ユーロ危機の引き金となったギリシアでは移民排斥を唱える極右政党「黄金の夜明け」が今年6月の総選挙で躍進し、18人(ギリシア議会定数は300議席)の国会議員を誕生させた。この「黄金の夜明け」がアテネでは陰で「警察活動」まで担っていると英国紙ガーディアンで報じられている。http://www.guardian.co.uk/world/2012/sep/28/greek-police-victims-neo-nazi ’Greek police send crime victims to neo-Nazi 'protectors'’「ギリシア警察は犯罪の被害者をネオナチの「保護者」のもとに送る」という見出しの記事(今年9月28日付)である。
ガーディアンの記事によると、ギリシアでは治安が悪化し、経済的に中流から下流の人々の間には安全に対する危機感が広がっている。そんな中、ギリシアにやってきた移民が関係した犯罪の場合、被害者を警察官が「黄金の夜明け」に連れて行き、そちらの手にゆだねているケースがあるという。被害者たちは「黄金の夜明け」を支持するしないに関係せず、食糧や毛布を寄付させられているという。経済難のさなか、「黄金の夜明け」はギリシア人だけに限って食糧を支給しているとしばしば報じられてきたところである。
こうした「黄金の夜明け」と警察のつながりは記事によるとユーロ危機で一夜にして生まれたものではなく、過去から脈々と続いてきたものだという。若い警察官たちにはナチスやヒトラーについて知らない者がいるとも指摘されている。「黄金の夜明け」の党旗のデザインはナチスの鍵十字に似ていると指摘されている。
一方、ロイターの今月9日付の記事によると、ギリシアでは移民が暴行を受けるケースも広がっていると書かれている。記事で紹介されているのはパン屋を営むギリシア人雇用主にエジプトから来た労働者が未払いの賃金を請求したところ、監禁されて暴行を受け、警察に訴えたら強制退去を言い渡されたというひどい事例である。
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20121209-00000000-biz_reut-nb 「正式な書類を持たない移民が、闇労働市場に数十万人いると言われているギリシャ。同国南東部サラミナ島のパン屋で働いていたタレブさんが店の主人の怒りを買ったことは、ギリシャ経済危機をめぐる犠牲者の中で移民が最も弱い立場に置かれていることを示す象徴的な事件となった。」(ロイター)
■BBCの記事から「ギリシアの極右政党「黄金の夜明け」がアテネの中心部で生活困窮者に食糧を無料で配布。ただし、ギリシア国籍を持つ人に限定」(今年8月1日付)
http://www.bbc.co.uk/news/world-europe-19084584 ’Greece's far-right Golden Dawn party has handed out free food to hundreds of struggling people in central Athens - but only to Greek nationals.’’
■イスラエルのハーレツ紙から’Greek government, Jewish group condemn far-right party's Holocaust denial’「極右政党がホロコーストを否定 ギリシア政府とユダヤ人グループが非難」(今年5月14日付)
http://www.haaretz.com/jewish-world/jewish-world-news/greek-government-jewish-group-condemn-far-right-party-s-holocaust-denial-1.430454 「黄金の夜明け」の党首ニコラオス・ミハロリアコス (Nikolaos Michaloliakos) 氏はギリシアの民放テレビ局の放送に出演し、ホロコーストのガス室はなかった、と発言したとされる。第二次大戦中、ホロコーストでは約600万人のユダヤ人がナチス・ドイツの人種政策によって虐殺されている。
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