい印象を残した。
ITVの暴露番組が出たあとで続々と犠牲者が声を上げ始めていると聞き、私は「亡くなったから、一斉に声を上げるとは変だな」「一種の集団熱病的な状態にいるのだろうか」などと思っていた。
しかし、警察が本格的に捜査を始めている。英メディアの報道によると、200件を捜査中だという。
BBCは、実は、昨年末のサビル氏追悼番組放映の直前に、独自で同氏の児童性愛主義志向を暴く番組(「ニューズナイト」の一部)を準備していた。それが、なぜか、途中で中止となってしまった。追悼番組を出したいので、同氏の過去を暴露するような番組は、広報上の理由で「だめ」となったのだろうかー?それとも、ほかの理由があるのだろうか?BBCの対応が今、大きな問題になっている。
ことの経緯を説明してもらうため、23日、BBC会長ジョージ・エイントウィッスル氏が、下院の文化メディアスポーツ委員会に召還され、議員らからさまざまな質問を受けた。果たして、「もみ消し」があったのかどうかー?
BBCの組織としての問題点は次回以降考察することとして、今回は「なぜ、もう当人が亡くなっているのに、過去の暴行疑惑を追及しなければならないのか?」について思うところを書いてみたい。
私は当初、「いまさらやっても、当人が亡くなっているのだから、仕方ないだろう」、「当人が弁解できないのだから、犠牲者が言いっぱなしになる。これは公正ではないのではないか」と思った。言いっぱなしになって、どんどん話がふくらみ、「サビル氏=悪魔」という極端な見方になることを危惧した。
しかし、その後、犠牲者の話の信憑性が高まり(一人ひとりが、一斉にうその話を作れるはずもない)、いろいろな意見を知る中で、積極的に追求するべきと思うようになった。
英国内で「この事件を徹底的に追及するべき」という考え方の背景には、以下の2つの理由が少なくともある。
まず、(1)過去の暴行について社会が正当に認識することで、犠牲者にとって新たな人生を踏み出すきっかけができる。それと、(2)現在、暴行の被害者になっている人が、その苦しみを誰かに伝える、当局に通報する機運を作ることだ。
徹底追及によって、この社会が「性的嫌がらせや暴行を決して許容しない」というメッセージを送ることができる。過去のみならず、現在、そして未来につなぐ動きを作るために、必要なのだ。
欧州では、カトリック教の神父が少年少女に性的犯罪を行ったケースがあり、児童や弱い立場にいる人に対する性的暴行は、特に忌み嫌われている。
少し前まで、性的嫌がらせなどがあっても、英国のテレビ界ではこれを大目にみるところがあったという人も多い。その場にいて、通報しなかった人がたくさんいる、と。
この「その場にいた」ことを非難されたのが、民放ITVやBBCで幹部制作者だったジャネット・ストリート・ポーター氏であった。最近、BBCの討論番組「クエスチョンタイム」に出た同氏は、若い頃に、著名タレントが女性たちに性的嫌がらせなどを行っている場面を目撃した、当時の職場の雰囲気がそうであった、と発言した。
「上司に訴えるなど、何か行動を起こせなかったのか」と聞かれ、「駆け出しの自分が訴えても、信じてもらえない。左遷されるのが落ちだ」と述べた。
しばらくして、会場にいた視聴者が「なぜ、あなたは何もしなかったのか。その場にいたあなたも同罪だ」と述べた。
すると、ストリート・ポーター氏は、質問者の女性をキッとにらみ、「あなた、私がどんな経験をしたかを知ってるの?」と言い返した。
「私の母親は再婚したのよ、私が10歳のときに。新しい父親は床屋だった。床屋の椅子に座っていたら、その父親に体を触られた。そのことを母親に話したら、どうなったと思う?『嘘つくんじゃない』といって、顔をひっぱたかれたのよ。そこで終わりだったのよ」―。視聴者相手に、啖呵を切った格好だった。「ただテレビを見ているだけのあなたは、一体何をしたっていうの?冗談じゃない」―とは言わなかったが、かなりの迫力があった。
もはやBBCの話ではなく、サビル氏の話でもなかった。年少者を対象とした性的暴行・性的嫌がらせのトピックは、さまざまな高ぶる感情を触発してしまうようだ。(ブログ「英国メディアウオッチ」より)
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