スペイン紙「エル・パイス」では常連漫画家のエル・ロト(EL ROTO)が不思議な漫画を描いている。
http://elpais.com/elpais/2012/11/22/vinetas/1353601036_574882.html 赤い帽子をかぶった男がタバコをふかしながら暗い窓の外をぼんやり眺めている。吹き出しには「もうスペインのカタルーニャではなくなる。カタルーニャとスペインは別々のものになるんだ」といった内容のキャプションがついている。
この赤い帽子は何かと思って調べてみると、カタルーニャ(英語読みではカタロニア)地方の名物であるバラティーナと呼ばれる帽子らしい。
カタルーニャ州はスペインの南西部で地中海に面し、フランスと国境を接している。フランク王国に遡る昔から独立意識が高い地域として知られていた。世界遺産に登録されているアントニ・ガウディの建築群はカタルーニャ州の州都バルセロナにある。カタルーニャ州にはバスク地方と同様、スペインから独立しようとする運動が脈々と続いていた。言語もカタルーニャ語はローマ帝国に起源を持つロマンス系言語ながら、スペイン語(カスティーリャ語)とは別の言語である。
そうした独立の動きが、現在のユーロ危機で強まっているようである。そのことは一層スペインの経済危機を深刻なものにしかねない。なぜなら、スペインで最も経済が好調なのがカタルーニャ州であるからだ。逆に言えば、カタルーニャ州はもう国内の貧しい州のためにカタルーニャ州の稼ぎが持って行かれることにうんざりしているということのようである。そのことが、英国のテレグラフ紙で報じられていた。
「Catalonia's growing calls for independence add to Spain's worsening euro crisis woes」(カタルーニャで高まる独立要求はスペインの悪化する通貨危機に一層の打撃)という見出しの記事である。
「Catalonia is Spain's wealthiest region, and the growing euro crisis is fuelling demands for it to break away from Madrid. 」(カタルーニャはスペインで最も富める地域である。ユーロ危機の進展でカタルーニャがマドリッドから離れようとする欲求がさらに強まっている」とある。
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/europe/spain/9576459/Catalonias-growing-calls-for-independence-add-to-Spains-worsening-euro-crisis-woes.html 記事によればユーロ圏とドイツの関係が、スペインとカタルーニャの関係にあてはまると見る人もいる。日本で言えば東京が日本国から独立するというような事態である。
■yahooニュースから。「カタルーニャ独立論議の奥に冷たい現実」
http://news.yahoo.com/catalan-independence-debate-hits-cold-realities-074452686.html カタルーニャ州がスペインから独立した場合に、カタルーニャは欧州の中でどのような位置づけになるのか。エル・パイス紙がアンケートを行ったところ、カタルーニャ州民の半数近くが独立に賛成しているが、もし独立によって欧州連合から切り離されるのであれば独立支持は37%に減じたという。スペインからは離れたいが、ユーロ圏にはとどまりたいのである。ベルギーでも北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏が対立してきた。
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