シリコンバレー在住の中国系の女性、ウェイディ・リーさんは大学生の子供2人を抱えるシングルマザー。自宅のガレージに日産リーフ、トヨタのRAV4EV(新旧), そしてテスラのモデルSと、なんと合計4台の電気自動車がある。http://www.waidy.com/ev また自宅を改造し、屋上や納屋、そして庭に太陽光発電パネルを多数設置し、今では家庭の電力すべてを太陽光でまかなっている。電気自動車の充電も太陽光で行っているのだ。車も含めて家で使っている電気系統をシステム化したので、発電した電力と使用した電力は刻々とパソコンでモニターできる。そして余れば地域の電力会社に供給している。これも子供たちにきれいな地球を残しておきたいためだ。自宅も特殊な材料を壁面や床に活用しつつ、省エネしながら冬は暖かく、夏は涼しい構造に作り変えた。(詳しくは上にリンクを張ったウェイディさんのウェブサイトを参照してください。)
こうした設備を備えるには初期投資も当然かかる。だが、国や州が何かをしてくれるのを待つ前に、できる人が自前でやれることをやっているのだ。ウェイディさんももともと電気技師。電気関係の工事や電気自動車に強い。建築家と省エネのアイデアを出し合いながら、究極の省エネ住宅を一から作り上げた。
シリコンバレー周辺にはスタンフォード大学がありIT技術者や電気工学に強い専門家が多数集まっている。アメリカと言えば排ガスまき散らしの印象が強いが、シリコンバレーの技術者の多くは環境意識も相当高い。だから普段着で定期的に集まって互いの成果を情報交換している。こうした人々の経験や知識は〜太平洋を越えて〜企業ベースだけでなく、市民レベルでも共有できるのではなかろうか。
ところで、ウェイディさんは最近、読んだ本についてメールで教えてくれた。 ‘Gaviotas: A Village to Reinvent the World’(ガビオタス:世界を新たに作った小村)というタイトル。著者はAlan Weisman(アラン・ワイズマン)。邦訳では「奇跡のエコ集落 ガビオタス」となっている。インターネット上の書評によると、中南米のコロンビアの不毛な大平原に環境技術を駆使し、水耕栽培を行い、学校や病院を立てて理想郷を作った実話のようである。
‘I just finished reading a book "Gaviotas: A Village to Reinvent the World, by Alan Weisman." So many of the serious books I read bemoan the state of the world (with reason), but this one offers a vision of how it could be. Not a dream vision, but one rooted in the reality of a small village in Columbia that has achieved the unbelievable.’
「私がこれまでに読んだシリアスな本の多くは世界を悲観しています(もちろん悲観する理由はあるんです)。しかし、アラン・ワイズマンのこの本はどんな世界がありうるのか、1つのビジョンを提案しています。それは単なる夢想ではなく、コロンビアの小さな村で実際に成し遂げられたすごい成果に基づいているのです」
理想は高い。しかし、カリフォルニアには生活の改善をみんなで集まってワイワイやりながら楽しむ気風があるようだ。人には様々な個性があり、それぞれ何か得意なことがある。そのミキシングから思いがけない新しい発明も生まれる。
■ニューヨークタイムズで紹介されたウェイディさんと、サンフランシスコの電気自動車ユーザーの会
http://www.nytimes.com/2011/10/16/automobiles/nissan-is-listening-to-electric-car-owners-and-taking-notes.html?_r=0
■Friends of Gaviotas
http://www.friendsofgaviotas.org/Friends_of_Gaviotas/Home.html ガビオタスについて説明しているこのサイトによると、1980年代からガビオタではカリビーン松の植林を始めた。カリビーン松は強酸性の土壌においても土壌の菌類の助けを得て根づくことができた。その結果、かつて不毛の平原だったところにカリビーン松の林が8000ヘクタールにも広がり、土地の気候にも影響を与え、降雨量が10%増えたという。そしてこの松から豊富な松脂が取れた結果、経済的にも効果が表れた。
このエコ集落「ガビオタス」はパオロ・ルガリという人物によって1971年に設立された。ルガリ氏は技術者や科学者を集め、持続可能な生活をここで開発しようと試みた。もともとは気候的にも不毛であり、かつ政治的にも悪しき環境だったとウィキペディアで紹介されている。ガビオタスでは植林に成功しただけでなく、自前の病院も設立し、周辺で苦しんでいる先住民の病人も治療したという。また環境の水の浄化も進めた。 以下はガビオタスのウェブサイト。
http://www.centrolasgaviotas.org/Inicio.html ■ニューヨークタイムズが報じたガビオタス
http://www.nytimes.com/2009/10/16/world/americas/16gaviotas.html?_r=0 2009年のこの記事の中で、ガビオタスの創設者、パオロ・ルガリ氏(64歳)は「世界に唯一存在する砂漠とは想像の中の砂漠だけである」とその信念を語っている。この村にないものは次のようなものだ。「銃、警察、自動車、市長、教会、牧師、携帯電話、テレビ、インターネット」。
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